es feuilletage(エスタージュ)
スカイツリーの麓、国内外からたくさんの人が訪れるエリアにある「es feuilletage(エスタージュ)」は、東京・木場にある「Boulangerie S.Igarashi(ブーランジェリー エス・イガラシ)」のセカンドブランドです。
es feuilletage(エスタージュ)
- 住所
- 東京都墨田区業平1-21-5
- 電話
- 03-6456-1171
- 営業時間
- 10:00 ~17:00
- 定休日
- 不定休 ※インスタグラムで確認を

クロワッサン系の多彩なラインアップ


オーナーシェフの五十嵐聡太さんは、メゾンカイザーなどパンの名店で修行を重ねたブーランジェ。全国のベーカリーを200店舗以上食べ歩き、北九州市にて自店を開業した後、2021年東京に移転オープンした「Boulangerie S.Igarashi」は一躍人気店に。
ハード系をメインにクロワッサンやヴィエノワズリーなどを揃えた本店とは趣を変えて、エスタージュのコンセプトは「旅先でのベーカリー」。小ぶりで食べやすいサイズ、惣菜系やスイーツ系のパンを中心に40~50種類をラインアップしています。「一目見て味がイメージできる」パンでありながら、ビジュアルの美しさと素材や製法にもこだわりのあるアイテムが揃い、眺めているだけでも心が浮き立つ、まさに旅先で感じるようなワクワク感のあるベーカリーです。
店名にも使われているフランス語の「feuilletage(フィユタージュ)」が、「折込生地」を意味するとおり、特にクロワッサン系のアイテムが全体の約1/3と充実しています。店内には繊細な温度湿度管理が欠かせない折込生地専用の作業室を設けています。オーナーシェフの五十嵐聡太さんにお話を伺いました。
「『クイニーアマン』をはじめとして、コンスタントにつくりたいパンがまだまだたくさんあるのに、本店の製造環境では限界があり、自然にもう1店舗つくろう!という考えに至りました。せっかく新しい店をつくるなら、クロワッサンなどの折込生地をつくりやすい環境がほしい。そこで専用の部屋をつくり、作業風景を売場からも見えるようにしました」(五十嵐さん)。


目を引くのはなんといっても平台に並ぶ折込生地の美しいビジュアルとバリエーションの多さです。
「フルーツなどの具材を変えてバリエーションをつくるのも1つの方法ですが、この店ではパンそのものでもバリエーションをつくりたかった。パンスイスは4種類。抹茶、チョコ、フランボワーズなど素材を練り込んで、生地から1種類ずつつくっています」(五十嵐さん)。
甘じょっぱさを楽しめる惣菜系のパンスイス『ハムチーズ』もあります。
「キャラメル・パン・オ・ショコラ」は、クロワッサン生地でチョコレートと自家製キャラメルを包み、パンスイスと同じように、表面に折込の層を見せたパリパリの食感。
「手間はかかりますが、“うちの店らしさ”を形にしています」(五十嵐さん)。


クロワッサンは2種類。くっきりとシャープな層を見せる「クロワッサン」は、国産の小麦粉と発酵バターを使用した「バリもち」の食感が特長です。
「バイカラークロワッサンの応用で折込生地の表面に、ごく薄いパン生地を重ねることで“バリ”を出しています。本店のクロワッサンよりも層を多くした16層にして、発酵は極力抑えつつも、国産小麦粉ならではの“もち” 食感も楽しめます」(五十嵐さん)。
「全粒粉クロワッサン」は粉のおいしさを存分に楽しんでもらうためにつくったそう。福岡県産の小麦全粒粉と焙煎した全粒粉、フランス産バターを使うことで、上品な香りが立ち、粉の持っている自然な甘みが際立つクロワッサンです。


