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人気のちゃんぽん専門店

手軽にたくさんの野菜を採れる食事として、注目度が高まりつつある「ちゃんぽん」。九州の郷土料理として全国でも親しまれ、最近では大手チェーン店が素材にこだわった商品を出して人気を集めるなど、新しい動きも見られます。今回は、そんな「ちゃんぽん」に特化したこだわりの専門店をレポートします。
  • 伊万里ちゃんぽん 五反田店
  • ちゃんぽん由丸 品川港南店
  • 長崎料理 西海
  • ご当地ちゃんぽん研究所

伊万里ちゃんぽん 五反田店

佐賀県を中心に行列ができる人気店として有名な「井手ちゃんぽん」。その流れを汲む「伊万里ちゃんぽん」が初めて東京に出店。ここ五反田でも人気を博しています。器には地元名産品の有田焼を使用。創業時から受け継がれる九州本場の味が自慢です。

伊万里ちゃんぽん 五反田店
住所:東京都品川区西五反田7-22-17 TOCビルB1F
電話番号:03-3490-5559
営業時間:[月~土]10:00~16:00
定休日:不定休

顧客のニーズにあわせた、豊富なサイズバリエーション

「うちはミニサイズが他店の普通サイズくらい。当店のルーツである『井出ちゃんぽん』が創業した場所(今の佐賀県武雄市北方町)は、もともとは炭坑の町。重労働に励むお客様にお腹いっぱい食べてもらえるように、と代々このボリュームなんです」。

店主の今村紘實さんは笑顔で語ります。「伊万里ちゃんぽん」のサイズラインアップは通常サイズのちゃんぽんで麺の量が220g。上は大盛り(麺330g)から、下はミニちゃんぽん(麺150g)、ミニミニちゃんぽん(麺110g)と、幅広いバリエーションも特徴のひとつです。

もともとは、安価にがっつり食べるイメージが定着していたという井出ちゃんぽん。そんなちゃんぽんのボリュームへの需要も時代とともに変化している、と今村さんは語ります。

「『ミニミニちゃんぽん』は、創業当初からうちの二大看板である丼ものとちゃんぽん、どちらも少しずつ食べたいというお客様の要望がきっかけで生まれました。『ミニ』と『ミニミニ』があるおかげで、お子様からお年寄り、女性のお客様にもご愛顧いただいています。特に、東京では九州よりも女性のお客様が多く、『ミニ』が支持されています」。

具材はしゃきしゃきした食感のものを


看板メニューの「ちゃんぽん」の具材は豚肉、かまぼこ、たまねぎ、キャベツ、もやし、キクラゲ、にんじん、コーン。これにエビ、イカ、ホタテの海産物が加わったものが「特製ちゃんぽん」です。

「井出ちゃんぽんの創業当時、九州では高原野菜のキャベツがあまり手に入らず、白菜で代用していました。その思い出から、期間限定メニューで旬の白菜を使った限定ちゃんぽんを提供したこともあります」。

調理をする上でのこだわりは、具材を強火でさっと炒めることで、野菜のしゃきしゃきとした食感を残すこと。しいたけの風味が効いた自家製の濃厚豚骨スープとあわせることで、具と麺、スープが三位一体となって、口の中で美味しさが広がります。

「トッピングに卵を落とすのは、地元の井手ちゃんぽんとしてはポピュラーな食べ方です。もとは栄養をつける目的でまかないから誕生しました。昔は特製ちゃんぽんには初めから卵をのせていましたが、アレルギーの方もいるため、今は好みに応じて追加料金での提供になっています」。

この他、苦手な具材を抜いて欲しい、麺少なめで野菜多めにして欲しい、といった要望にもこまめに対応するなど、お客様とのコミュニケーションを大切にしています。

「今後は日本に留まらず、海外にも店舗拡大していきたいです。ラーメンが海外でも人気なように、野菜たっぷりのヘルシーなちゃんぽんは、日本発の新しい麺料理として人気になるんじゃないかと思います」。

