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夏場を乗り切るアイデア満載! 夏限定めんメニュー

暑い夏は食欲の落ちる季節。売上に苦戦するお店が多いのではないでしょうか。そんな季節を、お客様の立場に立って新しいアイデアと行動で如何に乗り越えるか?が勝負となります。
今回は今年の夏、お客様の立場に立って様々なアイデアの夏メニューを提供しているお店を特集しました。ラーメン・うどん・蕎麦と違いはあれど、食欲の落ちる夏を元気に乗り切る独創的なメニューを提供しています。普段のメニューから一歩踏み込んだ季節メニューはお客様の心に届くもの。今夏の振り返りとして是非ご覧ください。
  • らーめん阿夫利(AFURI) 恵比寿
  • 麺屋武蔵 二天
  • 讃岐饂飩 元喜
  • 東京 土山人

らーめん阿夫利(AFURI) 恵比寿

ラーメン激戦区のひとつ、東京・恵比寿で常に安定した人気を誇るラーメン店「らーめん阿夫利(AFURI) 恵比寿」。オシャレな店構えとあっさり美味しいスープは女性客にとても好評です。そんな人気店が提供する夏限定メニューをご紹介します。

らーめん阿夫利(AFURI) 恵比寿
住所:東京都渋谷区恵比寿1-1-7 117ビル1F
電話:03-5795-0750
営業時間:11:00~29:00
定休日:無休
東京・恵比寿にある「らーめん阿夫利 恵比寿」

女性に支持を受ける「柚子塩らーめん」と「冷やし柚子塩麺」

店長の藤田卓也さん

ラーメン激戦区のひとつ、東京・恵比寿で10年以上に渡って人気店の座を守る「らーめん阿夫利(AFURI) 恵比寿」。旨味を凝縮した「淡麗」、鶏油を多めに加えた「まろ味」の2種類から選べるスープは「最後の1滴まで飲み干せる」とファンが多く、昼食や夕食時などの混雑時には行列が絶えません。恵比寿という土地柄とオシャレな店構えも影響してか、女性客からも多くの支持を集めています。そんなAFURIのメニューの中でも特に人気なのが「柚子塩らーめん」です。

「通常メニューの中でも、圧倒的に人気なのが『柚子塩らーめん』です。当店は女性客の割合が多いのですが、その女性からの支持が大きいですね。サッパリしていてスープも最後まで美味しく飲める、と好評をいただいています」。

店内

こう語るのは店長を務める藤田卓也さん。そして、夏季限定メニューが生まれたのも「柚子塩らーめん」がキッカケでした。

「お客様から、『冷たい柚子塩らーめんも食べてみたい』とリクエストをいただくようになり、じゃあ冷たいバージョンもやってみよう!と研究を重ね、4年前から夏季限定で提供するようになったのが『冷やし柚子塩麺』です」(藤田さん)。

 「柚子塩らーめん」同様、「冷やし柚子塩麺」も注文するのは男性客よりは女性客の方が多いそうです。今年は既に販売終了してしまいましたが、早くも来年の夏を心待ちにしているファンが大勢います。

大切な『柚子塩らーめん』の世界観を拡げるメニュー

夏季限定の「冷やし柚子塩麺」

冷やし柚子塩麺で使用する麺は、通常メニューと同様、AFURI独特の極細ストレート麺です。
「麺で大切にしているのは“のどごし”です。温かいらーめんの場合でも、少し固めに茹でるようにしています。その方がのどごしよく召し上がっていただけますので」(藤田さん)。

この“のどごし”をさらに堪能できるのが「冷やし柚子塩麺」の特徴です。ただ、そのための最適な茹で時間を見つけるのが一番難しかったといいます。

「5秒単位で何度も茹で比べて、試行錯誤を続けた結果、今の茹で時間が決まりました。ただ、去年は『冷やし』を提供し始めた6月と、終わり頃の9月で茹で時間を変えました。季節により、水温が変わってくるのでその見極めが難しいですね」(藤田さん)。

