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焼き菓子専門店

菓子店といえば、かつては洋菓子専門店、和菓子専門店が主流でした。今はより特化された菓子の専門店が次々と現れています。
今回は、ここ数年増えている焼き菓子専門店の人気店を取材しました。着実に拡がりつつある「焼き菓子」専門店の魅力をご覧下さい。
  • HUDSON MARKET BAKERS(ハドソンマーケットベーカーズ)
  • COMME PARIS(コム パリ) 
  • 無添加焼菓子 le risa (レリーサ)
  • LE COFFRET DE COEUR(ル・コフレ・ドゥ・クーフゥ)

HUDSON MARKET BAKERS(ハドソンマーケットベーカーズ)

麻布十番通りのすぐ近くに「ハドソンマーケットベーカーズ」があります。
店内には、マフィンやケーキ、クッキーなどアメリカンサイズのお菓子が豊富に並んでいます。テーブル席もあるので、商品を購入した後に店内で味わうことも出来ます。気軽に入れる明るい雰囲気のお店です。

HUDSON MARKET BAKERS(ハドソンマーケットベーカーズ)
住所: 東京都港区麻布十番1-8-6
電話:03-5545-5458
営業時間:[火~金]11:00~20:00/
[土曜・日曜・祝日]11:00~19:00
定休日:月曜
外観

ニューヨークスタイルへの徹底したこだわり

店内

「日本人の多くは、美味しいお菓子といえばフランスを始めとしたヨーロッパのお菓子を思い浮かべる方が多いと思うのですが、アメリカにも『お菓子を楽しむ文化』があるんですよ。でも日本にはアメリカのお菓子を楽しめるお店があまりないので、そんなお店が日本にもあってもいいかなと思い、このようなスタイルのお店をオープンしました」(店主 大坪ほまれさん)
マフィンや大きめのパウンドケーキを手で食べながらコーヒーを飲む、そんなカジュアル感がニューヨークスタイルだそうです。好きなものを選んでとにかく楽しんで食べるのが、アメリカの食文化。日本でそんなニューヨークスタイルに触れられるのが「ハドソンマーケットベーカーズ」です。

店内

お土産用に購入されるお客様も多く、「箱はありますか?」と聞かれることもあるそうです。しかし、大坪さんは「あんまり、箱詰めみたいなことはしたくないんですよね。アメリカっぽさがなくなって、このお店のスタイルが崩れてしまう気がするので・・・。ニューヨークスタイルは、箱に綺麗に並べるというよりも、袋にバサっと入れて『どうぞ』というものなんです」とおっしゃいます。

味にもたくさんの工夫がされています。「まったくアメリカの味にしてしまったら食べられないものもあるんですよ。スパイス等を結構使うので、アメリカでは普通でも、日本ではかなりマニアックになってしまうんです。何度か本場の味のままで出しましたが、受け入れられないものもありました。そういうものは改良し、受け入れられるものは現地のものと同じ味で出すようにしています」(大坪さん)

本物の文化に触れた経験を活かす店作り

「基本的にはお店に来てお菓子を見て選んでもらった方がいいですね」(大坪さん)日本ではまだ珍しいアメリカ焼き菓子は、ネーミングがあまり浸透していないこともあって、電話で説明するのが難しいそうです。「例えば、『ブラウニーポップ』とか『レモンポピーシードケーキ』なんて言っても、分かってもらえませんからね。是非ご来店頂き、目でも楽しんで頂きたいです」(大坪さん)

語学とアートに興味があり、ニューヨークに住んでいた経験のある大坪さんですが、そこで暮らすうちに、「アメリカの食文化は楽しい」と感じるようになり、その思いが今のお店を始める原点になったそうです。「小麦も乳製品もナッツも、とにかく素材が豊富にある。スーパーに行っても、移民文化があるため、お菓子も料理も種類が豊富で本当に楽しかった」(大坪さん)

そして、大坪さんは、「現地で得た経験があるからこそ、アメリカではこうするものだとか、本物の文化が分かるようになったので、今、根拠があるサービスを提供できている。それは大きな強みなので、それを活かしてどんどん広げていきたいですね」と語ってくださった大坪さん。今後の展開も楽しみです。

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COMME PARIS(コム パリ) 

