自由が丘のパイ専門店。定番のアップルパイをはじめ、ランチにもぴったりのミートパイなど「焼きたて」、「手作り」にこだわった10数種類のパイを取り揃えています。
ボン・モマンを経営する古井さんは、元はサラリーマンでした。システムエンジニアとして働いていた頃「今の自分は人を笑顔にすることができていない…人に喜んでもらえる飲食店を経営したい」と思っていたと言います。そして5年前の2009年に「ボン・モマン」をオープンしました。「食という人にとって欠かせない存在で、お客様に笑顔になってもらえることが嬉しいですね。前の仕事では味わえなかった歓びがあります。」と古井さん。
お店の人気メニューはアップルパイです。「アップルパイは私の母が作っていたレシピが元になっています。20年以上作り続けてきたアップルパイに、お店を開くにあたり少し手を加えました。余計なものは一切使用していないシンプルな味です。」(古井さん)
日清製粉の小麦粉「カメリヤ」と「バイオレット」を独自の配合で混ぜ合わせた折り込みパイ生地と、紅玉(こうぎょく)本来の酸味と甘みがベストマッチ!また食べたくなるおいしさにリピーターも多いそうです。
店内には、アップルパイの他にも「バナナレモンパイ」や「チーズケーキパイ」、「ドライフルーツパイ」などオリジナルの手作りパイが並びます。おかず系のパイでおすすめなのが「ミートパイ」です。ミートパイを割ると甘く煮込まれた生姜とお肉がぎっしり!ボリュームがありながら、何個でも食べれてしまいそうなおいしさが特徴です。
古井さんに今後の目標をお伺いすると「国内の店舗数を増やしていきたいのはもちろんですが、いつかアメリカに進出したいと思っています。」と語ってくれました。「現在ブームになっているパンケーキやフレンチトーストは国外のものですよね。そういった食文化が流行していることに、どこか悔しさがあったんです。日本で作られたアメリカのアップルパイをアメリカで流行らせることができれば、嬉しいと思っています。」
世田谷区三宿に本店を構えるアップルパイ専門店。2013年10月にイートインスペースも備えた青山店がオープンしました。「おばあちゃんのアップルパイ」をコンセプトにさまざまなパイを提供しています。
三宿のFUNGOというサンドイッチ・ハンバーガーの専門店で出していたアップルパイがきっかけの1つとなり、本店の三宿店が2年前にオープン。その後、「グラニースミス アップルパイ&コーヒー 青山店」を出店しました。青山の骨董通りにあり、夕方には売り切れてしまうこともあるほどの人気店です。「おばあちゃんの味をテーマに、どこか懐かしくホッとできる味を提供しています。アップルパイの専門店としてアップルパイのいろいろな楽しみ方を広めていきたいと思っています」と広報・下山さん。
そもそも青山店オープンのきっかけは、テイクアウトのみの三宿店に訪れるお客様からお店でアップルパイが食べられたらいいのに…という要望が多かったことでした。青山店をオープンするにあたって、三宿店で提供していたものをアレンジして「フレンチ ダマンド」に仕上げたそうです。
たっぷりとりんごを使用するのがグラニースミスのこだわりのひとつ。シーズンや在庫の状態によって使用する品種を切り替え、りんごのおいしさをじっくり味わうことができるよう商品を考案しています。イートインで味わうならパイにオリジナルソースをかけて味わうのもおすすめ。「キャラメル、ラズベリー、ハニーオレンジ、メープルシロップの4種類からお好みのソースを選んでいただけます。どれもおいしいですが、フレンチ ダマンドにはハニーオレンジがイチ押しですね」(下山さん)
「これだけ多くの種類のアップルパイを揃えるお店は他には少ないと思いますので、好みのアップルパイを見つけてもらえたら嬉しいです。これから夏に向けて冷やして食べるアップルパイも提供する予定です。こちらもぜひお試しいただきたいですね」(下山さん)
ニューヨークの一角トライベッカに1990年にパイ専門店として「バビーズ」は誕生しました。オーナーシェフはRon Silver(ロン シルバー)さん。彼はアメリカ料理の従来のイメージである大ざっぱな味付けに疑問を抱き、おいしいアメリカ料理を提供するお店を作りたいと思ったことが開業のきっかけです。「彼の最愛の祖母の作るパイを「バビーズ」と呼んでいたことが店名の由来になっています。手作りという部分にはとてもこだわりを持っています」(広報・畑垣さん)
