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うどんと言えば「讃岐うどん」のイメージがありますが、うどん文化は日本全国にあり、九州生まれのうどんは、讃岐うどんよりも長い歴史を持つそうです。 九州地方で一般的に食べられているうどんは、讃岐うどんとは対照的に麺が柔らかいという特徴があります。そしてつゆは、九州産の醤油を使用した少し甘めの味、トッピングはごぼうの天ぷらや丸い形をしたさつま揚げ「丸天」が定番です。 最近は都内でも九州うどんを提供する店が増えています。今回は九州出身者からも高い評価を得ている都内で人気のうどん店を取材しました。 ![]() |
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うどんと言えば「讃岐うどん」のイメージがありますが、うどん文化は日本全国にあり、九州生まれのうどんは、讃岐うどんよりも長い歴史を持つそうです。 九州地方で一般的に食べられているうどんは、讃岐うどんとは対照的に麺が柔らかいという特徴があります。そしてつゆは、九州産の醤油を使用した少し甘めの味、トッピングはごぼうの天ぷらや丸い形をしたさつま揚げ「丸天」が定番です。 最近は都内でも九州うどんを提供する店が増えています。今回は九州出身者からも高い評価を得ている都内で人気のうどん店を取材しました。 ![]() |
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■ 博多うどん・そば 丼拓
住所:東京都中央区八重洲1‐4‐20
電話:03‐5542‐1870 営業時間: 午前7時~午後9時、 土曜日は午前8時~午後3時、 祝日(大型連休は除く)は午前10時半~午後3時、 日曜休み ● 本場博多の味を知る人が好む味
同店の注文口では、こう口にするお客様が全体の1~2割を占めます。 カツオ、サバ、うるめいわし、九州から取り寄せるニビシ醤油などで作る香り高くコクのある出汁を使った、同店の各メニューの麺は、うどんの硬麺とうどんの柔麺、そして蕎麦の3種類の用意があります。うどんを注文した場合、通常は硬麺となりますが、追加注文で差額50円を支払えば、柔麺を指定できるという仕組みです。硬麺は讃岐うどんの、柔麺は九州うどんの、それぞれ食感と味が楽しめます。 「柔麺を始めてまだ1カ月ほどなのですが、口コミで広まっているようです。常連の方だけでなく初めて来店される方も、柔麺を選ばれる際は、注文口で迷いなく注文されますね」(店主の吉塚英樹さん) 同店の柔麺は、本場博多にある人気うどん店で使用されているものです。 「博多から出張でいらしたお客様に、『博多で食べているのと同じ麺の味がする』と喜んでいただいています。柔麺を製造している工場は少なく、硬麺とは異なる工場から冷凍状態のものを仕入れています」(吉塚さん) 硬麺も柔麺と同様に冷凍状態で仕入れており、茹で時間は30~40秒。これに対して柔麺もさほど長くなく、1分で茹で上がります。 「柔麺の柔らかさは、長く茹でるからという訳ではありません。ですので、口に入れたとき、表面はふわふわとした柔らかさを感じますが、噛むともちもちする食感が、柔麺の特徴です」(吉塚さん) ● 関東風にアレンジを効かせる
「今は、もともと博多うどんの味を知っておられるお客様の方が多いと思います。東京駅からすぐという好立地で開業したのは、全国の人たちに、博多うどんのおいしさを知っていただきたいという思いからです」(吉塚さん) 吉塚さんは博多出身。以前、吉塚さんのお母様も、神奈川県藤沢市で博多うどんの店を切り盛りしていました。博多うどんの味は、博多から遠く離れた神奈川県でも好評でした。こうした経緯があって、吉塚さんは開業に至ったのです。 「博多うどんを一度も召し上がったことのない方が、柔麺と聞いたら、歯応えのない柔らかい麺を想像されると思いますし、讃岐うどんの方が一般的な都内では、柔らかい麺のうどんを食べようと思う人は少ないと思います。ですので、博多のスタイルのままでは、この場所に根付いていくのは難しいと考えています」(吉塚さん) 食べたことのない人に、博多うどんの味を知ってもらうため、吉塚さんは、麺とつゆのどちらも関東風にアレンジしています。 「麺を、柔麺だけでなく蕎麦と硬麺も用意したことと、つゆを、関東の方にとって薄味に感じられないように、出汁をかなり濃いめに使っています。色味は薄いですが、風味やコクはしっかり感じられるようになっています」(吉塚さん) また、トッピングメニューにかき揚げを加えたのも、関東風のアレンジだそうです。吉塚さんは、こうして味の幅を広げ、九州の人にも関東の人にも満足してもらえる博多うどんを目指しています。 |