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ちゃんぽん由丸 品川港南店

人気チェーン店「博多ラーメン由丸」が、「もっと九州の味を広めたい」と始めた新業態「ちゃんぽん由丸」。2013年の開店以来、昼はボリュームたっぷりのランチ店、夜は長崎の味が楽しめる居酒屋として人気を集めています。

ちゃんぽん由丸 品川港南店
住所:東京都港区港南2-2-6 長山ビル4F
電話番号:03-6712-1917
営業時間:[月~金]11:00~23:00/[土]11:00~22:00
定休日:日曜・祝日

ちゃんぽんの王道を守りつつ、オリジナルの味を

「当店の特徴は何といっても豚骨スープ。生の豚骨を炊き出したストレートタイプのスープを、青森の専用工場から直送して使用しています。豚骨にこだわるお店でも、生の豚骨だけを使用しているところはなかなかないと思います」。

取材に応じてくれたのは店長の金子利明さん。「博多ラーメン由丸」で培った豚骨スープのノウハウが、「ちゃんぽん由丸」のスープにも生かされている、と語ります。

「『ちゃんぽん由丸』のスープは、自家製の豚骨スープに魚介のかえしを合わせたオリジナルのダブルスープ。豚骨のコクはあるのに魚介の風味が効いているので、思った以上にさっぱりした味わいになっていると思います。ちゃんぽんの王道を守りつつ、当店ならではの“オリジナル感”を追求して辿りついた味です」。

野菜がたっぷり、というちゃんぽんの特徴に加えて、この“意外とさっぱり”なスープに惹かれてか、女性のお客様も多いといいます。

また、14種類の調味料をブレンドした「辛ちゃんぽん」も人気の逸品。赤いインパクトあるスープに、辛さを中和する温泉たまごがトッピングされています。

居酒屋として利用するお客様に人気なのが、夜限定メニューの「焼ちゃんぽん」。ちゃんぽんの麺とスープを炒め、焼きそばのように汁気を飛ばしたメニューです。

「『焼ちゃんぽん』は、飲んだあとの締めとしてはもちろん、麺がのびにくいから分けあってのんびり食べられる、と酒のおつまみとしてもご好評いただいています。また、お酒を召しあがるお客様には、『ミニちゃんぽん』も最後の締めにちょうどいい量、と人気です」。

長崎の人が「懐かしい」と言ってくれる味を提供したい


ちゃんぽんの普通盛りは麺200g、大盛りは300g。麺は博多ラーメン同様、自家製のスープによく絡む麺を使用しています。

通常の「ちゃんぽん」にのる具材は10種類(さつまあげ、緑はんぺん、かまぼこ、豚肉、イカゲソ、あさり、キャベツ、人参、もやし、玉ねぎ)。「特製ちゃんぽん」にはさらにエビ、肉団子が加わります。追加料金100円で野菜を増量できるなど、野菜不足な現代人には嬉しいサービスも充実しています。

これらの具材の中で、店のこだわりとして特徴的なのが長崎特産の「緑はんぺん」です。

「本場の長崎ちゃんぽんには欠かせないのがこの『緑はんぺん』。長崎出身のお客様からも『懐かしいねぇ』『東京でも食べられるんだ!』と言っていただけます」。

この「緑はんぺん」に限らず、九州の味、長崎の素材への探究心が「ちゃんぽん由丸」のこだわりです。たとえば、ちゃんぽんと並ぶ人気メニューの「皿うどん」や「焼きちゃんぽん」に欠かせないウスターソースは、長崎の味「金蝶ソース」を使用しています。

「東京の人にも親しんでもらえるよう、味付けは若干ですが、東京向きにしています。それでも、本場・九州の味に近づけるため、皿うどんなどはかなり甘めの味付けだと思います。長崎出身のお客様にも『郷土の味だ』と言っていただくことができました。これからも、長崎の味、九州の味をより多くの方に楽しんでいただけるよう、メニューづくり、味づくりにこだわっていきたいと思います」。

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長崎料理 西海

「ちゃんぽん」や「皿うどん」などの長崎料理を中心に、ランチ激戦区である東京・神田で常に人気を博す店「長崎料理 西海」。特に13時から数量限定で提供される、セットメニューの「特別定食」は、ボリューム満点、コストパフォーマンスもいいと好評です。

