トマトラーメンのパイオニアともいえる「太陽のトマト麺」。もともと女性人気の高かった同店がより女性向けに特化しようと立ち上げたのが、この「太陽のトマト麺Next 新宿ミロード」です。女性スタッフの笑顔が、お客様を出迎えます。
鶏パイタン麺専門店だった「よりみち屋」が「太陽のトマト麺」に業態変更したのが2006年6月のこと。キッカケは、季節商品として提供した「トマトラーメン」の大ヒットでした。
「『太陽のトマト麺』として屋号を変更して以降、合い言葉になったのが『DO LOHAS』です。今までのラーメン店にはあまりなかった<紙ナプキンを使用しない><割り箸ではな<塗り箸を使う>といった取り組みで、店舗から出るゴミの量を3分の1にカット。<店内終日禁煙>をどこよりも先駆けて実行した結果、トマトラーメンという特異性も手伝って、女性客の支持を集めました」(店長・上ノ園未那美さん)今では「太陽のトマト麺」全体で6割以上が女性客だといいます。
「そうは言っても、やはり『ラーメンは男性のもの』と思われがちです。そこで、もっと女性をターゲットに特化しようと生まれたのが当店になります。他店舗に比べてドリンクセットやデザートセットなど、セットで注文いただくことが多いですね。食事+カフェ感覚で楽しんでいただけているのではないでしょうか」(上ノ園さん)
Next新宿ミロードでは内装やラーメン鉢も明るく可愛らしいものにこだわり、デザートも充実させるなど女性向け施策を徹底。その結果、約9割が女性やカップルのお客様だそうです。
「LOHAS」という視点が新しかったとはいえ、「太陽のトマト麺」が支持を集めた理由にはやはり味へのこだわりがあります。「よりみち屋」時代から売りだった「鶏パイタンスープ」「モンゴル岩塩使用」「豆乳を練り込んだ麺」などに加え、イタリア・サンマルツァーノ種完熟有機ホールトマトをソースに使用したトマトラーメンは、<美味しいだけでなく健康的>と話題を集めました。
「トマトソースに鶏パイタンスープをあわせていることで、パスタのトマトソースよりもあっさりして食べやすく、細麺に絡まりやすいソースになっていると思います」(上ノ園さん)
トマトは季節によってどうしても味が変わってしまうため、煮込み時間を調整することで、いつ来ても、どの店舗でも常に同じ味が提供できるような工夫が施されています。
また、「太陽のトマト麺」というブランドとして味の均一化を目指す一方、それぞれの店舗は単なるチェーン店ではなく、店舗により商品ラインナップを変えるなど、個店としての特徴やサービスを打ち出していくことで、リピートされるお店作りを目指しています。
「最近、トマトラーメンを出す店が増えてきています。その中で私たちはただの専門店ではなく、『美味しい、楽しい、ヘルシー』をテーマに、みんなが笑顔になれるような、独創的な商品を生み続けていきたいと思います」(上ノ園さん)
東京・中目黒に店を構える「トロケの台所」。洋食歴20年のシェフが作る定食メニューとともに、常に10種類以上ある「トマトラーメン」が人気を集めています。ひとりでもみんなで来ても楽しめる、親しみやすさも魅力です。
「いつ来ても、変わらない良さがあること。季節のおいしい、があること」をコンセプトに、普段づかいできるお店として地域住民のみなさんから愛されているのがトロケの台所。前の職場で知り合ったシェフの中根正道さんと、代表を務める木村清香さんの2人が2011年7月に東京・中目黒に開店しました。
「以前働いていた店舗が業態変更したため、シェフの中根とともにこの店を立ち上げました。その前店で、ランチ限定で提供していたのがトマトラーメンです。以前から贔屓にしていただいているお客様から『トマトラーメンを復活してほしい』との声が多く、この店でも提供するようになりました」(木村さん)
