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静かなブーム!カレーうどん特集

カレーうどんはうどん店、そば店の定番メニューですが、最近「こだわりのカレーうどん」が注目を集め「カレーうどん専門店」が増えています。「カレー」と「うどん」の組合せは男女を問わず幅広い客層に愛されており、個性際立つカレーうどんは多くのリピーターを獲得しています。従来とは違う個性際立つカレーうどんは、新たなファン層を獲得し、これらも裾野を広げていくと思われます。カレーうどんで話題を集める都内の3店舗をレポートします。
プルーカフェ

 JR山手線目黒駅から徒歩2分のオフィス街に手打ちうどん「こんぴら茶屋」があります。7坪20席の客席は11時の開店と同時に満席になる人気店です。人気のメニューは「牛かれーうどん」で1日200杯、多い日には300杯以上もオーダーされます。同店はTVや雑誌の「カレーうどん特集」で頻繁に取材されています。こだわりの人気メニュー「牛かれーうどん」について、尾藤店主にお話を伺いました。

■ こんぴら茶屋
住所:東京都品川区上大崎3-3-1 坂上ビル1階
電話:03-3441-2491
定休日:なし(年末年始は除く)
営業時間:
(平日)11:00~翌1:00
(土日祝日)11:00~23:00

● 香川県出身の店主こだわりの「牛かれーうどん」

尾藤店主
 香川県の金比羅宮参道近くで育った尾藤店主は、小学生の時から製麺を経験し、東京の大学を卒業後香川のうどん店で修行を重ねて1983年に同店を開業しました。尾藤店主は大のカレーうどん好きで、開店以来東京中のカレーうどんを食べ歩いて自店のメニューのレベルアップに取り組み、ここ10年で「牛かれーうどん」を看板メニューに育てました。
 尾藤店主は原料にこだわりを持っており、かえしは小豆島産醤油、ダシには利尻昆布や漁師直送の煮干を使用し、トッピングの餅は和菓子店に特注して使っています。うどんは毎朝手打ち麺機で自家製麺し、熱いカレースープでも茹でのびしない太さに仕上げています。

● 「鰹節、昆布、いりこのダシ感が強いスープ」

 尾藤店主が「牛かれーうどん」で最も重視したのは「ダシ感の強いスープ」です。ピリッとしたカレーの辛さと共に、ダシがしっかり味わえるスープは、トロみが強くコシの強い太いうどんによく絡みます。具は牛肉と玉ねぎがたっぷりで、スパイシーなカレースープに鰹節、昆布、いりこのダシが絶妙のバランスで絡みます。辛さは中辛の「レギュラー」と辛口の「ホット」があります。
 「牛かれーうどん」は、生玉子、温泉玉子、チーズ、もち、トマト、エビフライ、揚げなす、つけめん(うどん)などバリエーションが豊かです。また、コーンやサクサクたぬきなどのトッピングも出来ます。
 カットしたプチトマトがトッピングされた「トマト牛かれーうどん」は、好みで粉チーズをかけて食べます。また、うどんを食べて残ったカレースープにご飯を入れて、リゾット風にして食べる事が出来ます。
トマトかれーうどん(1,200円)
カレースープに小ライス(160円、ランチ時130円)を加えて
 「牛かれーうどん」を柱とするこだわり抜いた本格的なカレーうどんを提供し続ける事で、近隣だけでなく遠方からのお客様にも「こんぴら茶屋」へ足繁く来店いただく事を目指しているとの事でした。

JAZZ KEIRIN

 東京都世田谷区の京王線下高井戸駅から徒歩2分の駅前商店街にうどん店「JAZZ KEIRIN(ジャズ ケイリン)」があります。「店内にジャズが流れ、競輪中継を見ながら、美味しいうどんを提供する」、栂野(とがの)店主が自分の趣味をモチーフとした理想のうどん店です。同店のメニューは創作うどんが中心で、カレーうどんは「白カレーうどん」「黒カレーうどん」の2種類があります。人気のカレーうどんについて、栂野店主にお話を伺いました。
■ JAZZ KEIRIN
住所:東京都世田谷区松原3-30-7 大和屋ビル1階
電話:03-3325-4916
定休日:水曜日の夜、木曜日
営業時間:11:30~14:00、18:00~21:00
※麺または出汁が無くなり次第終了
(ラストオーダーは月曜~金曜20:30、土曜~日曜20:15)

● 9つの色をテーマにした創作うどんメニュー

競輪選手ユニフォームの9色のうどんメニュー
 栂野店主は元々輸入雑貨を扱う会社を経営していましたが、お客様と直接触れ合う事が出来る飲食店経営に憧れを持ち、たまたま競輪観戦に訪れた岡山県で美味しいうどんに出会いました。そして、このような美味しいうどんを提供しようと思い立ち、うどん屋に転身されました。そんな栂野店主のお薦めメニューは、競輪選手のユニフォームの9色をテーマにした創作うどんです。
白カレーうどん(通年)、白の肉うどん(通年)
黒カレーうどん(通年)、黒の肉うどん(春秋限定)
赤ぶっかけ(夏限定)、赤煮込み(冬限定)
青ぶっかけ(夏限定)
木の実ぶっかけ(夏限定)、黄色いかぼちゃ天温ぶっかけ(冬限定)
緑の煮込み(冬限定)
オレンジ釜玉(夜限定)、オレンジぶっかけ(夏限定)
桃雪(通年)
温玉・冷玉(通年)
 橙色の「オレンジ釜玉」は、「コアントロー(※)」を揚げたてのかしわ天にかけて、熱で気化するオレンジの香りを楽しむ釜玉うどん(メニューには、「常連のみの裏メニュー」と記載されています)です。「他のうどん店では提供していない、独創的なうどんメニューをお客様に評価してもらいたい」との思いが込められた究極の一品です。
(※)オレンジの香りとまろやかな甘さが特徴のフランス産リキュール。
● スパイシーな「白カレーうどん」、ダシの効いた「黒カレーうどん」