長崎料理 西海
住所:東京都千代田区内神田2-8-5 山口ビル1F
電話番号:03-3254-4780
営業時間:[昼]11:30~14:00/[夜]17:00~22:30
定休日:土・日・祝祭日

間違って生まれた”人気メニュー、揚げめんちゃんぽん

今年で開業35年を迎える「長崎料理 西海」。銀座にある長崎料理の老舗「銀座吉宗」のちゃんぽんに影響を受けた当時の創業者が、「この味をもっと追求したい」と、神田で店をはじめました。

本格派の「ちゃんぽん」や「皿うどん」といった長崎料理とともに、人気メニューのひとつになっているのが、西海オリジナルの「揚げめんちゃんぽん」です。

「『揚げめんちゃんぽん』は、もともとは従業員が間違って皿うどんの麺でちゃんぽんをつくってしまったのが誕生のきっかけです。でも、食べてみたら意外と美味しかったんですよね」。

取材に応じてくれたのは、店長の神山芳行さんと料理長の那暁東さんです。この間違って誕生してしまったという「揚げめんちゃんぽん」。揚げ麺の香ばしさがちゃんぽんのスープや具材とよく合い、通常の皿うどんやちゃんぽんともまた違う味わいを生み出します。

当初はまかないとして食べていたものが、いつしかメニューに加わり、今では立派な定番メニューに。店長オススメの食べ方は、ラー油を少量かけること。ラー油の辛味と風味が食欲を刺激し、スープと溶け合うことで、また違った味わいを生み出します。

長崎出身のお客様からの『この麺は本物ですね』の言葉


ランチタイムは「ちゃんぽん」、「皿うどん」、「揚げめんちゃんぽん」ともに800円で提供。 定番の「ちゃんぽん」の具材は、白菜、キャベツ、もやし、玉ねぎ、小松菜、さつまあげ、ちくわ、豚肉、イカのゲソ。夜はこれにエビ、キクラゲの具材が加わり、価格は1000円で販売しています。

「具材のイカにはムラサキイカを使用しています。ほかのイカは茹でるとかたくなってしまいますが、ムラサキイカは茹でてもやわらかいまま。多くのお客様がタコと間違えてしまうほどです」。

そんな豊富な具材を受け止めるのが、香味野菜の効いた自慢のスープと、長崎の製麺所から取り寄せるこだわりの麺です。

「創業当初から変わらず、麺は五島製麺という製麺所から取り寄せています。長崎のちゃんぽん、皿うどんに特化した製麺所です。長崎出身のお客様からも『この麺は本物ですね』と言っていただけます」。

一方のスープは、しょうが、にんにく、玉ねぎといった香味野菜をたっぷり使い、そこに鶏ガラ、豚ガラ、鶏皮から炊きだした製法にこだわった白湯スープです。

「昔は、より長崎の風味に近づけるため、出汁に豚足を使用していた時期もありました。ただ、豚骨独特のにおいが前に出ると個性が強すぎて万人受けしない味になってしまいます。東京のお客様にも親しまれるよう、豚足は入れず、今の味に辿り着きました」。

本場の麺に、東京向けにアレンジを加えたスープ。そして、豊富な具材たち。西海が、ずっと人気店であり続ける理由がそこにあります。

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ご当地ちゃんぽん研究所

2013年12月、イオンモール幕張新都心にオープンしたのが「ご当地ちゃんぽん研究所」です。全国ご当地ちゃんぽん連絡協議会が推進する各地のご当地ちゃんぽんを月替わりで提供。全国のご当地ちゃんぽんのアンテナショップとして活躍しています。

ご当地ちゃんぽん研究所
住所:千葉県千葉市美浜区豊砂1-1 イオンモール幕張新都心
ファミリーモール3F ごちそうパーク
電話番号:043-216-2288
営業時間:9:00~22:00
定休日:イオンモール幕張新都心に準ずる

