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麺用の小麦粉に、白さが競われていたのは一昔前。生活者の好みが多様化した現代、小麦を丸ごと挽いた全粒粉が、栄養価の高さや味わいの奥深さなどから求められるようになってきました。 特にラーメン店では、全粒粉を配合した全粒粉麺の起用が徐々に増えてきています。今回は、豊かな風味や強いコシなど、全粒粉麺の特徴を最大限に引き出したメニューを提供している人気ラーメン店を取材しました。 ![]() |
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麺用の小麦粉に、白さが競われていたのは一昔前。生活者の好みが多様化した現代、小麦を丸ごと挽いた全粒粉が、栄養価の高さや味わいの奥深さなどから求められるようになってきました。 特にラーメン店では、全粒粉を配合した全粒粉麺の起用が徐々に増えてきています。今回は、豊かな風味や強いコシなど、全粒粉麺の特徴を最大限に引き出したメニューを提供している人気ラーメン店を取材しました。 ![]() |
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■ 五ノ神製作所
住所:東京都渋谷区千駄ヶ谷5‐33‐16
シャトレー新宿御苑第一1F 電話:03‐5379‐0203 営業時間:午前11時~午後9時 ● 濃厚なつけ汁に負けない麺
「アクセスが良くなくても、味が良ければお客様が来てくれるということを、本店で実感しました。都心から電車で1時間以上かけて、わざわざ来て下さるお客様もいます。もっと都心の方に気軽に食べていただきたいという想いから新宿駅近くに開業を決めましたが、本店で学んだことを活かし、あえて裏路地にしたんです」 同店の看板メニュー「海老つけ麺」(750円)が誕生したのは、本店が開業して1年経った頃でした。 「本店はそれまで『鯛塩ラーメン』のみでやっていました。つけ麺を新たにメニューに加えようということになって、『海老つけ麺』を開発したんです」(鈴木さん) 海老の風味がたっぷりで、とても濃厚な味わいのつけ汁は、甘エビの頭から取った出汁をベースに、豚骨、鶏のガラとモミジで取ったスープを合わせて作ります。 「麺は、主張の強いつけ汁に負けないようにする必要がありました。そのため、小麦そのものの風味を活かせる全粒粉を配合することにしたんです。しかし全粒粉は、配合率が高いと食感がぼそぼそしてしまいます。試行錯誤して配合率を調整した結果、豊かな風味が楽しめてかつ、なめらかな食感の麺を開発することができました」(鈴木さん) ● 合わせる食材の幅が広がる
昼時は会社員のランチ利用が多いのですが、夜は友人同士で来店し、カフェ感覚でゆっくり過ごす人が多いそうです。また、女性客が全体の4割を占め、そのほとんどが注文するのが「海老トマトつけ麺」です。 「『海老つけ麺』『海老味噌つけ麺』が和風なので、洋風のメニューも作ろうということになって、『海老トマトつけ麺』を開発しました」(鈴木さん) 「海老トマトつけ麺」のつけ汁は「海老つけ麺」のつけ汁に、トマトソースを合わせます。酸味が加わり、あっさりとして女性好みの味になります。トマトは、つけ汁の具材として、さらに1個を半割にした大きさのものが入っています。皮は湯剥きされてほぐしやすく、麺やつけ汁と絡みやすくなっています。つけ汁にはほかにも、チャーシュー、三角メンマ、鶏肉が入っています。これらはすべて分厚くカットされており、食べ応えがあります。 洋風メニューとしてのこだわりは、外観にも表れています。盛られた全粒粉麺の上には、トーストしたバゲットとバジルペーストがトッピングされており、イタリア料理を連想させます。 「全粒粉麺の太麺は、バジルとも相性が良いのでパスタのような感覚でも召し上がっていただけると思います。バゲットは、つけ汁に浸して食べるのをお勧めしています」(鈴木さん) 合わせる食材の幅広さには、以前鈴木さんが洋食店に勤務していた経験が活かされています。毎月29日、1日限定で提供する特別メニューは「トマトつけ麺」に匹敵する斬新さです。 「当店は海老のイメージが強いので、29日だけは『肉の日』としてトッピングに肉をふんだんに使った限定メニューを提供しています。人気があり『会社を休んできたんです』と、開店と同時に来店される方もいらっしゃいます。この前の限定メニューのトッピングは、羊肉を使ったハンバーグとデミグラスソースでした。少し癖のある羊肉とも、全粒粉麺は相性が良いですね」(鈴木さん) 全粒粉麺は、合わせる食材の選択肢の幅を広げているようです。そして斬新なメニューの誕生は、お客様に楽しみを与えています。 |