コム パリは、港区白金にあるフランス焼き菓子の専門店です。
ガラスボールに入った、人気のカヌレやフィナンシェなど、お馴染みのフランス焼き菓子が出迎えてくれます。高級なイメージのフランス菓子を、「気軽に楽しんで頂きたい」いう店主の思いが詰まったお店です。

COMME PARIS(コム パリ)
住所:東京都港区白金6-5-3
電話:03-6277-4813
営業時間:[月~土]11:30~18:30/[日曜]11:30~17:00
定休日:無休
外観

メインの小麦粉はフランス産を使用

同店では、フランス産の小麦粉を使用しています。「フランス菓子を作るなら、小麦粉はフランス産のものにした方が本物に近い味になるかなと思って使っています」(オーナー・パティシエ 岩井紅都さん)
岩井さんが、現在使用しているフランス産の小麦粉は、見た目が少し茶色っぽく、香りも強いのだそうです。「焼き菓子を焼き上げる過程で香りが消えてしまう場合もあるのですが、フランス産の小麦粉はしっかり焼いても香りが残り、食感もサックリ仕上がるので好きなんです」(岩井さん)小麦粉と合わせるバターにもこだわり、ヨーロッパのバターのように味が濃くしっかりした南九州の高千穂バターを使用しています。
「小麦粉と組み合わせて、自分の中でこれかなというものに出会えました。ここに辿り着くまでに何パターンも試しましたが、その中で自分が一番気にいったものを使っています」(岩井さん)

フランスの田舎のお菓子屋さんをイメージして

オーナー・パティシエ 岩井紅都さん

「フランスに住んでいた頃は、田舎のお菓子屋さん巡りをするのが大好きだったんです。そういうお店は、肩の力の抜けたのんびりした雰囲気の中でお菓子を作っていて、店内にバサっと無造作に焼き菓子が並んでいたりするんですよ。そして、バラ売りで買えるようになっているのが楽しくて。なかなかフランスのお店と同じようには出来ませんが、そのようなお店が日本にあってもいいのではないかと思い、それに近いスタイルで販売しています」(岩井さん)
また、「雑味」が残っている、いい意味で洗練されていない味もとても気にいり、販売方法や味も含めて、出来る限りフランスの田舎のお菓子屋さんを再現できるようお店作りをしているそうです。

現地の味を日本風にアレンジするための試行錯誤

右:冬季限定のガトーショコラ、左:1個から購入できる商品の詰め合わせ(プティカヌレ(\110)、プティマドレーヌ(\65)、ヴィジタンディーヌ(\65))、奥:オリジナルのアールグレイティーとブレンドティー

焼き菓子がよく売れる秋から冬の時期には、ガトーショコラなどの季節商品を販売しているそうですが、それ以外にも新商品を出すために試行錯誤しているそうです。
岩井さんが一番好きなフランスの地方のお菓子は「ナベット」というクッキーの一種ですが、「オレンジフラワーウォーターを使うのですが、香水のように香りが強く日本人の感覚に合わないようです。お土産で買ってきたものを周囲の人に食べてもらいましたが、あまり反応が良くなくて。あれは、現地で食べたから美味しいと思える味だったのかな?と、思いました。フランスの空気を味わいながら食べた味を、日本で再現することに試行錯誤していますが、いつか日本の風土にあったナベットを発売したいですね」(岩井さん)

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無添加焼菓子 le risa(レリーサ)

東京メトロ東西線神楽坂駅と有楽町線江戸川橋駅の中間辺り、早大通り沿いにレリーサはあります。
お店は木目と白を基調としたナチュラルな雰囲気で、店主である内山智子さんがつくるお菓子のイメージにぴったりの落ち着いた空間です。素材の味を活かした約10種類の、力強い味わいのクッキーと、素朴で優しい味のケーキが並びます。

le risa (レリーサ)
住所:東京都新宿区山吹町128 こうやビル1F
電話:03-5261-8156
営業時間:[水~金]11:30~18:30/[土曜・祝日]11:30~16:00
定休日:日曜・月曜・火曜
外観

素材へのこだわり

店主 内山智子さん

無添加焼き菓子専門店の同店では、オーガニック(有機農産物)や国内産の素材だけを厳選して使用しています。添加物や保存料は一切加えず、良質な素材だからこそ出来るシンプルで美味しい焼き菓子と手作りケーキが人気を博しています。

