昨今B1グランプリなど「食」をテーマにした町おこしが注目されています。
今回、ご紹介するのはカレーパンで町おこしをしている東大阪市(大阪府)の取り組みです。
平成20年、市役所の若手職員から提案され、「ラグビーのまち東大阪」をイメージさせる食ブランドとして「カレーパン」での町おこしが始まりました。カレーパンがラグビーボールの形に似ているということと、かつてカレーで有名なハウス食品のカレー工場があり、カレーの香りが漂う町だったことから、カレーパンが選ばれました。
平成23年1月に「東大阪カレーパン会」が発足、東大阪市内のパン事業者や市民が会員となり、「カレーパンを食べて元気な町づくり」と「カレーパンの普及振興」を目指すことを目的に現在活動を続けています。今春には、ハウス食品との共同開発によりオリジナルの具材「カレンちゃんのココロ」を考案しました。「数回の試作品の作成によって、試行錯誤の末に完成しました。各店で使いやすいようにすると個性がなくなり、逆に個性を出し過ぎると好き嫌いが出てしまったりと、オリジナルティを出すのに苦労しました」と話すのは事務局の森さん。最終的に鶏ミンチを使った野菜たっぷりのトマトベースのヘルシーなフィリングに決定しました。販売中の会員各店では具材をプラスしたり、辛さを調整したり様々なアレンジをしています。
主な活動としては、地元の学生が考案したオリジナルキャラクターによるステッカーやのぼり、マップの作成、ホームページでの情報発信の他、市民ふれあい祭りやラグビー大会など地域のイベントでの出店販売などを行っています。また、毎月8日を「カレーパン」の日とし、参加店舗ではお得な割引サービスや限定商品の発売などが行われています。「東大阪市民への認知は広まってきましたが、まだまだ全国的には知名度が低いのが現状です。東大阪市内でまだ加盟していないパン業者も多いので、今後も会員店舗を増やして一致団結し、よりパワーのある会に成長して、全国に向けて発信していきたいですね。」と森さんは今後の展開を意欲的に語ります。
花園ラグビー場のすぐ近くにあるため、近鉄ライナーズの選手も訪れるのだとか。約80種類揃うパンの中でも、塩味がしっかりしたセミハードタイプの塩パンが一番人気。タイプの異なる2種類のカレーパンを揃えています。
今年で創業27年目を迎え、地域に愛されているベーカリー「チェリーストーン」。朝は通勤途中のサラリーマン、昼は主婦の方で賑わいます。午前中は惣菜パンを中心に、ブランチやランチ用のパンが人気です。午後は子供に人気のキャラクターやくま、コアラ、パンダなどのかわいらしい動物パンがズラリと並びます。
中でも名物となっているのは「塩パン」で、しっかりとした塩風味の効いたセミハードの小ぶりサイズのパンです。「外はしっかりとしていて、中はバターたっぷりでジューシーなんですよ」と店を切り盛りしている山崎節子さんは太鼓判を押します。そのまま食べても美味しく、翌日は軽くトーストすると、よりジューシーになるのだとか。バターの分量など試行錯誤の末に完成し、やっと今のレシピに辿り着いたという一品で、またたく間に人気NO.1商品になったそうです。
そんな「塩パン」に負けず劣らず人気なのがカレーパンだそう。こちらのお店には、作り方の異なる2種類のカレーパンが揃います。
ひとつは「カレーフライ」です。こちらは揚げタイプのカレーパンで、バターロール生地を使い、焼いてから揚げているため、外はカリッと、中はもっちりとした食感が魅力です。フィリングのカレーは中辛のお家カレータイプなので、子供から大人まで幅広く支持されているのだそう。
もうひとつは「花園黒カレー」で、今春から新たにラインナップされました。こちらは焼きタイプのカレーパンです。東大阪カレーパン会で開発された全店共通のカレーフィリングである「カレンちゃんのココロ」をベースに、ごろごろとした大振りの野菜とブラックココアを隠し味としてプラスしています。スパイシーな味わいと黒い色が特徴で、形はラグビーボール型に仕上げています。
「どちらも、それぞれにファンのお客様がいるんですよ」と話すのは節子さん。ご主人の貢さん、息子の純弘さんの家族3人でお店を切り盛りしています。
「東大阪カレーパン会に参加したのは、市役所の説明会がきっかけでした」と節子さんは参加の理由を話します。今では東大阪ふれあい祭りや全国高等学校ラグビーフットボール大会でのカレーパンの販売にも積極的に参加しているのだとか。「もっとイベントを多くして、多くの人に『東大阪カレーパン会』のことを知ってほしいですね」と話すのは純弘さん。「B1グランプリを獲るくらい全国的に頑張って、東大阪を盛り上げていきたいですね。そのためにひとつひとつのお店が協力しあえるのはとてもいい取り組みだと思っています」と節子さんは話します。