お店に訪れるお客様は男女ほぼ半々。男性は定食メニューを頼む場合が多く、女性はヘルシー志向なトマトラーメンを頼むことが多いそうです。
「男女ともに、季節感のある月限定のメニューが好評ですね。定番メニューの中では、女性にはモツァレラチーズが載った『マルゲリータ』が人気です。男性にはラグー(ミートソース)の載った『ボロネーゼ』が良く出ます。また、男性は辛い味を好む人が多いので、ハバネロソースや辣油を自由に加えられるようにしています」(木村さん)
ランチでも気兼ねなく食べられるよう、辣油で使うニンニクは加熱処理をしてニオイが気にならないようにする、といった工夫も随所に込められています。
この店のトマトラーメンの特徴は、常に10種類以上あるというメニューの豊富さ。イタリア・サンマルツォーネ種のトマトで作ったトマトスープにさまざまなトッピングを加えることで、味のバリエーションがどんどん広がっていきます。
「季節限定のメニューなどは、気候や素材、お客様のリクエストなども鑑みて決めています。また、シェフの洋食の見識や経験に加え、私自身も和食の経験がありますので、お互いにアイデアを出し合うようにしています」(木村さん)
和食と洋食は、ダシの取り方はもちろん、素材の切り方も違うため、お互いを補完しあうことができるのだそうです。
「しっかりと料理する洋食に対して、和食は素材そのものの味を生かすもの。たとえば、メインを洋食で作って、付け合わせを和食にするといった変化を付けることもできます。ハーブの代わりに木の芽や山椒を使ったりすることもありますよ」(木村さん)
また、お客様からのリクエストに応えることで新メニューが増えることも。
「当初、麺は細麺だけを提供していたのですが、お客様から『もっと太い麺でも食べてみたい』というリクエストをいただいて『中太麺』も選べるようにしました」(木村さん)
毎月の限定メニューに加え、週限定やその日だけのスポットメニューがあったりと、いつ来ても新しい味に出会うことができる、まさに街の台所のようなお店です。
「食べて健康」をコンセプトに東京・新井薬師前駅で事業を展開するRYOMA本店。食材の調達方法から始まり、店舗デザインや宣伝活動に至るまでトータルバランスでお客様に評価されたい、という店主のこだわりが人気を集めています。
「カップラーメンの『チリトマトヌードル』が大好きなんですよ。あの味をなんとか自分のお店でも出せないかなぁと考案したのがこの店のトマトラーメンです」
意外な開発秘話を語ってくれたのは、東京・新井薬師で人気を誇るラーメン店「RYOMA本店」の店主・後藤隆さん。前職ではサーフボードを制作していた後藤さんですが、父親もラーメン店を営んでいたこと、そして自身もラーメンが大好きだったことから一念発起し、家系ラーメンでの約2年の修業期間を経て、2005年に創業しました。
後藤さんがメニュー開発で大事にしていることは、自分の好きなものを提供すること。そのため、一番好きだった塩ラーメンから提供し始め、その塩味のスープを生かして生み出したのがトマトラーメンでした。
「開発当初から比べると、塩を変えたりトマトも変えたり、ダシとの割合も変わっています。常にいいものを目指していかないとね。トマトは色々試したんですが、日本のトマトだとどうしても水っぽくなってしまうので、イタリア産トマトにこだわって使っています」(後藤さん)
健康志向のトマトラーメンは男女・年齢問わず、幅広い層に親しまれています。
「トマトラーメンは、コアなファンがついていますね。夏に出す『冷やしトマト』といった限定メニューもご好評いただいています」(後藤さん)
店名の「RYOMA」の文字は坂本龍馬から。日本に新しいアイデアや商品をもたらした龍馬のように、さまざまなものからヒントを得て、店や味作りに取り入れていきたいと後藤さんは語ります。
