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カスタード、チョコ、イチゴジャムなど、1つで3つの味が楽しめる「3色パン」。ひと昔前、子どものおやつの定番商品でしたが、最近は見かけることが少なくなってきました。 しかしその一方で、個性的なフィリングや外観の「3色パン」で、熱烈なファンを獲得しているベーカリーもあります。<パンを食べる楽しみ>を子どもたちに提供する「3色パン」。今の時代に注目すべき個性的な「3色パン」の数々を取り上げました。 ![]() |
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カスタード、チョコ、イチゴジャムなど、1つで3つの味が楽しめる「3色パン」。ひと昔前、子どものおやつの定番商品でしたが、最近は見かけることが少なくなってきました。 しかしその一方で、個性的なフィリングや外観の「3色パン」で、熱烈なファンを獲得しているベーカリーもあります。<パンを食べる楽しみ>を子どもたちに提供する「3色パン」。今の時代に注目すべき個性的な「3色パン」の数々を取り上げました。 ![]() |
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■ みんなのぱんや
住所:東京都千代田区丸の内2‐7‐3
東京ビル TOKIA 地下1階 電話:03‐5293‐7528 営業時間:午前11時~午後7時 ● 昭和30年代のパンとして再現
「三色ぱん」(273円)も、その中の一つです。各フィリングの詰まった3種類のパンがサークル状に結合した、その見た目からも、昔懐かしさを醸し出しています。 「昭和30年代に作られていた形を参考にしています。3種類のパンを一文字に並べる形では、真ん中に何が入っているか分かってしまうので、円形にしています」(開発担当の牛尾則明さん) どこに何のフィリングが入っているかを、あえてわからなくさせることで、<食べるときの楽しみ>を創出しています。3種類のパンのトッピングすべてを白ゴマで統一しているのも、そのためです。 フィリングは、つぶあん、カスタード、ラズベリーカスタードで、すべて自家製です。 「『三色ぱん』ということで、色目を3色出す必要がありました。召し上がりながら、小豆色、クリーム色、ラズベリー色の3色を、目でも楽しんでいただけるようにしています。また、生地もフィリングも、吟味した材料で丁寧に作っているので、昔懐かしい手作りの味を楽しんでいただけると思っています」(牛尾さん)
● フィリングを変えてからファンが増加
「カスタードとつぶあんは変わっていませんが、ラズベリーカスタードは当初、いちごジャムでした。昔懐かしの三色パンとしては、いちごジャムの組合せの方が、皆さん食べ慣れているかと思います。でも、ラズベリーカスタードに変えてからの方が、ファンのお客様が増えました。『珍しいですね』と手に取られることも増えました」(販売チーフの米桝あおいさん) カスタードとつぶあんはそれぞれ、「くりーむぱん」(189円)と「あんぱん」(168円)とありますが、ラズベリーカスタードを使った商品は、「三色ぱん」以外にはありません。他店でもあまり見かけないことから、その珍しさに目を引かれるのでしょう。 ラズベリーカスタードは、自家製カスタードにラズベリーのジャムではなく、果実そのものを合わせているので、種の粒々感と酸味があって、女性好みの味に仕上がっています。 「『三色ぱん』は、特に女性のお客様に人気があります。4~5個まとめ買いされる方もいて、『差し入れにするんですよ』とおっしゃる方もいます。ほぼ毎日、お昼頃には完売しています」(米桝さん) 同店には、平日の昼時は近隣の会社員が多く来店しますが、そのほかの時間帯や土日は、年配客や家族連れなどが目立ちます。 会社員は、コッペパンサンドや三角サンドに「三色パン」などの菓子パンを合わせてランチ用に購入する人が多く、女性の中には、「三色ぱん」1つをランチ用に購入していく人もいます。 年配客などは、通りがかりに「懐かしい」と言って足を止め、いくつかの種類を購入することも多く、その中に「三色ぱん」がよく入っているそうです。 ※価格は平成26年1月2日からの新価格にて記載 |
