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昨今「PAUL」や「メゾンカイザー」「ヴィロン」などフランスのベーカリーが続々と日本に上陸し、ハード系のパンが充実した本場さながらのベーカリーが誕生している。
そして2005年9月、パリで最もホットなBIOベーカリー"ル・パン・オ・ナチュレル モワザン"が大阪の心斎橋そごうに登場した。
パリではここ数年、BIOブームが続いており、(BIOとはビオロジック→オーガニックの略で一般に無農薬・有機農法と訳される) 安全なものを食べたいという意向からBIO専門のマルシェ(市場)が人気になり、BIOライフが浸透してきた。
生活者のそうした意向を反映してか「モワザン」はパリ市内に6店舗を展開、7店舗目は初の海外進出となる日本に上陸した。
こうしたパリのBIOブームに目をつけ、モワザンと提携したのは、創業百周年の老舗ベーカリー「ドンク」である。そこで今回は「モワザン」心斎橋店をレポートしたい。

〔パリさながらの外観〕

2005年9月7日、大阪心斎橋の百貨店「そごう」がリニューアルオープンし話題をよんだ。従来の百貨店の常識を超える楽しさを打ち出し、鳴り物入りでオープンしただけに、日本初出店が17ブランドに及ぶ。いわゆる"ここだけ"が勢ぞろいした。中でもベーカリーの目玉は、パリのBIOパンの人気店「モワザン」の海外初出店である。



ここでは「モワザン」と「ドンク」が併設したユニークな店づくりとなっているが、モワザンコーナーはパリそのままのオシャレなピンクとダークグリーンのモワザンカラーで「まさにパリがそのまま出現した」ようだ。ショーケースには本格的なハード系の食事パンや美しいヴィエノワズリ、調理パンなど約45アイテムが並ぶ。ここではパリと同じ対面販売を導入、これまでのセルフとはひと味違う。

[対面販売]「ドンク」のコーナーが隣接

 この店の特長は使用する全ての小麦粉をフランスのモワザンが使用しているBIO(オーガニック)小麦粉を使用していることだ。本場でもここ心斎橋店でも一番の自慢はフリュート(340円)とよばれるバゲットである。モワザンの小麦粉を使いポーリッシュ法で作ったこのフリュートは香ばしくパリッとした食感、素朴で優しい食べ口がモワザンファンを喜ばせる。また「マルション・ドゥ・ビエール」や「パン・クラブ」などグラム売りの大型の食事パンが並びパリそのままの売り方で提案している。
〔フリュート315円〕 「マルション・ドゥ・ビエール」
100g 210円
「パン・クラブ」100g263円
本場ブルターニュ産のバターを贅沢に使った「クロワッサン」(252円)は、ひと口噛むとバターの香りがジワッとして、これまでにないクロワッサンを味わうことができる。またブリオッシュ類も人気で、特に「ブリオッシュ・ルヴァン」(568円)はコクのあるバター風味がなんともいえず、忘れられない味わい深い商品となっている。
[ブルターニュ産バターを使った
クロワッサン252円]
〔ブリオッシュ・ルヴァン568円〕
また、本場パリを踏襲したタルトやヴィエノワズリ類の品揃えもうれしい限りだ。特にスライスしたりんごの薄焼きタルト「タルトレット・フィンヌ」378円や、パリの秋の風物詩「タルトレット・タタン」420円は圧巻。またりんごのピューレを包んだサクサクのシヨッソン・ポンムは大小2サイズ揃えて買いやすく工夫している。
〔タルトレット・フィンヌ 378円〕 〔タルトレット・タタン 420円〕 〔ショッソンポンム右294円
ミニ84円〕
「この心斎橋店では『ピザ』や『ビッシェット』などの調理パンも人気です」とスタッフの門田さん。マッシュルームやトマトにグリエールチーズをぜいたくに使った「ピザ・ナチュール504円」や「ピザ・ジャンボン504円」はボリューム感もあり、食事としてもピッタリだ。またクロワッサン生地を使った「ビッシェット・オリーブ168円」や「ビシェット・ラルドン168円」もサクッと軽い味わいで朝食やおつまみにも合う。このビッシェットはパリではアペリティフとして人気なのだとか。
〔ピザ・ナチュール504円〕 〔ピザ・ジャンボン504円〕 〔左ビシエット・オリーブ
168円右ビシエット・ラルドン〕
「ここでは対面販売のためパンそのものの品質や味もさることながら、スタッフの力量と笑顔が欠かせない。日本ではベーカリーの対面販売は客も店舗側もまだ慣れていないが、「これが本場のパリ流」と言われれば多少の行列は納得できるというものだ。

 日本ではモワザンはまずは大阪に上陸したが、パリのモワザンを知っている人にとっては「東京にはいつ出来るの?」と東京への出店が期待されていることは間違いない。昨今、食の分野では素材にこだわる生活者が増え、ヘルシー感と相まって素材こだわり店や商品が大変な人気となっている。マクロビオテックの弁当や惣菜が話題となるなど「毎日食べてヘルシー」が時代のキーワードとも言える。そういう意味ではモワザンの日本上陸は必然だったともいえる。
 今、東京には「メゾンカイザー」、「ヴィロン」、「ポール」とパリのベーカリーが続々登場、ハード系のパンの充実ぶりには目を見張るものがある。クラストやクラムの食感・味わいまで好みに合わせて選ぶことができる幸せはパン好きにはたまらない。「モワザン」が関西でどこまで受け入れられるかは未知数だが、素材にこだわり、素朴で本物の味を食したい客のためもぜひ東京に展開して欲しいものだ。モワザンのレシピを忠実に再現しているというモワザン心斎橋店だが、今や日本のベーカリー技術は世界一。そして首都圏にはパリの本場を体験し、本格的なフランスの味を求める生活者も育っている。従って新しいパンの価値を提案する「モワザン」が素材重視のパン好き人間たちの間で話題となることは間違いない。

【モワザン心斎橋店】
大阪市中央区心斎橋筋1丁目8番3号 そごう心斎橋店B1
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