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お酒も飲める! 焼きそばが自慢の店

日本各地でご当地焼きそばがブームになるなど、日本人にとってはソウルフードともいえる「焼きそば」。最近では、「食事としての焼きそば」だけでなく、「お酒のつまみとしての焼きそば」という潮流も注目されつつあります。そこで今回は、「お酒に合う焼きそば」を提供する都内で人気の3つの店を取材し、調理法、コンセプトなど、それぞれのこだわりについてお聞きしました。
  • 鉄板やきそば・酒場しぶやき
  • あぺたいと酒場 月島店
  • 3・6・5酒場 渋谷本店

鉄板やきそば・酒場しぶやき

50年以上に渡って愛され続ける「鉄板やきそば・酒場しぶやき」が昨年9月にリニューアルオープン。前職がエンジニアという経歴を持つ現・店長が、父の代から変わらぬ味の焼きそばとともに、新感覚の焼きそばも多数メニューに加えて、新たなファン層を拡大中です。

鉄板やきそば・酒場しぶやき
住所:東京都渋谷区渋谷3-13-1
電話番号:03-3400-1154
営業時間:[平日]11:30〜15:00/17:00〜22:00
[土・日、および競馬開催日]9:30〜17:00
定休日:月曜、祝日

土日と平日でまったく違う特徴のソース焼きそば

日本中央競馬会が展開する場外勝馬投票券発売所「ウインズ渋谷」の隣に店を構える「鉄板やきそば・酒場しぶやき」。土日になると多くの競馬ファンが店を訪れ、競馬観戦をしながら焼きそばやアルコール類を楽しみます。父の店を継ぐ形で昨年9月に店長となった大竹淳平さんは、土日営業のみだった店を平日も営業するスタイルへと変更し、オリジナルメニューの開発にも挑戦しています。

「土日の主な客層は競馬ファンの方々ですが、近隣がオフィス街なので、平日はサラリーマンやOLの方も多くいらっしゃいます。IT業界に勤めるお客様が来店する際には、自分のエンジニアとしての経験が会話のツールになることもありますね」

「焼きそばは、桜えびの旨味を抽出したえび油を使用し、麺を鉄板の上でじっくりと蒸してから提供するのがしぶやき流。ただ、平日と土日では、販売する焼きそばメニューが違うのが大きな特徴となっています。

「土日は人が多いので、立ち食い形式で『クラシック焼きそば』を提供しています。父の味を受け継いだメニューです。細麺に少し薄味のウスターソースを絡めた、縁日で食べる焼きそばに近い味わいです。平日限定販売のソース焼きそば『しぶやき・黒』は、モチモチした食感の中太麺に、独自にブレンドしたとろみのあるソースを絡めたもの。『しぶやき・白』は、自家製だし塩を使った塩焼きそばです。どちらも焼きそば専門店として、ここでしか食べられない味にしています」

黒焼きそばにオリジナルソースをかけた“出会い系焼きそば”

平日には、黒焼きそば以外にもさまざまな創作焼きそばがメニューを彩ります。

「黒焼きそばにカレーをかけた“イエロー”、ミートソースをかけた“ピンク”、麻婆豆腐をかけた“マーブル”といった『出会い系焼きそば』も好評です。焼きそばは競馬の枠の色にちなんだメニュー名にしています」

「最近はネーミングに困っています」と苦笑するほど、焼きそばのメニュー数は豊富。さらに、焼いたキャベツにいかの塩辛をのせた「鉄板キャベツいかの塩辛」や、バナメイエビをえびせんの上にのせて焼いた「自家製辣油ニンニクシュリンプ」などなど、大竹さんおすすめのつまみメニューも支持を集めています。

どの料理にも合うお酒といえば、ビールに次いで人気なのがレモンサワー。土日には競馬の願掛けとして飲む人が多い『バリキング』も好評です。

酸味と渋みのある『シチリアレモンサワー』に少しだけ甘い『瀬戸内レモンサワー』、甘み・酸味・渋みが三拍子そろった『三冠王パンチレモンサワー』と、どれも焼きそばを食べた後の相性も抜群です。また、焼酎のリキュールを炭酸で割る『バリキング』はハイボールに近い味。通常の濃さの『単勝バリキング』と2倍の濃さの『馬連バリキング』、瀬戸内レモンシロップをかけた『上がり馬バリキング』、氷彩サワーで割った『合わせ馬バリキング』を販売しています。

