JR山手線駒込駅から徒歩1分の場所にある「ガンコンヌードル」。油そば以外にも、醤油ラーメンや塩ラーメン、エビつけ麺など、メニューの豊富さが特徴です。また、ラーメンだけでなく、レモンやモモなどの8種類のフルーツビールを提供するお店としても人気です。
メディアにも取り上げられることが多い「ガンコンヌードル」。店長の島影新己さんは、ラーメンライターとして7年間、数々のラーメンを食べ歩いたのち、3年の修業を経て、ガンコンヌードルを開店した人物です。
「以前、テレビ番組で紹介されたのを機に、来客数が倍増したことがありました。しばらくの間、休日を返上し、寸胴の数も倍にしてスープを炊いたのですが、それでもスープが足りず……。ならば、スープのいらないメニューを販売してみてはどうか。そう考えたのがキッカケで、まかない飯の油そばにアレンジを加えた『辛シビ油そば』を販売することになりました」
「辛シビ油そば」の辛さを担うラー油は、修業先での経験や書籍などでの研究をもとに、ゴマ、ニンニク、山椒などを独自にブレンドして深いコクを実現。辛さをより引き立たせるための隠し味として、微量の砂糖が入っているのも特徴です。また、白くて滑らかな麺は、小麦粉の風味が感じられる特注の平打ち太麺。ガンコンヌードルの看板メニューのひとつ、「エビつけ麺」と同じものを使用しています。
「タレと麺だけではどうしても絡み具合が弱くなってしまうため、鰹の粉末もかなりの量を入れています。こうすると粉と油とが混ざって麺にしっかり絡むんです。山椒も効いて、かき混ぜるときには、香りも楽しむことができます」
スパイシーな味わいだけでなく、山椒の爽やかな香りと小麦粉の風味も楽しむことができる「辛シビ油そば」は、ビールやご飯との相性も抜群です。
年間を通して人気を博すガンコンヌードルの「辛シビ油そば」。
なかでも、夏の暑い時期になるとさらに売り上げを伸ばします。
「普段は男性のお客様に好評なのですが、夕方の時間に女性一人でやってきて油そばを注文する方もいらっしゃいますし、ご年配のご婦人でも召しあがっていかれます。やっぱり、女性も辛いのが好きな人は多いのではないでしょうか」
この「辛シビ油そば」の他にも、醤油ラーメンやエビつけ麺、夏季限定でフレッシュレモンの冷やし中華を販売する「ガンコンヌードル」。メニューのバリエーションが豊富なことも魅力のひとつです。
「ラーメンライターとして活動していた頃、たくさんのお店を取材しました。その中で『こういうお店が欲しいな』『こういうメニューがあったらいいな』というイメージがありました。それを形にしたのが『ガンコンヌードル』です」
自分が楽しめるものをお客様にも楽しんでもらえるような空間を提供したい、と話す島影さん。店内には、自身の好むロックのBGMが流れ、壁にはたくさんのLP盤が並びます。聞けば「ガンコンヌードル」という店名の由来も、『ROCK(岩)&SOUL(魂)』にちなんだものだといいます。
「今後はユニフォームもロックをイメージしたものに変えたいなと思っています。また、今の店内はカウンター席のみなのですが、テーブル席もつくりたいですね。年配のお客様や家族連れの方も多くいらっしゃるので、バリアフリーなお店にしていきたいと思っています」
京王線・小田急線の下北沢駅から徒歩3分の場所にある「スパイスラーメン 点と線.」は、2017年7月にオープンしたばかりのラーメン店。北海道を中心に展開しているスープカレー専門店「路地裏カリィ侍.」のセカンドブランドです。
北海道札幌市で創業し、いくつもの店舗を構えるスープカレー専門店「路地裏カリィ侍.」。2014年、関東1号店として下北沢店をオープンしたことが、「スパイスラーメン 点と線.」誕生のキッカケになりました。
「下北沢に出店して気づいたのは、東京は多様な飲食店を受け入れる土壌が整っているということ。そこで、元々アイデアとして持っていた“スパイス×ラーメン”を、同じ下北沢で販売してみようということになりました」
そう話してくれたのは「スパイスラーメン 点と線.」マネージャーの蓮井圭二郎さん。そして、開店にあたって開発したのが特製のタレとスパイスでガツンとした辛さを実現した「スパイスラーメン」と「スパイスまぜそば」でした。
「ラーメン業界に詳しくはなかったこともあって、最初は苦労の連続でした。たとえば、北海道で主流の太縮れ卵麺を東京でそのまま使っていいのかどうか。スタッフには北海道出身の人間が多いので、この麺で勝負したいというこだわりもありました。ですが、東京に進出するならば、東京に合った麺を一から考えようと。それからは、製麺所の方と何度も相談と試食を重ね、ラーメンとまぜそば、それぞれに合う麺を決めました」