パイ専門店としてスタートし、現在ではパイに限らずハンバーガーやステーキなどさまざまなアメリカ料理を提供。「日本人向けに量を調整したり、味を変えたりすることもありません。全てニューヨークの本店と同様の量・味で味わって頂けます。またRon自身も不定期ではありますが、日本の支店に味のチェックに訪れています」(広報・畑垣さん)イラストを使用したメニューや店舗に飾られている絵画も全てニューヨーク本店に合わせてRonシェフ自身がプロデュース。お店に一歩足を踏み入れればそこはまさにニューヨーク!といった雰囲気を感じます。
バビーズの創業のきっかけともなったアップルパイ。「リンゴは厳選した国産のリンゴを使用しています。季節によって異なりますが、フジや紅玉がメインです。酸味が効きながらも甘味のあるリンゴの、しっかりとした存在感が特徴ですね」(広報・畑垣さん)1ホールに使用されるリンゴの数は15~17個!オリジナルのレシピで味付けされた、シナモンの香りが漂う生のリンゴをパイのなかに閉じ込めるように生地で包み、じっくり1時間かけて焼き上げます。生のリンゴを使用することでリンゴの食感を楽しむことができるそうです。
他にも、1ホールに11~12本ものバナナを使用する「バナナモカパイ」や「チェリーパイ」などパイだけでも8種類が揃います。「アップルパイは少し温めて、冷たいアイスクリームと一緒にお召し上がりいただくのがおすすめです。夏にはブルーベリーを使用したパイを提供する予定です。こちらもぜひお試しいただきたいです」(広報・畑垣さん)
今後の展望をお伺いすると「今後はテイクアウトにも力を入れていきたいと思っています。もちろん店舗数も増やしていきたいですね。バビーズはエリアのリサーチをしっかりと行ったうえで、そのエリアに合ったお店を展開しています。今後もその地域に愛されるお店作りをしていきたいです」(広報・畑垣さん)
同店は今注目のスポットでもあるコレド室町2の地下1階にあるお店です。2014年3月にオープンしたばかりですが、富士屋ホテル直営店とあり、夕方には全ての商品が完売してしまうほどの人気です。
「はじめはアップルパイとレモンメレンゲパイのみの提供で考えていました。しかし日本橋という土地柄それだけでば物足りないなと思い、ミートパイやチキンカリーなどの惣菜系のパイなどの提供もはじめました。とても好評で、現在も取り扱っています」(店長・小川さん)
店内のショーケースには、定番の「ザ・アップルパイ」とレモンメレンゲパイが並びます。
アップルパイの完成までにはなんと4日間も必要なのだそうです。「まずリンゴの皮をむき、糖度の決まったシロップに1日漬けます。次の日にシロップからリンゴを取りだし1日かけて水切り、3日目にプレザーブのリンゴとフレッシュなリンゴを合わせて味付けをしてまた1日おきます。そして4日目にやっとパイに成形して焼き上げています」(店長・小川さん)そのため数を生産することができないのが残念なところですが、それだけ手間と時間、なによりもこだわりが詰まった逸品です。
またアップルパイは生地にもこだわりが光ります。小麦粉は日清製粉の「バイオレット」と「カメリヤ」を使用しています。高品質バターとして知られる「カルピスバター」を使って上品な香りと芳醇な味わいを実現。サクサクの食感とリンゴのほのかな酸味と甘みを楽しめる逸品です。
そんなこだわりのつまったパイのおすすめの食べ方をお伺いしました。「ミートパイは電子レンジで15秒温めた後に、トースターで1分程焼いて召し上がっていただきたいです。アップルパイはお買い上げの当日は冷やしても常温でもサクサクのパイ生地を楽しめます。電子レンジで温めてアイスクリームと一緒に食べて頂いてもおいしいと思います。またレモンメレンゲパイは、購入した日に冷やしてすぐ食べていただきたいです」(店長・小川さん)今後はスイーツ系商品にも力を入れ、ラインナップを充実させていきたいそうです。
パイはアメリカ発祥の食。しかしながらアップルパイの味は、日本人にとっても食べた時、懐かしさを感じられるものです。それはすでにパイという食文化が日本人に古くから親しまれてきたことも大きな理由のひとつでしょう。
今回の取材を通して、アメリカ発祥のパイに、日本の食材や繊細さ、こだわりが加わり、本場を超える味を生み出しているのではないかと感じました。スイーツ、おかず、そしてもちろん主食にもなるパイ。その可能性を追求し続けることで、アップルパイのみにとどまらず、「パイ」というひとつのムーブメントを世の中に巻き起こしていけるのではないでしょうか。
※店舗情報及び商品価格は2014年12月現在のものです