7月には、新たにエスニック系焼きそば「しぶやき橙(トムヤムクン&パクチー)」やプレミアムレモンサワーも発売。今後も新メニューを考えつつ、将来的には新店舗オープンも目指していると大竹さんは言います。渋谷という枠を超え、競馬ファンならずとも、今後ますます人気を呼びそうです。

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あぺたいと酒場 月島店

東京で30年近く、数多くのファンの心を掴み続けている焼きそば専門店「あぺたいと」。現在、首都圏7店舗を展開していますが、「あぺたいと酒場 月島店」はその中でもお酒のラインアップが豊富な店舗。カレーライスや味噌漬け豚丼など、焼きそばとのセットメニューもボリューム満点。男性客を中心に人気です。

あぺたいと酒場 月島店
住所:東京都中央区月島3-14-8
電話番号:050-5305-6086
営業時間:[火~木]11:30~24:00
[金・土]11:30~25:00
[日曜・祝日〕11:30~22:00
定休日:月曜(月曜が祝日の場合は翌日)

外はパリッと、中はふんわりの「両面焼きそば」

焼きそば専門店「あぺたいと」の名物フードは、外はパリッと、中はふんわりとした食感が特徴の「両面焼きそば」です。

「開店のきっかけは、大分のご当地焼きそば『日田焼きそば』との出合いでした。両面が焦げるくらいに焼き目をつけたパリパリの食感の麺は、大分を越えて九州の多くの人に受け入れられていましたから、これは東京でも支持される味に違いないと思ったんです」

有限会社アペタイト代表の飯野雅司さんは、日田焼きそばの専門店「想夫恋」で1年半修業した後、1980年2月に「あぺたいと」1号店を東京・高島平にオープン。現在は都内に7店舗を構えています。なかでも「あぺたいと酒場 月島店」は、「両面焼きそばをお酒とともに楽しんでほしい」というコンセプトでオープンしたお店。その魅力について聞きました。

「当店の麺は水にこだわっています。麺をつくるときにかん水を溶かして、右に100回、左に100回、さらに右に100回、水をかき混ぜているんです。右回りは水を硬く、左周りは柔らかくするイメージ。科学的には実証されていないそうですが、いいものは取り入れてみようと思うんです」

水にこだわった麺は低加水の生麺で、多加水の蒸し麺と比べてきつね色の焼き色が付きやすい特徴があります。焼きそばの外側と内側で食感の差が出るように、鉄板では麺をあまり広げすぎずに焼くのもポイント。蒸し炒めることでパリパリになり過ぎない、絶妙な焼き加減になります。

また、味の決め手となるソースは、30年かけて少しずつ変化を加えてきたもの。素材の旨味を引き出し、“さっぱり”と“コク”を両立しています。

このオリジナル麺と特製ソースが自宅でも味わえると人気なのが、通販限定の「両面焼きそばチャレンジセット」。ホームページから購入が可能です。

インスタ映えを意識した「あ! 紅ショウガサワー」

定番メニューの「両面焼きそば」に加えて、最近、新メニューとして人気なのが「エビマヨ焼きそば」。マヨネーズを絡めたブロッコリーとエビがのった商品です。

「最近のカップ焼きそばはマヨネーズ付きが定番。当店のお客様でもマヨネーズをかける人が多い。そこから着想を得たのが『エビマヨ焼きそば』です。マヨネーズ・エビ・焼きそば、それぞれの相性が抜群で、味も食感もいいんです」

焼きそば以外にも、築地から直送した刺身など、つまみの品ぞろえも豊富。そんな一品料理の数々、そして焼きそばと合わせたいのが、焼きそばに欠かせない紅しょうがを活かしたお酒「あ!紅しょうがサワー」です。

「『あ!紅しょうがサワー』も最近開発した新メニューですが、ぜひ味わってほしいですね。ものめずらしさで注文したお客様が、飲んでみると意外な美味しさで『あ!』と驚く、という。1杯目はインスタ映えを意識して紅しょうがをあえて高く盛り付けています。余った紅しょうがはおつまみとして食べたり、焼きそばの付け合わせにしたりするのもいいですよ」

新メニュー開発にも余念がないあぺたいと。その根底にあるのは、常に良いものを目指し、変わり続ける姿勢です。

「ソースも麺も、日々、少しずつ良いものを目指した結果、最初の頃とはだいぶ違うものになっています。出発点は大分の焼きそばですが、そこから30年をかけて、今の『あぺたいと』の味があり、富士宮焼きそばや横手焼そばがあるように、東京の両面焼きそばとして支持される味を目指していきたいですね。その意味では、ここ月島店っていうのは外国人観光客も多い場所柄、頑張りがいがありますよ」