スパイスラーメンは中太縮れ麺、スパイスまぜそばはストレート麺。まぜそばは少しだけ麺が太く、汁がない分、喉ごしの良さを重視しています。
「『スパイスラーメン』も『スパイスまぜそば』も、スパイスは同じものを使っています。クミン、コリアンダー、カルダモン、スターアニス、オレガノなどの香りのスパイスと、カイエンペッパー、韓国唐辛子、山椒、ブラックペッパーなどの辛さのスパイス。辛さは、注文時にもちろん調節可能です」
スパイシーな味わいだけでなく、具材がたっぷりなのも「スパイスまぜそば」の特徴。ねぎ、チャーシュー、カイワレ、キクラゲの細切り、赤タマネギ、パプリカ、カシューナッツ、ニラ、糸唐辛子、半熟卵、レモンに加え、中央には下味をつけて揚げたゴボウが高く盛り付けられています。
人気のトッピングは“ゴボウ増し”。また、パクチーのたっぷり入った「スパイスパクチーまぜそば」は、女性客の方にも好評です。
「内装は、女性のお客様でも入りやすいカフェのようなスペースにしています。女性客の方で満席になることもあるんですよ。料理はもちろん、くつろぎの空間としてもお店をご利用いただきたいですね」
男性客だけでなく、女性客の支持もしっかりと掴んでいる「スパイスラーメン 点と線.」。そこには、一人一人のお客様と真摯に向き合うためのこだわりがありました。
「当店では、券売機での食券販売はしていません。効率的ではないのかもしれませんが、お客様から直接代金を受け取ってお礼を言いたいからです。そういったおもてなしをひとつひとつ丁寧に繰り返していくことで、積み重なった点が繋がって線になっていく……『点と線.』にはそんな信念も込めています」
中華食堂「大阪王将」をはじめとした様々な業態の飲食店を運営する「イートアンド」が2015年9月に「ローストビーフ油そばビースト」をオープン。人気のローストビーフがたっぷり味わえるお店として、肉好き、麺好きの双方から支持されています。
この1年ほどで人気になった“ローストビーフ油そば”。ポイントは、何と言っても油そばの上に高く盛り付けられたローストビーフです。その先駆けとしてメディアでも注目を集めるのが新宿歌舞伎町で創業した「ローストビーフ油そばビースト」。今では都内に7店舗を構えるまでに支持を集めています。
「開業した2015年は、 “油そば専門店”という業態が増え始めていた時期でした。その中でインパクトを出すためにはどうしたらいいか考えたときに、チャーシューメンの人気が根強いように、お肉に特徴をつけてみたらどうかという話になりました」
ローストビーフ油そばビーストの開業経緯とこだわりを教えてくれたのは、歌舞伎町店店長の糸井省吾さんです。
「当店の油そばは、何と言っても『シルクロースト製法』と呼ぶ独自の製法で調理したローストビーフが特徴です。表面だけ先に焼き上げ、残りの工程は真空パックに入れて調理しています。じっくりと熱を加えることで、中心部も外側もきれいで均等な焼き上がりになって、しかも柔らかくなります」
折しも店を始めた2015年は「赤身肉」や「熟成肉」などの肉ブームが起きていた時期。ローストビーフ油そばビーストも、その時流に乗って一気に人気を呼んだのです。
「レギュラー商品は『ローストビーフ油そば』、男性に人気の『辛味噌ビースト』、女性に人気の『クリームビースト』の3品。肉のサイズはシングル(70g)、ダブル(130g)、クイーン(190g)、キングサイズ(390g)まであり、ローストビーフをお腹いっぱいになるまで堪能することができます。キングサイズは1日に3~4人のお客様から注文をいただいていますね」
肉ブームが一段落した今も好調が続く、ローストビーフ油そばビースト。深夜の時間帯も営業しているため、昼夜を問わず、たくさんの来客で賑わいをみせます。そこには、「もう一度お店に行きたい」と思ってもらうための工夫がありました。
「油そばはスープがない分、お客様が好みの味にアレンジしやすいのが魅力だと思います。そこで当店では、お酢、ラー油、胡椒、さらに、フライドニンニクとカレー風味の香辛料を入れたジャンクパウダーなどの調味料を各テーブルに設置。また、わさビネガー、玉ねぎみじん、ニンニクみじんといった無料トッピングも揃えていますので、ひとつのメニューでも多様な味付けを楽しむことが可能です」