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■ 博多うどん よかよか 東京交通会館店
● 昔ながらの博多うどんを東京に広めたい
「最近は、伊勢うどんなど讃岐以外のうどんも注目されるようになってきたので、博多うどんもその波に乗れたらいいと思っています。当店の入居する東京交通会館には、全国の物産館が数多くありますから、ローカル食としての博多うどんに興味を持っていただきやすい立地だと思いました。周辺に博多うどん専門店はないですし、どのくらい受け入れていただけるか、試験的な意味も込めて始めたのですが、今では男性サラリーマンの方から特に好評いただいております」(後藤さん) ● トッピングは定番アイテムを用意
1種類のトッピングは博多うどんの定番アイテム「ごぼ天」(150円)や「丸天」(150円)、「かしわ」(200円)などから日替わりです。 「『丸天』は博多から取り寄せていて、麺を覆い隠してしまうくらいの大きさが特徴です。『かしわ』は、歯応えのある親鶏のもも肉と胸肉を甘辛く炊いたもので、温かいつゆに浸して食べるとおいしさが引き立ちます」(後藤さん) 汁は、いりこをベースに、そのほか昆布などでとった出汁と、甘めに仕上げた返しを合わせています。その汁に、ふわっとした柔らかさが特徴の麺がよく馴染みます。 「いりこの香りが癖になる味だと思います。麺は、都内の製麺所に特注しています。店舗内で自家製麺していた開業当初、お客様から柔らかすぎるとのご指摘があり、加水率や茹で時間などを嗜好錯誤した結果、現在のようになりました。当店の麺の茹で時間は40分なのですが、関東ではそんなに長時間茹でる麺がないようで、特別に手間をかけて作っていただいています」(後藤さん) 以前の麺は、箸で掴むと切れるほどでしたが、現在は切れない程度の柔らかさになり、本場の博多うどんの味を知っているお客様からも好評だそうです。 また、うどんを入れる器は、福岡県で作られている小石原焼きを使用しています。 「ローカル食としての博多うどんの魅力を感じていただくために、器も現地の窯元に特注しました。サイズは、博多うどんの器としては、少し厚く大きめにしています。お客様の服につゆがこぼれないように、また、女性のお客様が手に持っても火傷しないようにするためです」(後藤さん) 味だけでなく器からも、現地の魅力を体感してもらいたいという思いが込められています。このように地元色をできるだけ多く打ち出していくことで、さらに博多うどんの認知度を上げていくことができるのでしょう。 |
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■ 九州豊前うどん 武膳 神田小川町本店
住所:東京都千代田区神田小川町3‐11‐12
インペリアルお茶の水ビル1F 電話:03‐5283‐6226 営業時間: 午前11時~午後3時半、 午後5時半~午後11時 (土曜日は午前11時~午後3時、日曜、祝日休み) ● うどん激戦区で10年間営業
「小倉の修行先では、のれん分けができるエリアは北九州の限られた場所と決まっていたのですが、師匠から承諾をいただくことができ、神田小川町本店を開業することができたんです。当初からこの界隈には、うどん店が数店ありました。それから現在に至るまでにさらに増えて、都内でも有数のうどん店激戦区になっていると思います」(福島さん) 開業当初は、ランチタイム、ディナータイムともに、豊前うどんのみを提供していましたが、会社員の多い場所柄、お酒の要望を多く受けたことから、ディナータイムは居酒屋としてのメニューも揃えるようになりました。 都内では同店を含め4店舗、千葉県に2店舗、福岡県に1店舗を展開しています。同店以外の店舗は、1日中うどんのみを提供しています。 ● ぶっかけがお勧めの細麺