店内には、一つ一つ丁寧に包装された味わいの違うクッキーが10種類ほど並びます。中でも一番人気があるのが、「純良バターのクッキー」。内山さんいわく、概念が覆るぐらい、今までのバタークッキーとは違った深い味わいです。「バターがすごく良質だからこそ出る味なんです。スペシャルなバターなので、このクッキーにしか使っていません。焼いている時から、本当にいい香りなんですよ」(内山さん)

美味しさを追求したら、オーガニックに辿り着いた

内山さんは、以前からイタリアのあらゆるものに興味があったそうですが、中でも「食の仕事がしたい」という思いを抱きイタリアに渡ったそうです。

店内のショーケース

「私の教わったイタリア料理は余計な物を加えず、素材の味を生かすものがほとんどだったんです。住んでいたところも、オーガニックのものが手に入りやすかったし、無添加のものもたくさん選べました。当時は、そういうものにこだわりがあったわけではなかったのですが、力強くて美味しいんですよね。その内、普段食べるものでも自然にそういうものを選んでいました」(内山さん)

帰国後、普通のスーパー等で売っているものにはイタリアで感じたような味の力強さを感じることが出来ず考えて分かったことは、「オーガニックなど、きちんと手を掛けて作っているものは美味しい」ということでした。

「オーガニックのものを選ばなくてはいけないというわけではなくて、美味しさを追求して選んでいったら、オーガニックに辿り着いたということですね。丁寧に作られた素材は味が力強くて、余計なものを加える必要がないということに気が付いたので、それを多くの方々に知って頂きたいと思いました」(内山さん)

お菓子を通じて人との繋がりを感じられることが一番の幸せ

「一度にたくさん食べるのではなくて、美味しいもの少しずつ味わって食べたい。また、贈答用に何かインパクトが欲しい。とお考えの方にお求めになって頂くことが多いです」(内山さん)

左:レモンのケーキ 手前中央:バタークッキー その他:クッキーとキャラメル詰め合わせ(うずまきクッキー・フィンガーチョコサンド・ラムバターガレット・塩バターキャラメル)

比較的長いお付き合いのお客様が多いのが特徴だそうで、例えば、妊婦さんの頃に買いに来てくださって、その後産まれた赤ちゃんが現在は小学生になった、という長いお付き合いの方もいるそうです。

店名の「le risa (レリーサ)」は、イタリア語で「笑顔」という意味です。素材の素晴らしさに目覚めて素材にこだわりたいと思った原点がイタリアなので、店名はイタリア語にしたかったと内山さんは言います。

「『お菓子をプレゼントしてすごく喜んで頂けました。ありがとうございました』と笑顔で言って頂くことがあるんです。それってお菓子が美味しかったから喜んで頂けたということだけではなくて、その先に出来る『いい関係』も喜んで頂けて、お菓子を通して人と人が繋がるお手伝いが出来たのかな。なんて思うんですよね。自分は美味しいお菓子を作っているだけではなくて、お菓子を通じて、直接会ったことのない人とも笑顔で繋がっていると思うと、とても嬉しいですね」(内山さん)

そんなお菓子作りの楽しさを語る内山さんも最高の笑顔でした。これからも、力強い美味しいお菓子で、たくさんの「le risa (レリーサ)」の輪を広げてもらいたいです。

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LE COFFRET DE COEUR(ル・コフレ・ドゥ・クーフゥ)

白金高輪駅から北里大学に向かう三光通り沿いにあるLE COFFRET DE COEUR。フランス語で「箱にお菓子と真心を共に詰めて贈ろう」という意味の店名だそうです。
贈答用の詰め合わせや、華やかな商品が豊富に揃う一方で、気軽に食べられる白金限定焼き菓子も人気があります。

LE COFFRET DE COEUR (ル・コフレ・ドゥ・クーフゥ)
住所:東京都港区白金3-17-18
電話:03-5422-8707
営業時間:11:00~20:00
定休日:無休
外観

見た目も可愛らしい「半生焼き菓子」と「デコレーションされた焼き菓子」が人気

都内各地や神奈川県、そして東急百貨店にも出店している「コフレブランド」の中で、焼き菓子の専門店として製造販売しているのが「ル・コフレ・ドゥ・クーフゥ白金店」です。

