2008年に名古屋で創業。名古屋のご当地ラーメン「台湾ラーメン」をヒントに、ビリ辛の肉味噌“台湾ミンチ”でまぜそばを食べる、という台湾まぜそばを生み出した店が「麺屋はなび」です。その“元祖の味”が遂に東京に進出し、早くも行列を作っています。
台湾まぜそば発祥の店としてブームを牽引する麺屋はなび。その6店舗目として2014年7月に誕生したのが、東京初出店となる「麺屋はなび新宿店」です。店を切り盛りするのは、名古屋の高畑本店などで経験を積み、東京進出にあたって自ら店長にと手を挙げた高津雅哉さんです。
「開店当初からさまざまなメディアで取り上げていただいたおかげで、たくさんの方にお越しいただいています。特に、テレビの影響力は大きいですね」。
本場の味を求めて昼食時には行列が絶えない人気ぶり。多い時は1日200杯以上の注文が入ることもあるそうです。創業者である新山直人氏が考案した台湾ミンチ(タカの爪、ニンニクを効かせたしょうゆ味のピリ辛ミンチ)を、極太麺と具材とで混ぜあわせて味わう一杯は、東京の地でも確実に認知度を拡げています。
「やはり“元祖の味を食べたい”と来てくださるお客様が多いので、特に台湾まぜそばの命でもある台湾ミンチの味にはこだわっています。基本的なレシピは、もちろん本店も姉妹店もどの店も同じなんですが、お店で手作りしているわけですから、自分としてはどの『はなび』よりも美味しい台湾まぜそばを作ろう!と思ってやっています」。
台湾まぜそばというスタイルにおいて麺屋はなびが考案したものには、味付けやビジュアル以外でもさまざまなものがあります。麺と具材がよく絡み合うよう、麺を茹で上げた直後にあえて傷つける技法もそのひとつです。
「麺は本店と同じ製麺所から仕入れた、全粒粉の極太麺を使用しています。傷をつけたときに粘りが出るんですが、その粘りとタレが絡みあうことで甘味が生まれ、味が変化していきます。これも、『はなび』ならではの味わいのひとつだと思います」。
ひと手間加えた極太麺がパンチの効いた台湾ミンチと混ざりあい、さらにニラ、こだわりの九条ねぎ、海苔、ニンニク、魚粉、卵黄といった具材と絡み合うことで、美味しさとジャンクさが渾然一体となる味わいが生まれます。
「“台湾まぜそばの元祖”としての味は守りつつ、今後は新宿店ならではの個性も打ち出していきたいと思います。たとえば、今は新宿店限定として「東京ソースまぜそば」というメニューを出していますが、『はなび』ならではの台湾ミンチを活かした限定メニューにも挑戦していきたいですね」。
台湾ミンチの代わりに炙りシャーシューをトッピングした「黄身こそスターだ」など、辛味が苦手な人も楽しめるメニュー、さらには「台湾たまごかけごはん」「トロ肉丼」といったサイドメニューも充実している麺屋はなび。こだわりが満載のこのお店には、今後も行列が絶えそうにありません。
2014年8月に東京・浅草橋で開店した「麺屋まぜはる」。台湾まぜそばはもちろん、名古屋の元祖ソウルフード・台湾らーめんも食べられるとあって、外観・内装ともシックな黒で統一した清潔感あるお店の前には、昼食時を中心に本場の味を求める客足が絶えません。
麺屋まぜはるが東京・浅草橋にオープンしたのは2014年8月28日のこと。この日から約一週間、オープン記念として通常800円の台湾まぜそばを500円で提供したところ、お店の前には連日長蛇の列が。ちょうど東京でも台湾まぜそばを提供する店が増え始めた時期と重なったこともあり、“新しい味”を求める層を中心に一気に認知を広めました。
店長の寿崎豊さんは、台湾まぜそばの本場・名古屋で屈指の人気店である「らーめん まぜそば てっぺん」出身。同店で数年に渡って経験を積んだ後、「一度食べたら病み付きになるこの味を、東京で挑戦したい」と、あえて土地勘もない東京・浅草橋の地で麺屋まぜはるを開店しました。
「東京でお店を出そう、というタイミングが、ちょうど東京で台湾まぜそばが流行りだした時期と重なりました。そのタイミングは本当に“たまたま”なんですが、お店を軌道に乗せる上では“幸運なたまたま”でしたね」
ピリ辛でガツンとした味わいが特徴の台湾まぜそばですが、麺屋まぜはるではニンニクのあるなしが選べるのはもちろん、卓上の昆布酢をかけることでまろやかな味わいにして楽しむことができます。また、丼に残ったミンチなどの具材を最後まで楽しめる「追い飯(無料)」など、本場・名古屋ではおなじみの台湾まぜそばのスタイルがしっかり味わえるのも魅力です。