素材へのこだわりはエスタージュでも踏襲

本店のコンセプトは「素材にこだわる」「四季を感じる」「組み合わせを考える」を大切にしたパンづくり。エスタージュのパンも、使う素材をたくさんの中から時間をかけて慎重に選ぶ過程を経て商品化されています。
「サンド系は、つくり込みすぎて料理的になってしまうよりも、もっとシンプルに、余計なものは入れずに素材の味を楽しんでいただけるようにしています。『サーモンディル』 はスモークサーモンとディル入りクリームチーズと野菜だけ。パンのおいしさには自信がありますから、あとはよい素材選びです。自分で味と香りを確かめて選び、素材へのリスペクトを大切にしてパンづくりをしています」(五十嵐さん)。
惣菜パンの「明太もちチーズ」は、日本の方には人気の組み合わせ。外国の方には日本らしいパンとして「小さくて丸くて食べやすいもの」をイメージしてつくったそう。国産小麦を使ったもちもち食感の生地を使い、明太子は福岡から取り寄せ、マヨネーズも九州から取り寄せたオイルを使った手作りマヨで、もちは白玉のお団子です。
「今日の惣菜パンに使っている“株まいたけ”や“チコリ”など、普段のおうちの食卓ではあまりお目にかからない素材を使っているパンも多いです。旅先での、その土地ならではの食材や料理を楽しむように、出会ったことのないものを当店のパンでぜひ試してみてほしいです。スカイツリーから至近のロケーションですから、観光やショッピングでスカイツリーに来るときは、ぜひ当店への来店もセットにして、他店にはないパンたちを楽しんでください」(五十嵐さん)。


RITUEL 虎ノ門 Brasserie&Cafe (リチュエル)
都内にベーカリーやカフェを複数展開するRITUELの旗艦店として2024年2月にオープン。ベーカリーとカフェ、ブラッスリーを備え、朝昼晩、ライフスタイルに合わせてパンを軸にした多彩なメニューを楽しめます。
RITUEL 虎ノ門 Brasserie&Cafe (リチュエル)
- 住所
- 東京都港区虎ノ門2-6-3 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー2F
- 電話
- 03-3528-8057
- 営業時間
- ベーカリー、カフェ
月曜~土曜8:00~21:00(LO 20:30)
日曜、祝日8:00~20:00(LO 19:30)
ブラッスリー
月曜~土曜8:00 ~23:00(LO 22:00)
日曜、祝日8:00~17:00~22:00(LO 21:00) - 定休日
- 不定休

朝·昼·晩、パンとともに食を楽しむオールデイダイニング


天井が高く、日中は外光がふんだんに降り注ぐ店内は、ラグジュアリーホテルのオールデイダイニングのような雰囲気。お店に入るとベーカリーのコーナーとカフェエリア、その奥にブラッスリーと、駅近のロケーションとは思えないゆったりした空間づかいで、朝昼晩いつ訪れても、おいしいパンと一緒のくつろぎ時間を過ごせます。
リチュエルを運営する株式会社ベイクルーズ マーケティング統括の中村玲可さんにお話を伺いました。
「店名のRITUELはフランス語で“習慣·儀式”を表します。皆様の日常の食習慣にもっと気軽に、よりおいしく、そしてちょっとした特別感もプラスしてパンを楽しんでいただける店づくりを目指しています。旗艦店である虎ノ門店オープンにあたり、ブラッスリーのシグネチャーメニューとしてつくったのが『オニオングラタンスープ』です」(中村さん)。
数あるブラッスリー料理の中でもパンとの親和性が高い“スープ”に着目し、その語源をたどるうちに“汁物に浸したパン切れ”という意味合いもあることにたどりついたそう。
「それくらい、スープとパンは切っても切り離せない組み合わせ。フランス食文化の中でパンをスープに浸して食べることは、昔も今も普遍的に親しまれている食習慣です。これはパン屋として、ぜひ皆さんにお伝えしたいと考え、“スープとパン” のマリアージュを一品で実感いただける『オニオングラタンスープ』ができあがりました」(中村さん)。
ランチ、ディナーともにコースメニューには必ず登場し、アラカルトでもオーダーできる「オニオングラタンスープ」。甘みとうまみが濃く、クセの少ない淡路島産の玉ねぎをふんだんに使い、じっくりとおいしさを引き出しています。フランス産小麦使用のバゲットが玉ねぎのスープをたっぷり含み、チーズをまとってこんがりとろけた熱々の“スープとパン”を楽しめます。