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3・6・5酒場 渋谷本店

今年2月21日に渋谷でオープンした「3・6・5酒場 渋谷本店」。そこからわずか半年足らずで、渋谷センター街、池袋西口、池袋サンシャイン店と計4店舗を都内に構えています。看板メニューの「鉄鍋餃子」を20分以内に100個食べきるチャレンジメニューも365日開催中です。

3・6・5酒場 渋谷本店
住所:東京都渋谷区神南1-22-10 皆川ビル2F
電話番号:03-5728-2194
営業時間:12:00〜24:00
定休日:ビルに準ずる

常に熱々の焼きそばを提供したいから、つくりおきはしない

「当店のメニューは、誰が食べてもおいしい、万人受けのするラインアップです。『鉄鍋餃子』と並ぶ看板商品の鉄板づくりの『屋台風鉄板焼きそば』は、熱々でジューシーな屋台風焼きそば。焼きそばといえば、小さい頃から当たり前のように食べてきている日本人のソウルフード的な部分もあるメニューです。おつまみとしても、ライスと合わせて食事としても楽しめると考え、メニューに加えています」

そう語るのは、「3・6・5酒場」を経営する株式会社コロワイドMD商品マーケティング部の藤原なつみさん。今年2月に渋谷でオープンした同店は、美味しさ・安さ・気持ちのいいサービスを提供することをコンセプトに365日休まず営業しています。

「当店の鉄板焼きそばは常に出来立てを提供するため、つくりおきは一切していません。18時から22時の間、1時間に1度ずつ各テーブルを回ってオーダーをとってからまとめて調理しています。焼きそばのような鉄板料理は一度に大人数分つくった方が美味しいですから」

そのまま食べるのも良し。焼きそばのソースとトロッとした黄身が絡んでおいしい「目玉焼きのせ」、ねぎ好きにはたまらない「ネギたま」といったトッピングメニューも人気です。

「神戸のご当地グルメで、煮込んだ牛すじとこんにゃくが入った『ぼっかけ焼きそば』(1日20食限定)も注文をいただくことが多いですね。関東圏では食べたことがない人も多く、ご当地グルメへの関心も高いので、当店がアンテナとなって広まってくれたらいいなと思います」

調理に時間がかかっていると思わせない仕組み

「鉄鍋餃子」も博多ではおなじみのご当地グルメ。ほぼ100%、来店したお客様がご注文するという大定番メニューで、女性にも食べやすい小ぶりなサイズ感も好評の要因です。ただ、「鉄板焼きそば」にしても、「鉄鍋餃子」にしても、鉄板メニューはオーダーを受けてから調理するため、どうしても提供するまでに時間がかかってしまいがち。それでも支持を集める要因には、お客様を待たせないための工夫がありました。

「タコぬたやマカロニポテトサラダなど、注文を受けてからすぐに提供できるメニューをたくさん揃えています。料理を待つ時間が気にならないよう、お客様側の席から見える位置に設置した冷蔵庫から従業員がすぐに取り出して持っていけるようにしています。当店はお通しがないので、それを踏まえて頼まれたものをすぐに出す。特に冷たいものに関してはなるべく早く出そうという意識を店全体で高めています」


焼きそばに合う生ビールは中ジョッキが190円という破格の安さ。また1000mlとボリューム満点の「ギガハイボール」、こってり系の商品にも合う「365レモンサワー」も人気です。

「現在は渋谷、池袋で4店舗ですが、7月・8月には千葉・所沢にも新たにオープン致しました。これからも美味しさ・安さ・気持ちのいいサービスの三本柱を大事にしながら多くのお客様をもてなしていきたいですね。『外食って楽しいな』と思っていただけたら最高です」

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平日と土日でメニューを変える、両面に焼き目をつける、大人数分をまとめて調理、などそれぞれ違った形で焼きそばの魅力を引き出していた3店舗。一方で共通していたのは、まだまだ知られていないであろう焼きそばの新たな魅力を伝えたいという想いです。誰もが愛する定番フードである焼きそばを、それぞれの店が考える最高の状態でオススメのお酒とともに提供すること。そこにこそ、お客様に愛され続ける秘訣が隠されているのではないでしょうか。

※店舗情報及び商品価格は取材時点(2018年7月)のものです

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