日本各地のご当地ちゃんぽんの“アンテナショップ”的位置づけ

「ご当地ちゃんぽん研究所」を運営するのは、滋賀県彦根市発祥の「近江ちゃんぽん」のチェーン店「ちゃんぽん亭総本家」を全国展開するドリームフーズ株式会社です。店長の喜田賢司さんが、開店に至る経緯を説明してくれました。

「ドリームフーズでは、「近江ちゃんぽん」を日本全国に広めるべく「近江ちゃんぽん協会」を設立。その過程で、全国には様々なご当地ちゃんぽんがあることを知り、もっと全国のご当地ちゃんぽんを広めたい、と各地の「ちゃんぽん協会」と提携。全国のご当地ちゃんぽんの“アンテナショップ”的な位置づけで、この「ご当地ちゃんぽん研究所」が生まれました」。

提供するちゃんぽんは月替わりで3~4種類。なかでも、人気を博しているのが「近江ちゃんぽん」です。

「近江ちゃんぽんは、ご当地ちゃんぽんの中でも1番野菜を多く使ったちゃんぽんといわれています。そしてもうひとつの特徴は、鰹、昆布、醤油ベースのあっさりした和風スープ。お好みでお酢をかけることで生まれる味わいの変化も楽しんでいただければと思います」。

麺は自社の製麺所でつくった自家製麺を使用。具材はキャベツ、もやし、青ネギ、人参といったたっぷりの野菜。そして、和風出汁に少し甘味のあるスープの組み合わせは、商業施設に集うご家族から年配の方まで支持を集めています。

ご当地ちゃんぽんを通じて、各地域の関心を高めたい



「ご当地ちゃんぽん研究所」が提携するちゃんぽん協会は全国15箇所。製法はもちろんのこと、食品の鮮度や味の管理を徹底するため、月替わりのメニューは数を絞って提供しています。

「それぞれのご当地で親しまれているちゃんぽんの味を再現するために、各ちゃんぽん協会から提供されるレシピを守ってつくっています。商品販売開始の前には、実際に各ちゃんぽん協会の担当者にお店まで来ていただき、味のチェックをしてもらって、合格した商品を販売しています」。

取材時の提供メニューは「近江ちゃんぽん」のほか、定番の「長崎ちゃんぽん」、震災復興の意味も込めた熊本の「水俣チャンポン」、日本最北のご当地ちゃんぽんとされる「網走ちゃんぽん」の4種類(※水俣チャンポンと網走ちゃんぽんは隔日)。

「水俣ちゃんぽん」は白く細い麺と、あっさりした白い豚骨スープが特徴的な“美白美人”といったルックスのちゃんぽん。「長崎ちゃんぽん」は、もっちりした食感の麺が、濃厚な豚骨スープと具材から染み出る魚介の旨味と絡み合います。

このほか、栃木の名産・小松菜をふんだんに使用した緑色のスープが印象的な「高根沢ちゃんぽん」。長崎から取り寄せた殻付きエビがこだわりの「小浜ちゃんぽん」など、本来であればその地域に足を運ばないと食べられないちゃんぽんがこれまでにもメニューに並び、人気を呼びました。

「当店では、各ご当地のちゃんぽんを提供することはもちろん、発祥地の観光パンフレットを置いたり、ご当地土産を販売したりと、各地域そのものにも興味をもってもらうための活動もしています。ちゃんぽんを通じてそれぞれの土地を知ってもらい、実際にその地に足を運んでもらうきっかけになれば、嬉しいですね」。

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「ちゃんぽん」とひと口に言っても、その定義は自由度が高く、スープ・麺・具材とこだわるべきポイントは実にさまざま。歴史的に受け継がれてきたものから、郷土愛をきっかけに近年開発されたもの、専門店として長く親しまれているものと、ルーツも多岐に渡ります。野菜がたっぷり摂れる麺料理であるという特徴と、それぞれの店がこだわったポイントを強調することで、<「ちゃんぽん」を食べに行く>という麺文化は、これからもっと広まっていくのではないでしょうか。

※店舗情報及び商品価格は取材時点(2016年7月)のものです

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