ベーカリーのラインアップは約40種類。フランスの伝統的な製法をもとに低温長時間発酵で小麦の甘みや旨味を引き出すリチュエルのパンは、ミキシング以外の工程をすべて職人の手づくりで丁寧につくることを大切にしています。
「カフェやブラッスリーでは、いろいろな形でパンを楽しんでいただけるメニューを各時間帯にうまく取り入れてご用意しています。ベーカリーのパンをテイクアウトしたり、カフェでドリンクと一緒にイートインしたり、ブラッスリーでは、朝食にフレンチトースト、ランチセット·コースでは毎日5~6種類のパンが食べ放題に、ディナーでは料理に合うブレッドをバスケットで提供しています」(中村さん)。



「クロワッサン」や「サクリスタン」などのヴィエノワズリーは、ハード系はちょっと苦手という方にもパンを楽しむ入り口としてリチュエルで最も力を入れているアイテム。
ベーカリーのシグネチャーである「エスカルゴ」は、シーズナルも含めて常時3種類。入店して真っ先に目につく位置に、美しい渦巻が並んでお客様をお迎えしています。ブラッスリーでも毎日必ず提供される人気のパンです。「フレンチトースト」にも使われている「ブリオッシュ」は、水をまったく使わずにつくられたリッチで口どけのよい生地。ブラッスリーではプチパンの形で提供されます。
「どの料理も、パンと一緒に食べておいしいことを意識してレシピを組み立てています。肉や魚のグリル料理もパスタもソースはたっぷりと多めに、ついついパンをお替りして食べたくなるような味わいです。軸に必ずパンがあることは、ベーカリーが手がけるブラッスリーならではです」(中村さん)。
ベーカリーならではの“ベイク”を楽しむアフタヌーンティー

季節ごとにテーマが変わるアフタヌーンティーは、系列のカフェでも大人気。虎ノ門店では、他店とは趣きを変えて焼菓子を主体にした3ステップで提供されます。ベイクとフレンチの要素を随所にちりばめたスイーツたちがテーブル全体に広がり、小麦やバターの香りにつつまれるベーカリーならではのアフタヌーンティーです。
1皿目は、フルーツのグラススープやクレームブリュレ、マカロン、パンを使ったセイボリーなどを美しいバランスで並べたプレート。2つ目は、自慢の焼菓子をのせたベイクワゴンがテーブルを回り、3種をチョイスできます。アーモンドの女王といわれるマルコナ種を使った「フィナンシェ」、発酵バターを使用した「カヌレ」は虎ノ門店限定のアイテムです。
そしてメインのデザートは、最近注目を集めている“パヴロヴァ”。クリームやムース、季節のフルーツなどで華やかにデコレーションされていますが、生ケーキではなくメレンゲの焼菓子がベースになっています。サクサクとしてシュワッと口どけるメレンゲは、アフタヌーンティーのメインとしても重すぎず、トップにはフロランタンをあしらって、ベイクの魅力満載の一品です。
「ベーカリーとカフェとブラッスリー。その日のご気分やご予定に合わせて、お気に入りのパンとともに過ごす時間をお客様それぞれの習慣にしていただけたらと願っています」(中村さん)。


dacō中目黒(ダコー)
ベーカリーカフェ「dacō(ダコー)」は、福岡発の人気ベーカリー「AMAM DACOTAN(アマムダコタン)」のアナザーブランド。中目黒店は東京・桜新町、お茶の水に続く3店舗目として2024年8月にオープンしました。約40種類のパンと約30種類のドリンクを揃えています。
dacō中目黒(ダコー)
- 住所
- 東京都目黒区上目黒1-3-18
- 電話
- 非公開
- 営業時間
- 10:00 ~20:00
- 定休日
- 不定休

行列必至の人気店が手がける、ゆっくり過ごせる都市型ベーカリーカフェ


お店に入ると右手には、曲線とガラスを生かしたやさしい雰囲気のテーブルに、パンの数々が並びます。具材満載の惣菜パンや、フルーツの彩りでジュエリーのように華やかな菓子パンなど、眺めているだけでも気分が上がります。
左手には、ゆったりとした空間にソファー席なども配置したカフェエリアが奥へと広がっています。
「dacō」ブランドならではの魅力や特長について、ご担当者様にお話を伺いました。
「dacōでは、時代の需要に応えた“都市型パン屋”として一人分にちょうどいい、あえて小ぶりな食べきりサイズのパンを展開しています。とくに中目黒店は、dacōの中でも客席数がいちばん多く、“パンもドリンクも主役のベーカリーカフェ”をコンセプトにしています。忙しい日常の中でも、ゆっくりと腰を据えてパンを楽しんでほしい。その時間や空間は贅沢なものであってほしい、という想いから、店舗のデザイン、客席のレイアウトにもこだわった店づくりをしています」。
朝の開店時には、ほぼすべてのアイテムが揃い、お客様も次々と入店。テイクアウト利用のお客様で行列ができることもあります。
「カフェをご利用の場合は、先に席を取ってから売り場を見ていただき、お席からモバイルオーダーができます。並ばずにゆっくり、心地よい時間と空間を過ごしていただけるように配慮しています」。