今後も地域おこしに積極的に参加して、地元を盛り上げていきたいと展望を語ってくれました。
他にも、とろとろに仕上げた自家製カスタードをふわふわ生地のパンで包んだ「クリームパン」や板チョコを入れたビスケット生地の「ショコラ」など人気のパンが揃っています。「様々なパンを少しずつ何回も焼いています。それぞれにファンがいるので、細かいニーズに対応していこうと思っています」と純弘さんは話します。今後はカレーパンは勿論、ハード系のパンや、季節のフルーツを使ったパンにも力を入れていきたいそうです。
「パンで町おこしができるなんて素敵なことです。もっと『東大阪カレーパン会』が認知され、いつかカレーパンと言えば、東大阪となるといいですね」と節子さんは締めくくりました。
商店街の中にある地域密着型のベーカリーで、添加物を極力使わないようにしているのがモットー。以前は焼きカレーパンを販売していましたが、お客様のリクエストで揚げカレーパンに変えたところ、人気商品として定着したそうです。
「パピオ」の「黒毛和牛すじカレーパン」は、以前は焼きカレーパンでしたが、お客様のリクエストで揚げカレーパンにアレンジしたところ、人気商品の仲間入りを果たしたのだとか。スパイシーながらも子供も食べられる味で、たっぷりの玉ネギソテーが甘さとコク、まろやかさをプラスしています。黒毛和牛のすじ肉のみを使用し、砂糖と醤油の和風テイストでやわらかく炊いているため、脂の甘みもルウに溶け込み、旨み十分に仕上がっています。「もっちりとしたパン生地との相性もいいんですよ。揚げたことで、外はカリカリ、中はもちもち、牛すじ肉はとろとろです」とその美味しさの理由を店主の高田さんが教えてくれました。
東大阪カレーパン会に参加したのはイベントで他のベーカリーさんに声をかけられたことがきっかけだったそうです。「パン屋は朝早くて、夜も遅いため、閉鎖的で、パン屋さん同士の横のつながりがなかなかないんです。でも、東大阪カレーパン会に入って、色々なコミュニケーションがとれるようになり、情報交換ができるようになりました」と高田さんは話します。新たな発見だったのは、東大阪の中でも、北は焼きカレーパンが主流で、南は揚げカレーパンが人気だったことだそうです。
東大阪カレーパン会の共通カレーフィリングを使った「東大阪カレーパン」がカレーパンの新たなラインナップとして今春に新登場しました。「共通のフィリング『カレンちゃんのココロ』を当店のオリジナルにアレンジするために、様々な食材をプラスして試行錯誤を繰り返しました」と高田さんは開発当時を振り返ります。「ツナはカレーの味に馴染みすぎてしまい、らっきょうは好き嫌いがありそうで、なかなか苦労しました」と話します。そこで高田さんが思いついたのはカレーライスをパンにすることだったそう。
「カレーと言えば福神漬!と閃いたんです。独特の酸味とコリッとした食感も楽しめるカレーパンに仕上がりました」と太鼓判を押します。できあがった「東大阪カレーパン」はまさにカレーライスがパンに仕上がった感覚で、口の中で今までにない食感と風味が広がります。ラグビーボールの形で、揚げタイプのカレーパンは生地はもっちり、中の具材である福神漬の食感とも相性がよく仕上がっています。「驚きのあるパンにしたかったんです。食感の楽しさが狙いです」と高田さんは言います。
「東大阪カレーパン会が、市から府に、そして全国に広がっていってほしいですね。ハウス食品さんの協力にも期待しています」と高田さん。「ワンハンドで食べられるカレーパンはコンパクトなので、B1グランプリにもってこいですよ」と話します。今後は東大阪カレーパン会に参加しているパン屋さん巡りのスタンプラリーなど、市と協力して積極的に提案、参加していきたいそうです。
創業6年目を迎えるご夫婦で営む駅前立地のベーカリー。丁寧なパン作りと優しい人柄、アットホームで可愛らしい雰囲気に多くのファンが通います。
現在、「クローバー」には3種類のカレーパンがラインナップしています。東大阪カレーパン会の共通フィリング「カレンちゃんのココロ」を使った「東大阪コラボカレー」は福神漬をプラスした今春登場のオリジナルカレーパンです。食パン生地を使った見た目にも珍しいおやき風の焼きカレーパンは、チーズをのせて焼きあげています。「今では1日2回焼く人気商品のひとつです」と話すのは店長の川畑塁さん。「もっちりとした食感とみっちり入ったフィリングが美味しさのポイントです」と続けるのは良江夫人です。
定番のカレーパン「牛すじカレーパン」は焼きカレーパンで、自家製カレールウを使ったスパイシータイプです。じっくり炒めた玉ネギが入っており、コクと甘みをプラスしているのが特徴です。「生地が甘めなので、フィリングとの相性もいいんですよ」と塁さんは話します。