キリっと締まった麺の上に乗る具材の中でも、味の決め手となるのが「柚子ジュレ」。ジュレには柚子だけでなく、レモンの酸味も隠し味に加えているのがこだわりです。去年は世間でも「トマトジュレ」などのジュレブームが起こった影響で、「阿夫利の冷やし柚子塩麺のジュレが美味しい」と口コミが拡がり、さらに人気を集めました。ただ、あくまでも大事なのは一番人気の「柚子塩らーめん」だと藤田さんは語ります。

「AFURIといえば『柚子塩らーめん』。そこはしっかり意識していきたいと思います。その大切な『柚子塩らーめん』の世界観を拡げるメニューとして、『冷やし柚子塩麺』もしっかり作っていきたいですね」(藤田さん)。

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麺屋武蔵 二天

ラーメンブームの火付け役ともいわれる「麺屋武蔵」。現在、新宿の総本店以外で12店舗ある系列店のなかでも、「豚天」「鶏天」という独特の“揚げ物”メニューで存在感を放つのが池袋にある「麺屋武蔵 二天」です。

麺屋武蔵 二天
住所:東京都豊島区東池袋1-2-4
電話:03-6914-2634
営業時間:11:30~22:00
定休日:無休
東京・池袋にある「麺屋武蔵 二天」

揚げ物を武器に唯一無二のラーメン屋をやろう

番頭の米澤迅三朗さん

「革新的で上質なラーメン体験」を提供するべく、常に進化を求める人気ラーメン店「麺屋武蔵」。ラーメンブームの火付け役ともいわれ、ラーメン愛好家から広く支持を集める武蔵には、その流儀を受け継ぎ、さらに個性を重視した系列店があります。東京・池袋の人気ラーメン店「麺屋武蔵 二天」もそのうちのひとつです。

「二天と他の武蔵との一番の違いはやはり“揚げ物”です。当店ではチャーシューはメニューになく、『豚天』『鶏天』という揚げ物をメインに扱うことで他店との差別化を図っています」。

こう語るのは「麺屋武蔵 二天」の番頭・米澤迅三朗さんです。もともと、今の店舗から少し離れた南池袋で店を構えていた時代から揚げ物を提供していた二天。しかし、一時期メニューから外したところ、お客様からの問い合わせがとても多かったといいます。

店内

「2012年に今の場所に店舗を移転することになり、その際に、せっかく移転するのだからと最新のフライヤーを導入し、好評だった揚げ物を武器に唯一無二のラーメン屋をやろう、と決意しました」(米澤さん)。

今では「二天といえば豚天・鶏天」とすっかり定着し、この揚げ物を求めて来店するリピーターも大勢います。しかし、この揚げ物が夏場には少々重たく感じてしまう場合も。そこで、夏限定メニューとして打ち出したのが「冷やし二天つけ麺」です。

揚げ物をどうすれば美味しく食べていただけるか

夏季限定の「ビリ辛二天冷やしつけ麺」

「夏はやはり、普通のつけ麺よりも『冷やしつけ麺』のほうが反応がいいですね。それで集客が大幅に増えるわけではありませんが、お客様への選択肢が増える分、リピーターとして『また食べたい』『今度はあれを食べよう』と思ってもらえるキッカケにもなりますから」(米澤さん)。

昨年から提供するようになった「冷やし二天つけ麺」は、冷たい麺を冷たいつけダレで食すだけでなく、人気の豚天、鶏天が両方楽しめるのが魅力です。また、麺の上に乗った野菜の量も充実しています。

「武器である揚げ物は変えずに、その揚げ物をどうすれば美味しく食べていただけるかと常に考えています。洋食でコロッケやメンチカツにキャベツがついているように、当店でも夏場であればトッピングの野菜を多めにするなど、一杯の麺の中でしっかりバランスがとれるように心がけています」(米澤さん)。

5月後半から提供していた「冷やし二天つけ麺」は8月末から「ビリ辛二天冷やしつけ麺」としてバージョンアップ。山椒を利かせ、辛さに加えてビリビリする刺激が前面に来る、夏だからこそ汗をかきながら食べたい逸品です。
「9月になり、もう少し涼しくなったら、このスープをそのまま温かくして提供することも考えています。気候の様子をみながら臨機応変に対応していきたいですね」(米澤さん)。