「だから、今でもよくいろんな店のラーメンを食べるようにしています。あとは、意外とカップラーメンも勉強になります。味の組み合わせとか侮れませんよね」(後藤さん)
研究熱心な性格は麺のセレクトにも生かされています。小麦の種類も含めて検討した結果、以前の平打ち麺から、日清製粉の国産小麦粉・北翠で作った中太麺に行き着きました。
「北翠は他の小麦に比べて、しっかりとコシが出るのが特徴ですね」(後藤さん)
2013年には、煮干しダシ専門のラーメン店「東京煮干屋本舗」も中野で開店した後藤さん。今後もさまざまな業態の店を計画しているといいます。
「RYOMA本店のように複合的なメニューを扱う店も検討していますし、東京煮干屋本舗のように専門性を高めた店ももっと出したいと思っています。たとえば、トマトラーメンを主軸にした『洋風ラーメン』に特化した店も面白いかもしれませんね」(後藤さん)
2001年に創業。2006年に千葉県柏市に移転し、老若男女問わず地域住民の味として人気を集める「麺ぽーかろぅ」。他ではやっていないことをやりたい、と生み出した「とまとらーめん」には、他のトマトラーメンとは一線を画す独創的なアイデアが詰まっています。
千葉県南柏に店を構える「麺ぽーかろぅ」。この店の「とまとらーめん」はまさにオンリーワンといって過言ではありません。トマトスープで食すのではなく、天日干しかつおと国産丸鶏で炊いた塩スープに具材としてトマトの輪切りをトッピングするという独特なスタイルです。
「真っ赤なトマトのスープだと思って来られる方もやっぱり多いみたいで、『あ、こっちのタイプですか?』と漏らすお客さんもいらっしゃいますね(笑)。でも、『チャーシュー麺』は上にチャーシューが載っているんだから、『とまとらーめん』で上にトマトが載っていてもおかしくないと思うんですよ」
店主の大久保淳一さんは笑顔で語ります。この、他とは違うことをしよう、というのが店作りやメニュー開発にも生かされています。
「昔から天の邪鬼で、人がやっていないことをやりたいタイプ。開店から半年後にはもうとまとらーめんを提供していました。流行やブームに流されず、自分が食べて美味しいと思うラーメンを提供するように心がけています」(大久保さん)
麺の上に載ったトマトはL玉サイズひとつ分くらい。期間限定メニューとして提供し始めた当初は普通のトマトを使っていましたが、メニューとして定着すると付き合いのある青果店も面白がってくれ、さまざまな品種のトマトを持ってきてくれるように。今では完熟トマトにこだわり、季節に応じて最適なトマトを産地直送で仕入れています。
研究を重ねたのはトマトだけではありません。どう調理すればトマトそのものの味が楽しめ、麺やスープとも合うかの試行錯誤が続いたと大久保さんは語ります。
「調理方法はずいぶん進化を遂げたと思います。麺の太さやトッピングするバターの種類もだいぶ変わりました。今は旨さがあるのに後味がスッキリしている『カルピスバター』を使っています」(大久保さん)
食べ進めるほどにバターが溶けて味が変わっていくのも、この「とまとらーめん」の醍醐味です。また、味の濃さの変更に関しては、食べている途中からでも要望があれば、タレやスープの量を調整するなど、柔軟に対応するのが大久保さんの基本姿勢です。
「やっぱり、美味しく食べてほしいですから。人によって味覚が違うのは当たり前。変に作り手側のこだわりを押し付けるのではなく、できるだけその人が求める味で提供したい。お客様目線で、できる限りのリクエストには応じようと心がけています」(大久保さん)
昨年末からは定番の「とまとらーめん」に加え、4種のチーズをふんだんに使った「クワトロチーズのとまとらーめん」も仲間入り。当初は期間限定商品の予定が、ファンが多くて止められない状況だといいます。ここでしか食べられない味は、ファンの心をしっかり掴んでいます。
※店舗情報及び商品価格は2014年12月現在のものです