店名の「えだおね」は、山の主稜線から枝のように伸びる尾根道(枝尾根)のこと。荻窪駅南口のにぎやかな商店街から1本わき道を入ると、山荘のウッドデッキのような「えだおね」のテラス席が目に留まります。オーナーの竹内さんは、元銀行員。20年ほど前のロンドン赴任中にヨーロッパのカフェ文化に触れ、人々が思い思いの時を過ごせる場のある豊かさを実感したそう。高校生のころから「いずれはベーカリーをやりたい」と周囲に公言してきたほどのパン好きでもあり、2013年にこの店をオープンしました。
おいしいパンと料理のあるくつろぎ空間
緑豊かなテラスの脇を通って、店内に入るとまず目に飛び込んでくるのが、表情豊かなパンたちが並ぶ大きなテーブル!両側の壁際にイートインの客席が並び、ベビーカーを押したままでもゆったりとまわれる贅沢な空間づかいです。もとは洋菓子店の工場だったという店内は、天井が高く、奥にある厨房と売り場とカフェスペースがひと続きに。どこにいても、つくり手の気配が感じられ、パンが焼ける芳ばしさと、小麦の甘い香りに満たされています。
「飾り気のない、『毎日工場見学もできるカフェ』みたいな感じでしょうか」とおっしゃるのは店長の齋藤美生さん。実際、小さなお子さんがパンづくりの作業を食い入るように見ていることもしばしばだとか。「平日は地元のお客様が圧倒的に多く、お子さん連れのママもお年寄りも、誰もが気兼ねなく、普段使いしやすい店づくりを心がけています」(齋藤さん)。道路からのアプローチには緩やかなスロープを配し、双子用のベビーカーでもラクラク通れるエントランス、テラス席はペットと一緒もOKです。ほっこりとくつろげるテラスや店内のしつらえ、焼きたてのパンや手づくりデリ&スープのランチプレートなど、ひとたび腰を落ち着けると、駅近なロケーションも忘れてしまうくらいの、ゆったりとした時間が流れていきます。

パンの種類は40種類ほどをラインアップ。食パン以外のパンにはレーズンとヨーグルトから起こした2種類の自家製酵母種を使い、オーバーナイト発酵でじっくりと風味をひき出します(※フォカッチャはレーズン酵母のみを使い、乳製品不使用)。自家製酵母種にいちばんよく合う小麦粉を吟味し、それぞれのレシピをつくりあげていったのだそう。
オープン以来の人気メニューの1つがイートイン限定「バインミー」です。具材の自家製パティは、豚肉と大山鶏の数種の部位を合わせ、数日おきにこまめに焼いているフレッシュな味わいで、和風のなますやスイートチリソースの甘酸っぱさともよく合います。パンは、自慢のバゲット生地でつくるフィセルを使用。軽いフランス風バゲットともちもち系の中間くらいの食感で、「慌てず、どうぞゆっくり食事を楽しんでくださいね」と、語りかけるように小麦の甘みが後を追います。
家でも職場でもない場所で、ほっと肩の力を抜いてくつろぐひとときに、パンの香りがやさしく寄り添うカフェです。
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アールグレイ オランジュ
ショコラ
360円(税込)ライ麦粉入りのしっとりしたカンパーニュ生地にアールグレイの茶葉とホワイトチョコレートを練り込んで、上にオレンジピールをたっぷりトッピング。口に入れた瞬間にふわっとアールグレイの香りが立ちのぼる、女性に人気の1品。
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イギリス食パン
300円(税込)灰分の多い小麦粉をブレンドし、2種類の酵母種、塩と水だけでつくるリーンな配合で、風味、食感ともに他店にない珠玉のパンに。むちっと膨らんだフォルムがなんとも愛らしい。米粉パンに近いモッチリ感と小麦の味と香りを楽しめる。
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オリーブチョリソー
250円(税込)ひきのあるイギリスパン生地を使ったフォカッチャ風。グリーンとブラックオリーブ、さいの目に切ったチョリソソーセージが並んだドット模様も楽しい。ピリ辛&オリーブの香りに誘われて、ワインやビールがすすみそう。
- 店名
- パンとcafé えだおね
- 住所
- 東京都杉並区荻窪5-23-1
- TEL
- 03-6383-5422
- 営業時間
- 【パンの販売】11:00~19:00
【イートインメニュー】月曜~金曜 11:00~16:00(L.O.)、土曜、日曜、祝日 11:00~18:00(L.O.) - 定休日
- 火曜(祝日の場合は翌日水曜が休み)
- URL
- http://edaone.jp/
※店舗情報及び商品価格は取材時点(2017年11月)のものです。最新の店舗情報は、別途店舗のHP等でご確認ください。