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蕎麦のガレット

蕎麦は日本伝統の食のひとつです。そして、高齢化が進む日本ではさらに注目を浴びる食でもあります。
今回は、「蕎麦のガレット」を扱う有名店と、この10年ですっかり女性に定着した「蕎麦のガレット」をメニューに取り入れる、時代の変化に敏感な蕎麦屋を取材しました。
新しい変化に対応することの大切さを考える、その参考にしていただければと思います。
  • ブレッツカフェクレープリー銀座店
  • ガレットリア
  • 松玄 凛
  • 蕎麦の花

ブレッツカフェクレープリー銀座店

ブ レッツカフェクレープリー 銀座店はガレット専門店。
フランス・ブルターニュ地方の食文化を日本に紹介するお店として神楽坂に姉妹店のル ブルターニュが1号店として出店し、以降東京を中心に横浜・川崎まで計7店舗を展開しています。

ブレッツカフェクレープリー銀座店
住所:東京都中央区銀座6-3-5
電話:03-3289-3531
営業時間:[火~土]11:30~22:00(ラストオーダー)/
[日曜・祝日]11:30~22:30(ラストオーダー)
定休日:月曜
ブレッツカフェクレープリー銀座店

スタッフとの会話で伝えるガレットの魅力

店内

株式会社ル ブルターニュがプロデュースするブレッツカフェクレープリー。表参道や新宿にも出店し、銀座店は2009年にオープンしました。
「1号店であるカフェクレープリー ル ブルターニュ神楽坂店がオープンした1996年は、日本においてガレットはまだ珍しいものでした」と語る広報・高橋さん。18年が経過し、日本でも定着を見せ始めたガレット。その本場の楽しみ方を気軽に味わえるのが同店の魅力です。

お店のコンセプトを伺うと「社長であるラーシェ ベルトランの教えに『スタッフ全員、ブルターニュの大使たれ』というものがあります。ブルターニュの魅力・食文化を来店して頂いたお客さまにしっかりと理解していただけるようスタッフ一同心掛けています」と話してくれました。

厨房で腕を振るうシェフ クレーピエ

例えば、ブレッツカフェクレープリーのメニューには写真は見当たらず、フランス語と日本語の羅列が一見分かりづらいかもしれません。「スタッフが会話の中でしっかりと説明させて頂き、おいしいものを食べてもらおうという想いがあるからです」と高橋さんは言います。
このようにスタッフと会話する機会をもつことにより、ただメニューを見るだけでなく直接、人から人へとブルターニュ地方の食文化を伝えていきたいそうです。

組み合わせはご自由に…

定番メニューの「コンプレット オ ジャンボン クリュ」

メニューには注文のしやすいセットメニューも取り揃えています。
「コンプレット オ ジャンボン クリュ」(1280円)は、そば粉の生地にグリエールチーズ・生ハム・タマゴを乗せた定番メニュー。外側のパリッとした食感と内側のしっとりとした食感の2つが楽しめます。
口に入れた瞬間に広がるそば粉の香りは、シードル(600円~)との相性も抜群。「そば粉に含まれる血圧降下などに効果的な栄養素・ルチンは、ビタミンCと一緒に摂ると吸収が促進されるので理想的な組み合わせです」と高橋さんが教えてくれました。

そしてデザートクレープ「カレモン サラザン」(1250円)は、そばのアイスクリーム、そばのはちみつ、そば粉のクレープとそば尽くしの一品。ベースがそば粉ということもあり女性でも軽く食べられます。
ガレットの種類はもちろん、シードルとの組み合わせやデザートのチョイスなどさまざまな楽しみ方を、スタッフと会話をしながら見つけるのも楽しみのひとつ。

そしてそれらを作り上げるのはフランスで修業を積んだクレーピエ(クレープ職人)。「フランス・ブルターニュ地方の伝統的な料理法は守りつつ、日本人に合う調理法にしたり、日本の食材を取り入れたりとさまざまな工夫をしています」と高橋さん。
日本人にもなじみ深い、そば粉という素朴ながら深い味わいのガレットは、1度食べるとまた食べたくなるという方が多くいらっしゃいます。

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ガレットリア

渋谷区・松濤に佇むそば粉のガレットとデザートクレープの専門店。
国産食材の良さを活かした、従来の形に縛られない「新しいクレープリー」を提供しています。

ガレットリア
住所:東京都渋谷区松濤1-26-1
電話:03-3467-7057
営業時間:11:30~21:00
定休日:火曜(祝日の場合は営業)
ガレットリア

