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前半組と後半組それぞれ6名ずつにわかれて作業開始となりました。器材や作業台を譲り合いながら手際よく進めていきます。作業の合間にはパンの技術について情報交換し合う姿も見られ、向上心の高い人々の集まりであることが随所に感じられます。もちろん作品を競うのですが、それだけではなく、研鑚を積む場・ネットワークづくりの場としてほしいというのが主催側の願いです。審査員の先生も同じ想いで、気になる作業をしているときはそばへ歩んで質問を投げかけます。一つひとつの作業が仕上がりに影響を与えるのがパン作り、どの工程も気が抜けません。真剣に取り組む姿から力強さを感じます。 |
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それぞれのタイミングで仕込んだ生地が、昼あたりから次々とオーブンに入っていきます。焼成は緊張する工程ですが、目処が立ったからか安堵の表情も見られます。パンの焼ける芳ばしい匂いとバターの甘い香りが会場を包みます。焼き上がったパンに仕上げをしたり、食べ方や見せ方のバラエティをつくったり、パン本来の姿のままでなど、12人12色の熱いプレゼンテーションが1人15分の持ち時間で順次行われます。 |
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いよいよ審査となり、仕上がった方からおひとりずつ会場に向かいます。審査員の先生方はできるだけ緊張しないようにと願うのですが、5人ずらっと並んだ会場に入ればそうもいきません。そんな中でも、それぞれのスタイルで作品の開発の背景やそこに込めた想い、工夫や特長、食べてほしい食シーンなどをご自分の言葉でしっかりと説明されました。次は作品を前に試食をしながら審査員の先生が質問します。この材料を選んだ理由は?こういうふうには考えませんでしたか?売価と原価率は?などいろいろな質問がありましたが、考え抜かれた結果、試行錯誤の結果ということが感じとれる答えばかりです。単なる思いつきではない、完成度の高さを感じます。審査員からは、さらによいものにするためのアドバイスもありましたが、きちんとその課題を受けとめておられました。 |
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大賞を受賞したのは高良 正治さん(株式会社ドンク)の「バゲット・リュスティック」。「リスドオルと塩と水などのシンプルな材料だけでここまでの味が出せるということがよくわかる素晴らしいパン」と竹谷先生も絶賛し、井上先生には「これからは、このようなパンがもっと食べられるためにはお客様にどう提案すべきかを考えていってほしい」と激励とともに新たな課題が示されました。受賞した本人は「信じられない」と驚いた様子で、「おいしいフランスパンとおいしい料理があれば楽しい食卓を演出できる、ということを伝えたかった」と受賞の喜びを述べられました。また、信太先生からは「今日のパンをひとりでも多くの方に召し上がっていただきたい。すべてのパンが店に並び食卓に並んでほしい」との賛辞がありました。 最後は井上先生より、「21世紀になり、パンの消費は減少している。パンにはまだまだ潜在力が秘められている。リスドオルはパンの潜在的な能力を引き出す小麦粉であり、当コンクールで集まった作品は素晴らしいものばかりだった」「12名の皆様のプレゼンテーションを聞き、日本のパン業界の未来は輝かしいと思えた。これからは、パンの良さをひとりでも多くの消費者にどうやったら知ってもらえるか、という努力が必要とされている」と、期待とともにパン業界の抱える課題についても提言されました。 素晴らしい作品と情熱に出会え、充実したコンクールになりました。「Bread for Next Table~パン食の可能性が拡がる未来の食卓~」をテーマに行いましたが、さまざまなアイデアで果敢にチャレンジしてくださった皆様に、深く感謝するとともに、このコンクールがパン業界発展の一助になることを願っております。 |
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