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讃岐饂飩 元喜

東京・千石で、昼はサラリーマンに、夜は地元住民に親しまれているのが「讃岐饂飩 元喜」です。サラリーマンから転身した店主が心を込めて作る料理の数々は、まさに食べて“元気”になれるものばかり。季節ごとの限定メニューも充実しています。

讃岐饂飩 元喜
住所:東京都文京区千石1-19-8 エクセル千石 1F
電話:03-3945-8017
営業時間:[火~金]11:30~14:00、17:30~21:00/
[土曜・日曜・祝日]11:30~14:30、17:30~21:00
※ラストオーダーは閉店の15分前
定休日:月曜(祝日の場合は翌日)
東京・千石にある「讃岐饂飩 元喜」

グランドメニューにはない、付加価値をつけることができる商品

大将の岩崎良蔵さん

「ウチみたいな個人経営の店は、棲み分けをどうするかを常に考えなきゃいけません。大きなうどんチェーンとは違うオリジナリティをどうすれば出すことができるか、そこが大事になります」

こう語るのは、建設業のサラリーマンから、うどん店経営へと転身した岩崎良蔵さん。第二のキャリアをうどん店にしたのは、サラリーマン時代に四国に赴任した際、讃岐うどんの美味しさに感動したことがキッカケでした。

そして9年前、53歳のときに一念発起して開いた店は、今では東京・千石の地元住民に愛される店としてすっかり定着しています。昼間は定番のうどんメニューが好評。夜はうどんに加えておでんをはじめとした一品料理も人気で、昼夜を問わず客足が途切れません。また、夏場に客足が遠のきがちな飲食店が多い中、うどん店はむしろ暑い方が客足は伸びる、と岩崎さんは語ります。

店内

「冷たいおうどんもたくさん提供していますので、夏場は普段通りのことをしっかりやればお客様は来てくれます。それでも夏期限定メニューを作るのは、季節ごとにお店として変化を打ち出したいからです」(岩崎さん)。

季節限定メニューで意識しているのは、グランドメニューにはない、付加価値をつけることができる商品であること。夏だけでなく、秋には秋限定、冬には冬限定メニューを毎年提供しています。

天然素材のうどんを、天然素材の具材とともに

今年、夏限定メニューとして提供されたのは、青森県産のトマトと特製玉ねぎダレの相性が抜群の「ザクットマトぶっかけ」と、素揚げした夏野菜がもりだくさんで熱々の「『夏』カレーうどん」の2種類です。ちなみに元喜ではグランドメニューでも3種類のカレーうどんが提供されています。にもかかわらず、夏限定でもカレーうどんを提供する理由とは?

「実は夏場ってカレーうどんがあまり注文されません。冬の人気商品なんです。でも、夏もカレーうどんを食べて欲しい。だからこそ「夏カレー」をやることで、他のカレーうどんを牽引することができます。いわば、気づきを与える商品ですね」(岩崎さん)。

「『夏』カレーうどん」はじゃがいものメークイーンを丸ごと1個素揚げし、さらに茄子やパプリカの素揚げもボリューム満点。「インパクトを出すことを心がけている」という岩崎さんの狙い通りのメニューになっています。

「当店のこだわりは、他店にはないメニューを食べていただきたいということと、自然なものをできるだけ元のまま提供することです。屋号の『元喜』の“元”は『天然素材100%。自然なものを元のままで』という意味。天然素材のうどんを、天然素材の具材とともに食べていただいて“喜んで”いただき、そして“元気”になっていただく。天然素材100%が売りですから化学調味料などは使っていません。天ぷらをする際の油もコーン油を使っているのでコレステロール0。素材にどこまでもこだわり続け、お客様に選ばれる店でありたいですね」(岩崎さん)。

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東京 土山人

東京・中目黒。目黒川沿いの閑静な住宅地の中に佇む名店「東京 土山人」。自家製粉を石臼で挽いた手打蕎麦が自慢の店は、ゆっくり食事を楽しむ場としてはもちろん、仕事や大事な会合などで話をしながら食事ができる場としても活用される人気店です。