店内

ショーケースの一角に、見た目は生ケーキなのに、3日間も日持ちする「半生焼き菓子」が並んでいます。「半生焼き菓子は、中がクレームブリュレやガナッシュになっています。周りはパウンドのような生地でグラサージュをして冷たく冷やして食べる、パウンドのような感じのケーキです。持ち運びしても形が崩れにくいので、贈答用にもよくご利用して頂けます」(取締役/シェフ パティシエ 岩柳麻子さん)
とても斬新なこの「半生焼き菓子」を思い付いたのは、「いいとこ取り」の発想だったそうです。「贈り物をする時に生菓子っぽい要素も欲しいけど、生クリームがたっぷりのデコレーションケーキは、配送には向かないし日持ちもしないことが多い。そうではない「華やかな焼き菓子」ということで思い付いたのが、『半生焼き菓子』です」(岩柳さん)
イチゴとフランボワーズミルクの味がするベリー系のものと、抹茶の生地でピスタチオベースのもの、色鮮やかな2種類をベースに、様々なデコレーションでアレンジができます。

「他にも細長いベースの上に、ナッツやフルーツをデコレーションしている華やかなパウンドケーキがあるのですが、贈答用にもとても人気があり、1年を通して売れています」(岩柳さん)

毎日楽しめる焼き菓子がいっぱい

取締役/シェフパティシエ 岩柳麻子さん

女性のお客様が多い白金店には、「焼き立てコーナー」という、生菓子とは別のショーケースがあります。そこには、毎日食べられるようなヴィエノワズリーが並びます。ブリオッシュやキッシュなどを、奥に設けられているカフェスペースで召しあがっていかれるお客様も大勢いらっしゃるそうです。

引き菓子などでも人気の「ディアマン」というクッキーは、毎日食べても飽きない様に工夫されており、白金店限定で4種類の味が楽しめます。

新商品は製造長の寺崎貴視さんが、季節やお客様の要望に合わせて提案されているそうです。「焼き菓子専門店なので、もっと焼き菓子の種類を増やしたいと思い、ディアマンも提案して試作しました」(寺崎さん)試作品を岩柳さんに試食してもらい、風味や食感等のアドバイスをもらい何度も試作を繰り返しながらやっと完成したそうです。これからも白金店限定の新作が次々に出る予定とのことです。

こだわりを持ち続けて、真心をこめたお菓子を提供していく

焼き立てコーナー

岩柳さんがお菓子業界に入る前に勉強した「染色デザイン」の経験がお菓子作りに活かされているそうです。「染色の知識は、お菓子の色の出し方にとても役立ちます。ただ、そこに味が入ってくるから難しいんですけどね。オレンジ色のムースが作りたかったら、オレンジピューレを使えば簡単なんですが、そうじゃなくて、例えばパッション(フルーツ)の黄色いものとフラットオレンジの赤いものを使えば味に深みも出るし、オレンジ色も出来るしとか、色から入ることは結構多いです」(岩柳さん)

現在は、パティシエとして忙しい毎日を送る岩柳さん。色や味はもちろんのこと、素材へのこだわりも強いそうです。「重めのケーキにみずみずしい果物を合わせるのが好きなのですが、果物って季節によっても価格が全然違うし、1年中同じものがあるわけではないという中で、山梨県の宿沢フルーツ農園から仕入れられるのはすごく有難いです。実は主人の実家なんですが、お義父さんは果物を作るのが天才的にうまいんですよ」(岩柳さん)「さくらんぼ」「すもも」「ぶどう」「干し柿」といった果物を一箇所から仕入れられるので商品開発にとても役立っていて感謝しているそうです。

これからも、素材を活かしつつ、お客様の要望に合わせながら、見た目や味に個性のある新作を続々誕生させる予定だとの事なので、益々楽しみです。

今回取材をさせて頂いた全てのお店の皆さんが、海外での修業経験をお持ちでした。
それぞれの国で生活をして文化に親しんで、そこから多くのことを学ばれています。食と文化は切り離せないもので、美味しいものを作りたいと思ったら文化を知ることはとても大切なことなのだと、話を伺って改めて思いました。そして、その土地で味わうからこその良さを、日本に場所を変えて表現することは簡単なことではないということを教えて頂きました。味を日本人好みに変えながらも、逆にご自身の好きなものやこだわりは貫いていくという信念を持って努力をされているからこそ、お客様に愛されているのだと思います。

※店舗情報及び商品価格は2014年12月現在のものです

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