いろいろな種類を楽しめるように、小ぶりのパンにこだわったという同店。とはいっても既存店で好評のパンをそのままサイズダウンしただけではありません。
「実は、アマムダコタンのパン生地そのままの配合で小さくつくったところ、歯切れに納得がいかなかったのです。そこで、小麦の特性を研究し、配合から見直して試作を重ねました。小さくつくってもおいしさを損なわず、⻭切れがよくモチッと水分が保たれ、溶け感もある、dacōだけのパンをつくり上げています」。
「ダコーバーガー」のバンズは、水分量が多くてもっちりとした食感、やわらかさ、歯切れのよさを両立し、トッピングの雑穀で芳ばしさと食感もプラス。自家製のサルシッチャと、たっぷりの野菜をはさんでいます。こんもりと高さが出ますが、バーガーは一口でガブッと食べたい! という想いをかなえる食べやすい食感になっています。
「ダコードッグ」は、穀物をたっぷりトッピングしたルヴァン生地のドッグパンに、はみ出すくらいの自家製ソーセージをサンド。
どちらも小ぶりながらしっかりとした食べ応えがあります。


自由な発想から魅力的なアイテムが生まれる
dacōらしさは、ほかにもいろいろなアイデアから生まれています。
例えば「クロワッサン」は、小さいサイズでつくるのではなく、レギュラーサイズを半分にカット。売り場に並んだ、とんがり帽子のようなフォルムが目を引きます。
“クロワッサンを縦にして並べたら面白いんじゃない?”という発想から生まれたのだそう。
半分にカットしたクロワッサンの中にフルーツとクリームを詰めた「フルーツクロワッサン」は、先端部分をちょこんとトップに載せて、これもインパクトのあるビジュアルです。



アマムダコタンで大切にしている“サステナブレッド” は、ロスパンを出さないために、ひと手間かけて違うアイテムによみがえらせる取り組み。dacōでも好評のアイテムが生まれています。
「クロシュート」は、クロワッサン成形の際に出る残生地をタルトにして、上からシュー生地をしぼって焼いたもの。クリームを後詰めして、クロワッサンとシュークリームの2つの異なる味わいを楽しめます。クロワッサンやブリワッサン(ブリオッシュ生地にバターを折り込んだ生地)の残生地をドーナツ型にして揚げた「ダコナッツプレーン」「ダコナッツオリジナル」もdacōオリジナルのアイテムです。

大人気の生ドーナツ「Iʼm donut ?」は3種類をラインアップ。カボチャ入りブリオッシュ生地の「Iʼm donut ?」に、クッキー生地をかぶせて焼いたのが「生メロンパン」です。当日の売れ行きに合わせて、「Iʼm donut ?」から「生メロンパン」へと数量を調整できるメリットもあります。
「都内に3店舗あるdacōでは、お店によってパンやドリンクのラインアップは多少異なります。ドリンクに自家製のキャラメルを使ったり、チャイの茶葉やスパイスは自店でブレンドするなど、パンと同様にドリンクも自分たちでつくれるものはお店でつくることに、各店ともこだわっています。どこの店にどんなアイテムがあるのか情報発信をこまめにしながら、dacōならではのパンをドリンクと一緒にお客様に楽しんでいただけたらと思っています」。
パンづくりへのこだわりと確かな技術をベースに新たなコンセプトでお店を展開する各店の取り組みは、より魅力的なアイテムを生んでいました。皆様のお店でも、参考にされてみてはいかがでしょうか。
※店舗情報及び商品価格は取材時点(2025年01月)のものです。最新の店舗情報は、別途店舗のHP等でご確認ください。