東京 土山人
住所:東京都目黒区青葉台3-19-8
電話:03-6427-7759
営業時間:11:30~14:30、18:00~23:00
(ラストオーダー22:30)
定休日:無休(正月・GW・お盆休みあり)
東京・目黒にある「東京 土山人」

冷たい蕎麦の場合は細さにこだわる

店長の長濱大さん

元々すだちは四国・徳島の名産品。茹でたうどんにすだちを搾って生醤油をかけて食べる徳島の食文化にヒントを得て、蕎麦でもできないかと生まれたのが土山人の「すだち蕎麦」です。温かいすだち蕎麦は年中提供され、夏季限定で「冷やしかけすだち蕎麦」が提供されます。

 「冷やし」メニューを展開する麺料理店の多くは、温かいメニューも冷たいメニューも同じ麺を使い、茹で時間や水で締める時間を調整することで、冷たい汁(スープ)と合うように提供します。
ところが、土山人では温かい蕎麦と冷たい蕎麦では扱う蕎麦が全く変わります。温かい蕎麦の場合、そば粉8割、つなぎ2割の割合にした太切りの蕎麦。反対に冷たい蕎麦の場合は細さにこだわり、9割以上がそば粉です。その理由を、店長の長濱大さんは次のように語ります。

店内

「当店では仕事をしながらの接待客も多いので、料理を提供してから食べるまで時間がかかる場合があります。温かい料理が冷めてしまうのはどうしようもありませんが、蕎麦が溶けてズルズルになるのは防ぎたい。そのために蕎麦を太くして溶けづらくしています。反対に冷たい蕎麦はのどごしと歯ごたえを味わっていただきたいので、できるだけ細くして提供しています」。

そばの実は粉にした瞬間から香りが飛んでしまうので、土山人ではお店で直接、その週に使う分だけを製粉し、その日に打ったものをその日に提供することを徹底しています。

土山人といえば、すだち蕎麦

夏季限定の「冷やしかけすだち蕎麦」

 「温かいすだち蕎麦」と「冷やしかけすだち蕎麦」には、そば粉の比率と太さ以外にも出汁に違いがあります。温かい場合はサバ節と鰹節の混合で、冷たい場合はサバ節中心の出汁にすることであえて少しえぐ味を出し、かえしとあわせてバランスをとるようにしています。その理由は、冷たい蕎麦の場合、蕎麦そのものに味が入りにくいため塩分濃度を若干高くする必要があるからです。

「お出汁はもちろん毎日とっています。その日のうちに使い切ることで、より香りが強調されるように心がけています」(長濱さん)。

一杯のすだち蕎麦に使うすだちの量は大きめのすだち(3Lサイズ)だと2、3個。多い時で1日に150個のすだちを使うこともあるといいます。一面に浮かんだすだちの輪切りを見るだけで清々しい気持ちになれる逸品です。

「『土山人といえば、すだち蕎麦』といわれるほど、『すだち蕎麦』はこの店の名物になっています。特に夏になると『冷やしかけすだち蕎麦』が一番人気です。ただ、夏場はもともと蕎麦をお求めになるお客様は多く、当店の場合、課題は冬場です。そのため、冬になるとお通しでおでんを出したり、お鍋などの温かいメニューを提供するようにしています。1品料理にも力を入れていますので、お料理も『蕎麦屋だからこのくらい』ではなく、ちゃんと満足いただけるよう心がけています。その上で、土山人の蕎麦の味をしっかり打ち出していきたいですね」(長濱さん)。

キリッと冷えた涼しげなメニューを考案したり、季節の素材を取り入れたり、あえて辛く(熱く)したりと、ひと口に「夏季限定メニュー」といっても、その切り口はさまざまでした。しかし、今回取材した店が共通して語っていたことがあります。それは、「通常メニューを疎かにしてはいけない」「グランドメニューがしっかりしていてこその限定メニューだ」ということです。限定メニュー単体で勝負をするというよりも、あくまでも来店のキッカケであったり、また次に来てもらうための入り口、と捉える店がほとんどでした。大事なことは、お客さまに対してどれだけの選択肢を提供できるか。限定メニューを考案する際には、メニュー全体の構成やバランスも今一度見直してみるとよいかもしれません。

※店舗情報及び商品価格は2014年12月現在のものです

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