「学生も多い立地ですが、当店のお客様は、少し高くてもおいしいものを食べたいという会社員の方が主なお客様です。揚げたてのごぼうの天ぷらは、ハーフサイズもご用意しており、女性のお客様にも好評です」(林田真一店長) 「ごぼうおろし」は、別添えのたれを食べる直前にかけて食べるぶっかけうどんです。 「豊前うどんの一番の特徴は、麺です。細麺で、稲庭うどんより少し太いくらいです。店舗内で製麺した後2時間以上熟成させます。そして茹で上げ後、冷水でしめることで、しっかりとしたコシと、つるっとしたのど越しの麺に仕上がります。かけより、ぶっかけの方が、こうした麺の特徴を感じてもらいやすいと思います」(福島さん) 「ごぼうおろし」のたれや、「ごぼう天」(850円)などのかけうどんに使用するつゆの出汁は、北海道産の羅臼昆布をベースに、数種類の魚介系から取っています。この出汁に、九州の醤油を合わせ、甘めに仕上げています。 同店には、かけ、ぶっかけ、ざる、釜揚げのほか、創作うどんとして、「明太子クリーム」(880円)や「坦々うどん」(900円)といった従来のうどんのイメージにないメニューもあります。 「『明太子クリーム』は、生クリームと出汁を合わせたスープで、トッピングに辛子明太子と海苔、ネギをたっぷりトッピングしています。女性のお客様に人気があります」(林田店長) また、トッピングの天ぷらにその時々の旬野菜を使用するなど、季節限定メニューの開発にも余念がなく、常連客を飽きさせない店づくりに励んでいます。 |
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■ 北九州きょうちゃんうどん
住所:東京都目黒区自由が丘1‐12‐7
電話:03‐5731‐3015 営業時間:午前11時~翌午前2時 ● 大衆的な北九州うどん店を目指す
店主、入山文男さんの三男、大士(ひろし)さんは、「大衆的なうどん店を目指しています」と話します。 「北九州のうどんと言うと、麺がやわらかいというイメージがあると思います。実際、観光客の方も訪れる個人店などは、イメージ通りの柔らかい麺を出すところが多いです。しかし、大衆的なチェーン店の中には、それより少しかための麺を出しているところがあります。当店はここ東京で、そのチェーン店のような位置付けの店になれたらと思っています」 (大士さん)
「柔らかい麺は、北九州出身の方など、北九州うどんの味を懐かしんで来店される方からの注文が多いです。その際は、茹で時間で調節します」(大士さん) 一番人気のメニューは、その名も「北九州うどん」(630円)で、トッピングは、ごぼうの天ぷら、海老の天ぷら、わかめ、かまぼこ、かしわです。 「北九州では、わかめではなくとろろ昆布の方が一般的ですが、関東ではわかめの方が、お客様には喜ばれますね。かしわは、鶏肉を割いて生姜などと一緒に炒めたものです。汁の味をまろやかにします」(大士さん) 同店のつゆは、イリコと昆布をベースに、カツオやサバ、アゴなどの少し癖のある魚から取った出汁と、北九州産の醤油を合わせて作り出されます。 「醤油は、北九州で創業100年以上続く老舗から取り寄せています。もろみの仕込みから手作りされた醤油は、当店のつゆの味の決め手で、東京にはないおいしさが出せます」(大士さん) ● オリジナルメニューも充実させる
「北九州うどんの定番メニューだけにこだわらず、試作を重ねています」(大士さん) 「海鮮ちゃんぽんうどん」(700円)は、大士さんが長崎県の名物、ちゃんぽんが好きなことから、開発しました。魚介と野菜の具だくさんなちゃんぽんうどんの上にさらに唐揚げをトッピングした、ボリューム満点のメニューです。 また、季節商品は通年出すようにしました。例えば、夏によく出る「ざるうどん」(470円)などの冷たいうどんは、冬でも提供します。 「冷たいうどんは夏の方が断然出ますが、冬でも注文される方はいらっしゃいます。逆に夏は『焼きうどん』(600円)が出ることも珍しくないですね。手間もそれほど変わらないので、季節を問わず全てのメニューを注文頂けるようにしました」(大士さん) うどんのほか、おでんやおはぎなど、北九州のうどん店の定番サイドメニューも揃えています。充実したメニュー展開の効果もあって、常連客には子ども連れや女性客も増えています。 |
今回取材した各店では、九州の味にこだわりながらも、都内で支持されるための工夫が施されていました。麺は柔らかいだけでなく、コシを持たせたり、トッピングにバラエティーを持たせたり、都内で一般的に食されているうどんの要素を盛り込むことで、食べやすいようにアレンジされていました。まだ認知度は高くないですが、そのおいしさは、口コミで徐々に広がりつつあるようです。讃岐うどんブームにより日本全国に定着したうどんは、今後、「九州うどん」などのバラエティーに富んだ様々なうどんとして拡大していくかもしれません。今一度「うどん」を見直してみてはいかがでしょうか。 |