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■ 角田屋製パン
住所:神奈川県小田原市本町2‐1‐10
電話:0465‐22‐3314 営業時間:午前8時~午後6時 ● 80年以上定番商品として販売
「写真は今から80年くらい前に撮影されたものです。残されている資料によると、菓子パンは126年前の創業当時からいろいろと作っていたそうです。中身が何だったかははっきりしませんが、おそらく、あんなどが入った三色パンを、80年前にはすでに販売していたようです」(同店社長の栁田勝彦さん) 同時期に撮影された写真には、グローブ形をしたクリームパンも写っていることから、あんのほかにカスタードも入っていたのではと、栁田さんは推測します。 現在店頭に並ぶ「三色パン」のフィリングは、カスタード、こしあん、ジャムの3つで、形は昔とほぼ変わっていません。 「焼成時、昔は型入れをしていたのに対し、今は型を使用しないという違いがあります。また、ジャムは最近、イチゴジャムからリンゴとイチゴをミックスしたジャムに変えました。このように細かな変更点はありますが、基本的な味や見た目は昔からほとんど変わっていませんね」(栁田さん) 約40年前から約20年間続けた卸販売でも、三色パンは人気アイテムの一つでした。追加注文も入るほどだったそうです。
● 大人も子どもも楽しんで食べられる
「親子三代で買いに来られるお客様もいます。お婆様は、『女学生のとき、学校帰りによく食べていたんですよ。孫も気に入っていてね』とおっしゃっていました」(栁田さん) 大人は、「三色パン」に子どもの頃に食べた昔懐かしい味を求めているようです。 同店にはもう一つ、3つの味が楽しめる商品があります。小ぶりのパンが3つ串刺しになった「だんごパン」(160円)です。パンの表面には、目、鼻、口がアイシングで描かれています。 「子どもたちの間で流行った歌からヒントを得て作り、10年以上前から販売しています。中身は、カスタード、あん、そして、子どもの好きなチョコレートを入れています」(栁田さん) 購入時は、袋でなくパックに入れます。これは、子どもから「アイシングのデコレーションに傷が付かないように持ち帰りたい」というリクエストがあったためです。 「顔が命といいますか、見た目も大事みたいです。親子で買いに来られても、『だんごパン』だけは、お子さんが大事そうに持ち帰るというシーンをよく見かけますね」(栁田さん) 「だんごパン」は、子どもだけでなく大人にも人気で、ある会社から社員のおやつ用に80個注文が入ったこともあります。 「さすがに、デコレーション作業に骨が折れます。でも、一つひとつ表情が違う、手作りの良さを楽しんでいただけて作りがいがありますね」(栁田さん) 以前6つの味が楽しめる「六色パン」を販売したこともあります。フィリングはすべて和風のあんで、栗、芋、小倉、うぐいす、白、こしの6種類です。各フィリングが入った6つのパンは、一つひとつが通常サイズの「おぐらあんぱん」(140円)の4分の1の大きさなので、全体のボリュームはさほどありません。 「あん好きな女性にとても好評で、年配の方からは、いろいろな味を少しずつ食べられると喜ばれました。人手の都合で作らなくなったときは、残念がって下さるお客様もいました。『だんごパン』も手間がかかりますが、子どもたちの喜ぶ顔を見たら、頑張らざるを得ないですね」(栁田さん) |
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■ ベーカリーオーフェン
住所:東京都武蔵野市西久保2‐3‐12 榎本第一ビル1F
電話:0422‐54‐4321 営業時間:午前8時~午後8時 ● 昔から守り抜いた製法で変わらない味を提供