「牛すじカレードーナツ」は揚げカレーパンで、ドーナツ生地の甘さがスパイシーなカレーともマッチし、他のカレーパンと人気を分けています。「キャノーラ油で揚げているので、後味が軽いんですよ」と良江さんは言います。
「同じカレーパンでもパン生地やフィリングを変えることで、味わいや食感の異なるカレーパンを作ることができました。今ではそれぞれにファンがいるんですよ」と塁さんは話します。
「とても面白い取り組みだと思い、参加することにしました」と東大阪カレーパン会への参加理由を塁さんは話します。市役所から声を掛けられた当初は保留にしたそうですが、様々な取り組みを見ているうちに、東大阪カレーパン会に参加し、協力していきたいと思ったとのこと。今では、東大阪ふれあい祭りなど各種イベントにも積極的に参加しているのだそうです。
「パンで町おこしができるなんて素晴らしいと思います。でも、まだまだ多くの人に知られていません。1つのパン屋ではなかなかできないことですが、多くのベーカリーで協力し、連携することで、カレーパンを通じて、もっと多くの人に東大阪のことも知ってもらえると思います」と良江さんは話します。今後は、いろんな店と切磋琢磨して、共同開発などにも取り組んでいきたいと続けます。
カレーパン以外に約70種類のパンが揃い、中でも人気の「クリームパン」は自家製カスタードが旨さの理由で、バニラビーンズがたっぷりと入っており、風味豊かです。3種類揃う食パンは予約が入るほどの人気メニュー。「パンドミ」は練乳が入った少し甘めのやわらかタイプ、「米食パン」はネーミングの通り、米粉が入ったもっちりタイプ。「ハードトースト」はフランスパン風のさっくりとした食感が魅力です。
「それぞれにファンがいてくれるのが嬉しいですね。お客様の『おいしかったよ』の一言が毎日の励みです」と塁さんは話します。魅力的なパンがズラリと揃うクローバーさんと東大阪カレーパン会の今後の展開が楽しみです。
看板メニューはラグビーボール型の焼き&揚げカレーパンの老舗ベーカリー。ボリューミーかつリーズナブルな商品で庶民的な味わいをコンセプトに地域に根差した商品作りをしています。東大阪カレーパン会の代表的なベーカリーでもあり、テレビをはじめマスコミにも多数出演しています。
「鳴門屋」は第3回全国ご当地パン祭りに大阪代表で出店し、看板メニューの「東大阪ラグカレー」で全国2位入賞の実績を持つ人気ベーカリーです。本店は1949年にオープンし、65年以上の歴史を連ねています。こちらの支店も20年以上の歴史がある老舗店です。
「東大阪ラグカレー」は焼いた後に、さらに揚げることで、外はカリカリ、中はもちもちに仕上がっています。ラグビーの聖地「花園」生まれのラグビー型をモチーフにした形も人気の理由。中のフィリングは柔らかく煮込んだ牛すじがたっぷり入った自家製のカレーで、辛さはマイルドなので、子供でも美味しく食べられると評判です。さらに、他にはないサービスとして、注文するとその場で揚げたてを提供してくれることです。「冷めても美味しいですが、焼き立てはサックサクで、とろとろのアツアツが楽しめるんですよ」と店長の山田さん。揚げパンですが油っぽさを感じず、意外とあっさりしているのも魅力です。「多い日では1日に100個も売れるんです」と山田さんは話します。
「東大阪カレーパン会は地域活性化につながる取り組みです」と山田さんは話します。東大阪ふれあい祭りなどのイベントにも積極的に参加している鳴門屋さんは「東大阪ラグカレー」を掲げ、東大阪カレーパン会の盛り上げに一役買っています。「全国的に知名度はまだまだですが、カレーパンを通じて、東大阪を盛り上げていくお手伝いをしていきたいですね」と山田さんは続けます。
パンづくりに20年以上のキャリアを持つ山田さんですが「まだまだ試行錯誤の毎日です。何が成功なのかはわかりませんね。お客様のニーズは時代と共に変化していきます。敏感にそのニーズをとらえていくことが大事なんだと思います。美味しさは千差万別で多様化してきています。最近では、安全で安心な食材が求められているので、素材へのこだわりは欠かせませんね。そういったニーズにも対応していきたいです」と今後を語ってくれました。
今、力を入れている商品は、淡路島の玉ネギを使った「淡路島たまねぎパン」との事。生地に玉ネギを練り込み、渦巻き成形にし、さらに玉ネギとチーズをトッピングして焼き上げたセミハード系のパンで、食事パンとしても人気上昇中なのだとか。次なる名物の開発にも余念がありません。
※店舗情報及び商品価格は2014年12月現在のものです