 同店には、白と黒の2種類のカレーうどんがあります。「白カレーうどん」は、栂野店主が雑貨の輸入で行き来していたスリランカのスパイスを使用しています。スリランカのカレーは辛口のスパイシーな味わいで芳醇で力強い香りが特徴です。
 「黒カレーうどん」は和風で、黒胡麻の風味とダシが効いたコクのある味わいです。スパイスが効いていますが、それ以上にダシが濃厚で力強いコクがあります。「スープを最後まで飲み干したくなるようなうどん」を目指してこだわり続けています。
 同店では毎朝手打ち麺機で製麺しており、コシのあるうどんを茹で上げるのに15分程時間をかけています。夜の営業時間になるとうどんが無くなってしまうので、お客様に迷惑をかけないように残りの食数をツイッターで告知しています。
 栂野店主のこだわりと独創性の「カレーうどん」だからこそ、遠方のお客様でさえ魅きつけているのだと思われます。
白カレーうどん(790円)
黒カレーうどん(790円)

麻布O庵

榎本店長
 東京メトロ白金高輪駅から徒歩5分の明治通り沿いに「麻布O庵(あざぶおーあん)」があります。禅の世界では「無」を「O」で象徴していますが、それに倣ってカレーうどんづくりにゼロから取り組むという想いが店名に込められています。
 同店は日本で最も歴史のある国際的なオークションハウス「エスト・ウェストオークションズ株式会社」の関社長が経営し、レシピづくりも自ら手懸けています。
 同店のカレーうどんに対するこだわりを伺いました。

■ 麻布O庵
住所:東京都港区南麻布2-15-7
電話:03-5765-6881
定休日:火曜
営業時間:
(平日) 11:30~15:00、17:00~23:00
(土祝) 11:30~23:00
( 日 ) 11:30~22:00

● これまで食べたカレーうどんには一度も満足出来なかった

 関社長は食べ歩きが趣味で、カレーうどんを数多く食べてきました。しかし、味や香りに物足りなさを感じて一度も満足する事が出来なかったそうです。元々調理する事が趣味で、自分でレシピを作ってみようと考えていたところ、都内の割烹料理屋で食べたスープカレーがヒントになって、はじめて満足出来るカレーうどんに辿り着きました。
 カレーと醤油は世界中どこにでもある調味料です。本業で海外に出掛ける事が多い関社長は、自分が満足出来たカレーうどんを日本だけでなく、海外にも広めたいと考えています。白金高輪の店はパイロット店としての位置づけで、アジアなどに展開していく計画です。
● カレースープに「旨みルー」を加えるとフルーティーに

 同店のうどんメニューは、「飛騨牛のカレーうどん」「イベリコ豚のカレーうどん」の2種類です。柔らかい肉質が特徴の黒毛和牛「飛騨牛」はダシ感を強めて、独特の芳香とオレイン酸を豊富に含んだ「イベリコ豚」は香辛料を多めに使用して、時間をかけてダシを取っています。
 2種類のカレーうどんには口直しとして、高知県産の生姜を無添加で漬けた自家製ガリが添えられています。その他に同店では、山椒の強い黒七味、とろとろ温泉湯豆腐、抹茶入り玄米茶などこだわりの逸品を集めています。
 うどんを食べた後には「自家精米ご飯とオリジナル旨みルーのセット」を追加するのがお薦めです。残ったカレースープに果物や野菜がベースの「旨みルー」を加えると、スパイシーなカレーがフルーティーなカレーに変化し、更にセットの飛騨牛しぐれ煮と温泉玉子で味に変化を加えると、うどんの後のご飯もなんなく召し上がれます。
 うどんのメニューが2種類だけというのは同店のカレーうどんに対する自信の表れです。そして「旨みルー」のような独創的なメニューの工夫など、挑戦的なカレーうどんは今後ますます注目されると思います。
飛騨牛のカレーうどん(1,100円)
カレーうどん(1,100円)
自家精米ご飯とオリジナル旨みルーのセット
(飛騨牛しぐれ煮、温泉玉子付 350円)

 今回取材させていただいた店舗に共通しているのは「徹底したこだわり」と「お客様視点での食べる楽しさ」です。
 一般的に「カレーうどん」と言えば、同じような具材、メニューになりがちですが、その既成概念を突き崩し、「おっ!」と思わせる「独創性」がお客様に愛されるカレーうどんの秘訣かも知れません。
 当り前の定番メニューも「熱い想い」と「徹底したこだわり」で、お客様を感動させる逸品に変貌するのだということに、今回の取材を通して気付かされました。

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