例えば「苺ジャムパン」(147円)は、そぼろがトッピングされていたり、「クリームパン」(147円)はグローブ形に成形され、表面にスライスアーモンドが散らしてあります。 「三色アンパン」(283円)は、専用の型を使って成形されており、黒ゴマ、白ゴマ、ケシの実が各フィリングの入ったブロックごとにトッピングされています。 「昔からずっと同じ製法で作り続けていて、トッピングの細かなところまで変えていません。この前、初めて来店された方が『ジャムパン』のそぼろを見て、『最近見かけなくなったのですが、このそぼろが好きだったんです』と喜んでおられました。『三色アンパン』のトッピングや形もずっと変えていないので、何十年ぶりかにいらしたお客様が、一目見て、『まだあってよかった』とおっしゃってくれました」(販売担当の北村薫さん) 「三色アンパン」の生地は、「白あんぱん」(147円)などに使用している菓子パン生地ではなく、昔からブリオッシュ生地を使用しています。 「ブリオッシュ」(73円)は口どけが良く、子どもに人気がある商品です。子ども連れのお客様も多い同店の「三色アンパン」は、母と子で分け合って食べるのにも適しています。
● リクエストに応えてあんを自家製に
「実は少し前まで1年間ほど、梅あんの仕入れができなくなってしまったため、代わりに苺ジャムを入れていました。ですが、梅あんを惜しんで下さる方が多く、当店で作ることにしたんです」(薫さん) 白あんに、ゆかりを合わせた梅あんは、薄ピンク色がきれいで、その見た目は女性客から好評です。また、梅の香りと塩気が少し効いており、白あんとうぐいすあんの甘さに対して、いいアクセントを与えています。梅あんは、特に年配の女性客から人気があり、苺ジャムに変更せざるを得なかった時期は、かなり残念がられたそうです。そこで、自家製の梅あんを用意することで、お客様のリクエストに応えたのです。 「三色アンパン」は、あんの色合いやその見た目などから、春の入学祝の品としても使われることがあるそうです。変わらない味を提供していくことで、お客様の思い出を守り続けていくことができるのでしょう。 |
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■ サンセリテ
住所:埼玉県狭山市狭山台3‐11‐2
電話:04‐2957‐8934 営業時間:午前7時~午後7時 ● 3色パンでグランプリを受賞
作品名は「tokyoポップアップ」。この名前とパンの形状に込めた思いを、同店の高田知明オーナーシェフは次のように話します。 「東京発祥と言われているあんぱん、クリームパン、メロンパンが、東京から全国に向けて広まっていった様子を表現しました」 3種類のパンの外側を、デニッシュパンでくるみ、ピスタチオをトッピング。その緑色で東京を象徴する山手線をイメージしています。3種類のパンは、デニッシュパンの枠から今にも飛び出しそうな立体的な形状で、これらが東京から全国へ、広まっていった様を想像させます。 「tokyoポップアップ」は、現在店頭で販売はしていませんが、受賞後1週間の期間限定で販売したところ、毎日売り切れる人気となりました。 「3種類のパンは、それぞれ専用のパン生地で作っていますので、1つの製品を作るのに少なくとも3倍以上の手間がかかってしまいます。こうしたこともあって販売は終了してしまいましたが、今後、3色パンのように1つのパンで3つの味が楽しめる商品を作ってみたいと思います。例えば、1枚のデニッシュ生地の上に、3種類の具材をトッピングするなど、できるだけ手間のかからない商品を開発したいですね」(高田さん)
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今回取材した3色パンはどれも、おいしさだけでなく、楽しさも詰まっていました。パンの中身にたどり着くまでの期待感や、分けて食べる楽しみなど、パンの魅力を改めて感じさせられます。作るのに手間はかかりますが、その分、お店の個性や魅力をお客様に伝えることができるアイテムの一つだと言えます。また、フィリングや見た目の多様化によって、子どものおやつという枠を超え、幅広い層から支持されるアイテムへと変化しているようです。固定客を増やすためにも、おいしさ、見ための美しさだけではない「パンの楽しさ」を体現してくれる3色パンを皆様のお店でも検討してみてはいかがでしょうか。 |