麺は自家製麺でモチモチとした食感が特徴の太麺を使用。肉やタレと絡みやすいのはもちろん、無料トッピングとの相性も抜群です。また、ローストビーフ油そばビーストならではの各種割引が充実。牛の付く名前(牧田、などの部首でも可)の人は常時29%オフの“牛ネーム割”や、「牛」「肉」のグッズやプリントされた小物・洋服を持参した方には通常は有料のトッピング(温玉、チーズクリーム、チーズマヨ、アボカド、パクチー等)が無料になるサービスを実施。また、「カレーまぜそば」「和風カルボナーラ」「台湾まぜビースト」など、季節ごとの限定メニューも販売しており、目新しさには事欠きません。
「お客様がまた次も来てくれるようなお店づくりを今後も徹底していきます。季節限定メニューのリニューアルはもちろんのこと、トッピングメニューや各テーブルに置く調味料も変化を加えていくつもりです。お客様には、来店ごとに自分なりの好きな味をどんどん開拓していただけたら嬉しいですね」
2016年の11月11日11時11分、サラリーマンの聖地・新橋にオープンした「魚介系まぜそば専門店 魚がしそば」。リーズナブルな価格設定も相まって、短い時間で食事がしたいというサラリーマンから愛される、業界初の“魚介系まぜそば専門店”です。
立ち食い寿司「魚がし日本一」など数多くの“魚介系飲食店”を手がける株式会社にっぱん。そんな“魚のプロフェッショナル”が新たに始めたのが“魚介系まぜそば専門店”を標榜する「魚がしそば」です。その狙いをマネージャーの小畑典之さんにお聞きしました。
「当社の強みである“魚介”を前面に打ち出し、ファンの多い麺料理の分野で新機軸を打ち出せないかと考案したのが、魚をメインにしたヘルシーな『魚介系まぜそば』です」
ただ、開店に至るまでにはいくつもの課題があった、と小畑さんは振り返ります。
「魚介類は、米との相性はいいのですが、麺の上にのせただけでは、味の調和が取れません。そこで、『油』『かえし』『出汁』に徹底的にこだわりました。鰹節を寝かせて旨味を引き出した『鰹黄金オイル』、かえしにも出汁にもたっぷりの魚介を使っています。なかでも、アサリの出汁が魚の旨味、味の深さを引き出してくれて、自信を持ってお客様に提供できるクオリティになりました。また、麺は三河屋製麺の中太手もみ麺を使用。当店のまぜそばは油が少ないため、ストレートの麺では味がのりません。そこで、出汁としっかりと絡む縮れ具合と食べ応えのある太さを追求しました」
一番人気は、来客の約半数がオーダーするという「魚がしそば」。麺を覆い隠すほどたっぷりのアサリがのったまぜそばです。
「アサリの量には皆さん驚かれますね(笑)。まぜればまぜるほど、麺と具材、丼の底にあるタレとが絡まって美味しさが増しますよ」
また、どの麺メニューであっても、「鯛めし」と「スープ」を無料で追加オーダーできるのも魚がしそば独特のおもてなし。麺を食べ終わった際に具材が残っていれば、おじや風にして最後のひと口まで味わい尽くすができます。
魚介にこだわった味の追求はもちろんのこと、各メニューがリーズナブルなのもこの店の魅力の一つ。看板商品の「魚がしそば」は680円。この夏から始めた「グリーンカレーそば」、開店当初から安定した人気がある「ねぎとろそば」は880円。生卵・青ねぎ・かいわれ・海藻といった定番トッピングをはじめ、ねぎとろ・釜揚げ桜えび・ヤリイカげそ・アサリ・しらす・生海苔といったこだわりのトッピングも全品100円です。サラリーマンに嬉しい低価格化を実現できたのは、魚介系料理店を数多く経営する「にっぱん」ならではの事業形態によるものでした。
「仕入れは、当社の子会社であるにっぱん水産から行っています。仕入れる量が多いことと中間業者を介さないことで、安価な値段で仕入れができています。欲しい食材があれば、ある程度自由に注文できるのもメリットですね」
これまでになかった“魚介系まぜそば”を新たにつくり出し、魚好きはもちろんのこと、麺好きからも支持を得ている「魚介系まぜそば専門店 魚がしそば」。今後の展開を聞くと、“魚介系まぜそばのパイオニア”としてのこだわりと目標がありました。
「今後もこだわり続ける点は一つだけ。肉などを使わずに、全て魚だけでメニューを展開していくことです。そのためにも、お寿司屋さんと同じような食材を使って、今以上に季節感を出していきたいと考えています。将来的には『魚介まぜそば専門店 魚がしそば』の全国展開、可能であるならばカップ麺などの商品化につなげて、もっともっと多くの方に、『魚がしそば』の味と出会っていただきたいですね」
※店舗情報及び商品価格は取材時点(2017年11月)のものです