日本の食材を活かしたガレットを

店内

お話を伺ったのは、ガレットリアのシェフ クレーピエの畠山さん。
「もともと私はパティシエでした。フランス菓子の勉強中に「オ・タン・ジャディス クレープリー」を訪れ、その味に衝撃を受けました。そこからこのお店でクレーピエを目指し働きだしたのです」と語ります。
渋谷区神南の「オ・タン・ジャディス クレープリー」は同店の姉妹店。1985年にオープンし、クレープリー文化を日本に広めたパイオニア的存在のお店です。フランスのクレープリーを忠実に再現し、フランスの食文化を日本に伝えています。


スタッフ 伊藤 茜さん

このお店で働く中で、畠山さんは次のように考えるようになったと言います。
「少しずつフランス流のガレットは広まってきている、その中で“日本のエスプリ”を感じるガレットを作りたいと思いました」そこで畠山さんの考えを形にした店舗がガレットリア。ここでは、フランス・ブルターニュの伝統に縛られすぎることのない自由な発想のガレットやクレープを提供していると言います。もともとガレットはフランス・ブルターニュ地方で採れる食材を使用した郷土料理です。日本で提供するからには、日本のいい食材を活かしたガレット・クレープを提供していきたいと畠山さん。
「正直な話、出店したばかりの頃はフランスで食べたガレットとは全然違うという反応もあり、そうではなく日本のガレットを提供しているという部分をわかって頂くには時間がかかりましたね」(畠山さん)

四季を感じるメニューが揃う

「ホタテとクスクスのガレット 菜の花と合わせて…」(1300円)

ガレットリアのメニューは、定番品はもちろん、季節の食材を使用したメニューが多いです。
「ホタテとクスクスのガレット 菜の花と合わせて…」(1300円)もそのひとつ。バルサミコを使用したソースで全体を味付けし、菜の花のほろ苦さとチーズの相性を楽しみながらホタテの甘みも楽しめる。サラダ感覚で味わえる一品です。お店を始めた時も、最初に食材を与えられ、さてどうやってガレットとして提供しようか・・・というところから始まったそうです。また畠山さんは「日本の四季の移り変わりを感じられるような料理を提供したいと考えています」と語ります。

「一緒に味わうドリンクとしてリンゴを使った飲み物を、シードル(Bowl600円)、リンゴ果汁100%の炭酸飲料(500円)、リンゴジュース(500円)と3種類用意しています。一般的なお店ではシードルのみを提供していると思うのですが、ジュースと一緒に飲んで食事としてしっかりと味わうのもいいのかなと考えリンゴジュースなども提供しています」(畠山さん)

将来の目標をお伺いすると「パン屋さんになりたい、パティシエになりたいと思う子どもがいるようにクレーピエになりたいと言ってくれる子どもが出てくるようにクレープリーが日本に浸透していったらいいなと思います。
またクレーピエを育てて行けるようなお店でもありたいですね」と語ってくれました。

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松玄 凛

中央区・銀座にある蕎麦割烹。
北海道産ヌキ実を店内の石臼で挽き打つ、蕎麦はもちろんそば粉を使用したガレットやデザートも提供しています。

松玄 凛
住所:東京都中央区銀座7-8-7 ギンザグリーン4階
電話:03-5568-8989
営業時間:[平日]11:30~15:00、17:30~23:00/
[土曜・日曜・祝日]11:30~22:00
定休日:無休
松玄 凛

蕎麦だけでなく和食も提供

店内

本社が築地にあることもあり、築地から仕入れた鮮魚を使用した和食を中心に提供する蕎麦割烹。
お酒と一緒に和食も楽しみながら蕎麦も味わえるというお店です。
「残念ながら今は提供していませんが、以前は前菜の中にもそば粉を使用したメニューや、天ぷら粉の代わりに更科粉を使った天ぷらの提供もしていました」と店長の佐々木さん。




料理長とスタッフ

店に入るとすぐ右手に石臼でそばの実を挽いている様子を見ることができます。蕎麦は北海道産のそば粉、水は日光連山の水を使用しています。挽きたて・打ちたて・茹でたての蕎麦を味わえるのも魅力的。
ランチでは「北海道産もり蕎麦と 宮崎地鶏の親子丼セット」(1000円※週末1200円)や、蕎麦の実の中心のみ使用の純白蕎麦・凛蕎麦、自家製粉を使用したもり蕎麦、殻ごと挽いた風味豊かな田舎蕎麦の3つを同時に味わえる三種の蕎麦懐石『紫陽花』~あじさい~(1500円※週末1800円)などリーズナブルな品も提供しています。

そば粉を使ったガレット&デザートもぜひ!