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■ 麺屋 Hulu‐lu
住所:東京都豊島区池袋2‐60‐7
電話:03‐3983‐6455 営業時間: 午前11時半~午後3時、 午後6時~午後9時、 日曜・祝日は午前11時半~午後3時半、 火曜休み ● 細麺と平打ち麺の2種類を用意
「食事をするときは、ゆったりとリラックスした状態で楽しんでいただきたいと思っています。忙しい仕事の合間のランチでも、当店に来店したら気持ちがほぐれるような、そんな雰囲気の店にしたくてハワイアンカフェ風のインテリアにこだわりました」(古川さん) BGMもハワイアンミュージックが流れます。そのような明るい雰囲気の同店は、1人で来店する女性客も多く、女性が全体の4割を占めます。 同店の自家製全粒粉麺は、細麺のほか、細麺の2倍ほどの太さがある平打ち麺もありますが、これは女性客のことを思って用意しました。 「女性はゆっくり召し上がる方が多いですから、麺が伸びやすいんですね。そこで、できるだけのびないうちに召し上がっていただけるよう、太めの麺も用意しています」(古川さん) 看板メニューは「醤油SOBA」(750円)と「塩SOBA」(750円)で、通常では細麺で提供していますが、希望があれば「塩SOBA」のみ、平打ち麺への変更ができます。このほか全粒粉麺を使ったメニューは、「ちょこっと煮干しSOBA」(780円)や「味噌SOBA」(800円)などがあり、これらは曜日限定で提供しています。 ● 「SOBA」として全粒粉麺を提供
「店名に『麺屋』とあるように、まずは麺のおいしさを提供できる店にしたいと思っていました。10年間修行したラーメンはもちろん好きですが、日本蕎麦も好きです。全粒粉を配合した麺は、歯応えが若干蕎麦に近くなりますね。また、栄養価も上がります。スープは、この麺を完成させた後、麺の味に合わせるかたちで開発していきました」(古川さん) スープは、「醤油SOBA」はアジを主体にサバや昆布で出汁をとり「塩SOBA」はカツオやサバ、昆布、煮干し、どんこなどから出汁を取ります。 「飲んだとき、お吸い物のように、スーッと胃の中に染み渡っていくようなスープに仕上げています。そして、深みのある香りを大切にしています」(古川さん) 常連客に人気がある「醤油SOBA」は、揚げ葱、柚子、ニンニクや香辛料を加え炒めた鶏ひき肉のトッピングがさらにスープの香りとコクに深みを与えます。「塩SOBA」の塩は、どんぶり1杯ごとに量り入れ、塩分量の正確さを大切にし、塩のかどをたたないようにすることで、出汁の香りを引き立てます。 看板メニューのほか、曜日限定で提供するメニューにも力を入れている同店ですが、古川さんはこれからもさらにメニューの幅を広げていきたいと言います。 「ラーメンという概念にとらわれず、『SOBA』として、全粒粉麺を使ったメニューを開発していきたいと思っています」(古川さん) 同店は、従来のラーメン店にはないハワイアンカフェ風の店構えや、全粒粉麺を「SOBA」として提供することによって、ラーメン界に新風を吹き込んでいます。 |
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■ つけ麺 ちっちょ極
住所:東京都渋谷区宇田川町37‐18 トツネビルB1A
電話:03‐3468‐6968 営業時間: 午前11時~午後4時、 午後5時半~午後11時 ● 麺がおいしいと評判に
「『牛ホルモンのつけ麺』と同じ出汁を使用したラーメンもあるのですが、ほとんどの方がつけ麺を選ばれますね。担担麺など、季節メニューを出すこともあるのですが、『牛ホルモンのつけ麺』は通年人気があります」(スタッフの大黒雄人さん) 「牛ホルモンのつけ麺」は、ひと口大にカットし、少し甘めに炊いた牛ホルモンが入った濃厚なつけ汁に、全粒粉を配合した太麺を絡ませて食べるつけ麺です。「牛ホルモンのつけ麺」が圧倒的な人気を得ている理由について、大黒さんはこう話します。 「特に女性のお客様には、コラーゲンがたっぷりでプリプリの牛ホルモンが入ったつけ汁が支持されているのだと思います。でも、つけ汁に負けず劣らず、全粒粉麺の存在感も大きいと思います。初来店のお客様から『麺がおいしいと聞いて来たんです』と言って下さったこともあります」(大黒さん) 店側からは特に、全粒粉麺を使用していますという案内はしていませんが、お客様の方から、「麺もおいしいですね。茶色の粒々が見えるのだけど、何が入っているんですか」と訊かれることがあるそうです。 ● 風味も濃度も濃いつけ汁とバランスのとれた全粒粉麺
「魚粉やカツオの削り節をたっぷり入れているので、つけ汁の風味は和風に仕上がり、麺との絡みやすさもさらに増します。濃厚なつけ汁とのバランスを考えると、麺は、存在感のある全粒粉麺が適していると思います。また、太麺にしている点もポイントです。噛み応えがあるので、つけ汁の濃厚さに負けないと思います」(大黒さん) 同店は高知県にある本店から暖簾分けしました。カツオ風味を強く出しているのは、カツオ料理をよく食べる高知県ならではの味わいと言えるようです。また、カツオ風味が効いているので、ホルモン特有の臭みも気になりません。 麺を食べ終えた後のつけ汁は、和風だしで割る無料サービスを行っています。割った後はスープとして楽しむか、さらにご飯を入れて温め直し、おじやにすることもできます。 「おじやは、全体の4分の1くらいの方が注文されます。また、和風だしで割って飲まれる方も多く、つけ汁は余すところなく最後まで楽しんでいただいています」(大黒さん) 残さず最後まで味わいたいと思わせる、風味豊かで濃厚なつけ汁。小麦の香りとうま味が活かされている全粒粉麺だからこそ、このインパクトのある強い味わいのつけ汁と、ぴったりのバランスがとれているのだと言えるでしょう。 |
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■ 季織亭
住所:東京都世田谷区経堂2‐5‐14
(2014年2月まで。4月移転オープン予定) 電話:03‐5477‐2029 営業時間: 午後12時~午後3時、 午後6時~午後10時半、 水曜休み ● 全粒粉を7割配合した手打ち麺
こう話すのは、同店の店主川名秀則さん。10年前にラーメン店を始める前は弁当屋を営んでいました。川名さんはその当時から、厳選した食材を用い、栄養面を重視した料理作りに励んでいます。看板メニューの「つけ麺」(750円)の麺に全粒粉を7割配合している理由も、食材の味と栄養素を活かしたいという思いからです。 「全粒粉を7割入れると、小麦の香りや甘味がよく分かり、栄養の豊富な麺に仕上がります。人間の体は主に食事で作られます。このことを念頭に入れて、食材選びから麺作りに至るまで行っています」(川名さん) 全粒粉を高配合で使用する場合は、粒度の細かいものを使用し、水回しに時間をかけることで滑らかな麺に仕上げることができるそうです。また、使用する粉やトッピングの野菜などはオーガニックのものを使用しています。これも、栄養価、味わいの良さを考えてのことです。 ● ラーメンより蕎麦の味わいに近い
「全粒粉麺の味を最も感じやすいのは、『つけ麺』ですね。小麦の甘みや香りが強く、何も付けなくても物足りなさを感じないほどです。『小麦蕎麦』は、ラーメンというより、まるでかけそばのような味わいです」(川名さん) 以前、暖簾に「手打 拉麺」と表記していましたが、「手打 小麦蕎麦」に変更しました。 「『蕎麦粉は入っていないんですか』と質問されるほど、全粒粉麺は温冷どちらの食べ方でも、ラーメンというより、蕎麦を食べているような感覚が強いと思います。ですので、ラーメンを食べようと来店された方の期待にはあまり応えられないと思ったんです」(川名さん) 現在は全粒粉麺だけでなく、製粉した南部小麦を使用した手打ち麺の「きおり拉麺」(680円)もありますが、以前はメニューになかったそうです。 「間口を広げるためにも、製粉した小麦粉で作るラーメンも用意した方がいいと思いました。当店としては、栄養面などを考えても、ぜひ全粒粉麺を召し上がっていただきたいと思っています。ですので、ラーメンを召し上がっていただいた後、『つけ麺』などに興味を持っていただければと思っています」(川名さん) 客層は10代から80歳以上まで幅広く、男女比は半々で、女性の1人客も多いそうです。全粒粉麺を気に入ったお客様の中には、「ほかのラーメン店にはもう行けない」と話す人もいるそうです。ラーメンとも蕎麦とも違う独特な味わいの小麦蕎麦は、間口を広くしたことでより、ファンを増やしていくことでしょう。 |
今回取材した各店で共通していたことは、スープもさることながら麺そのもののおいしさもお客様に支持されている点です。それは全粒粉麺が、風味豊かで味わい深く、強い存在感を持っているからではないでしょうか。また、栄養価に富んでいる点も、特に女性客に注目されているようです。全粒粉麺を使用したラーメンは、スープと麺の両方で、お客様を魅了していくことができるメニューだと言えるでしょう。皆様のお店でも、ラインナップを充実させるメニューのひとつとしてぜひ検討されてみてはいかがでしょうか。 |