「蕎麦ガレットチーズ焼き」(980円)

料理長オリジナルとして提供しているメニューの中に「蕎麦ガレットチーズ焼き」(980円)があります。
同店は日本酒だけでなくワインも提供。「特に女性からの注文が多く、ワインとセットで召し上がるというお客さまが多いですね」と佐々木さん。
提供を始めたきっかけをお伺いすると「創作料理にはしたくなく、あくまでもそば粉のおいしさを楽しんでもらえるものでワインにも合う料理はないかと探したところガレットに出会いました」と話してくれました。
そば粉を使った生地にトマト・ルッコラを乗せてピザ風に仕上げられた一品で、生地自体のおいしさもしっかりと味わうことができます。

また他にも、粒蕎麦や蕎麦の実を使った4種類のデザートも提供しています。(「粒蕎麦入りわらび餅」(500円)、「粒蕎麦ぜんざい」(500円)、「蕎麦茶のブリュレ」(500円)、「蕎麦の実アイスゼリー掛け」(500円)。)「ひと言に蕎麦といっても麺としてのみならず、色々な楽しみ方ができるということをお客さまへお伝えしたいと思い、このようにできるだけ多くのデザートを用意しました。」(佐々木さん)

おすすめは「粒蕎麦入りわらび餅」。
自家製の黒蜜と、きな粉風の国産そば粉をかけて頂くわらび餅は、わらび餅の中に入る粒蕎麦の食感・風味を存分に楽しめるお酒の〆にもぴったりの逸品です。

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蕎麦の花

女性にも気軽に入れる蕎麦屋さんを目指した店づくりをしている「蕎麦の花」。
以前銀座にあったお店が2014年2月に麻布十番へ移転しました。移転後もお店の方針はそのままに、ガレットなど女性に嬉しいメニューを提供しています。

蕎麦の花
住所:東京都港区麻布十番1-5-1
電話:03-6447-4247
営業時間:[月~土]11:30~14:00、17:30~23:00/
[祝日]12:00~21:00
定休日:日曜
蕎麦の花

女性に好評な新しい蕎麦屋

店長 秦さんと副店長 堤さん

同店は麻布十番駅から徒歩8分ほどのところにあります。

「新しいお蕎麦屋さんを目指しています。お蕎麦が食べたいと思ってもリーズナブルなお店は女性には入りにくい店舗が多く、どうしても少し高級なお店に入らざるを得ない状況だと思います。そこで、女性にも入りやすいお店を作ろうと思いました」とオープンのきっかけを話してくれたオーナー・川上さん。




店内

江戸時代から続く蕎麦文化。
DNAの中に組み込まれた蕎麦への欲求を満たしてくれるのが同店の魅力です。
そばのメニューは「 鳥南蛮つけ蕎麦」(750円)、「カレーつけ蕎麦」(700円)、「おろしつけ蕎麦」(680円)、「豚の角煮つけ蕎麦」(850円)。名物は「ソースかつ丼」(850円)。男性女性問わず人気が高いそうです。

チョコレートという新たな発想

チョコ

そういった想いから女性に向けたメニューとして銀座にお店をオープンさせた当初からガレットの提供を始めたとのこと。
メニューは「ハム&チーズ」(550円)、「チョコ」(550円)、「タマゴ、ハム&チーズ」(600円)の3種類です。川上さんのおすすめは「チョコ」。このメニューを作ったきっかけを伺うと「クレープにもチョコの生地があるので、ガレットにも合うのではと思い作ってみたことがきっかけでした」と川上さん。トッピングだけでなく、生地自体にチョコレートを混ぜ込んで作られています。そば粉で作っているのでクレープよりもサクッとした食感を楽しめるのが特徴。その食感とチョコレートの甘みが絶妙にマッチしています。「実際に女性のお客さまが1人で来店し、ガレットと紅茶を召し上がるという光景も銀座の頃はよくありました。「チョコ」を召し上がって頂いたお客さまからは珍しい!と喜んでもらえることも多かったですよ」と川上さん。

「麻布十番に移転後も銀座のように女性にも受け入れられる蕎麦屋さん作りを心掛けていきたい」と語ってくれました。

今回取材したガレットの有名店の2店が提供しているガレットは、それぞれのお店のこだわりや想いが詰まったものばかりでした。
また蕎麦店の2店ではガレットという近しいメニューを取り入れることで、若い世代の人たちにも「蕎麦」という日本人になじみ深い食の底の深さを提案しているのだと思います。
幅広い年齢に受け入れられる「そば粉のおいしさを活かしたメニュー作り」は高齢化が進む中、益々重要になると思います。

※店舗情報及び商品価格は2014年12月現在のものです

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