「名古屋の味を東京で挑戦したい」と生まれた麺屋まぜはる。その言葉通り、本場の味を踏襲しつつも、東京仕様にあわせたアレンジも加えられています。
「台湾ミンチは牛と豚の合挽きですが、名古屋の一般的なメニューと比べると、牛ミンチの比率を多めにしています。味付けに関しても、名古屋は基本的な味付けの部分で濃い目が好まれるので、東京ではあえて抑えるように調整しています」。
使用する肉の種類も開店からの半年間で3回変更。麺に関しても当初、名古屋から取り寄せていたものを東京で仕入れるようになりました。
「当店では麺の食感やのどごしも楽しんでいただきたいので、麺に傷はつけずに提供しています。その分、具材やタレと絡みやすい全粒粉入りの麺にするといった工夫をしています。台湾まぜそばの肝でもある台湾ミンチに関しても、煮込み時間や味付けも含め、丁寧に手間ひまをかけることにこだわっています。東京でも台湾まぜそばを提供するお店がますます増えている中で、他店と差別化を図るには、やっぱり基本を大切にすることが重要だと思います」。
通常の台湾まぜそばの他にも、ゴロッとした炙りチャーシューが自慢の「ガッツリ肉」などのトッピングメニューも充実。さらなる味の高みを目指して日々精進を繰り返しているからこそ、その味はファンの心を捉えて離しません。
“行列ができる店”として有名な東京・赤羽にある「自家製麺 ほうきぼし」。その姉妹店として神田に店を構えるのが「ほうきぼし+ 神田店」です。赤羽店同様に看板メニューは「汁なし担々麺」ですが、ほうきぼし+神田店限定のメニュー「台湾まぜそばZ」も人気です。
「常に考えているのは、お客様にどうやったら喜んでいただけるか、ということ。何か新しいメニューを始めたいと思ったときには、世間では何が流行っているのかの情報を収集して、自分でも食べ歩いて、自分なりに整理して出すようにしています。その中で、とにかくお客様に食べてもらいたい、是非この味を知ってもらいたいと思ったのが『台湾まぜそば』でした」。
東京・神田の人気ラーメン店ほうきぼし+の店長、稲垣尚さんはそう語ります。元々は汁なし担々麺で人気に火がついた同店ですが、2014年から「台湾まぜそばZ」を提供したところ少しずつ認知を広げ、汁なし担々麺に迫る勢いも見せているといいます。
「同じ汁なし・まぜそば系であり、辛い特徴がある二つのメニューですが、辛さの方向性が全く異なるので、うまく共存して、お店の底上げをすることができています。面白いことに、常連さんでも、担々麺を頼む方と台湾まぜそばを頼む方はキレイに分かれますね」。
さまざまな店の台湾まぜそばを研究して生み出されたほうきぼし+の「台湾まぜそばZ」は、従来からお店で提供していた全粒粉入りの自家製太麺との相性もよく、サラリーマンを中心に日に日にファンを増やしています。
台湾まぜそばといえば、食べた瞬間にピリッとインパクトのある辛さが人気の理由のひとつ。ところが、ほうきぼし+の「台湾まぜそばZ」はむしろ口当たりがやさしく、後からじんわりと辛さが追いかけてくるのが特徴です。
「肉味噌は肉汁を活かしてしっとりと仕上げ、味付けは少し甘めにセッティングしています。あと、味でこだわっているのは、鶏白湯の濃厚なスープを加えていること。このスープを作るのに手間と時間、それと材料費もかけていますので、他店の台湾まぜそばと差別化をはかれている部分だと思っています」。
やさしさに溢れた肉味噌と、存在感のあるニラ、ニンニクが混ざり合うことで、何度も食べたくなるクセのある味わいが生まれます。
「台湾まぜそばの特徴はやっぱりこの中毒性ですよね。今、ラーメン業界ではこの台湾まぜそばと煮干しラーメンの店が増えていると思いますが、どちらにも共通するのが“中毒性”だと思うんです。しばらくこのブームは続くんじゃないでしょうか」。
そして稲垣さんは、台湾まぜそばと汁なし担々麺を中心に、今後もお客様に喜んでもらえるお店作りを目指していきたい、と語ります。
「大切なお時間の中を割いて店に来ていただいているんですから、その時間を無駄にしないように、出来るだけ気持ち良く帰ってもらえるように心がけています。『来てよかった』と思ってもらえるメニュー作り、店作りを徹底していきたいですね」。
「麺は生き物。妥協なしの逸品」というコンセプトのもと提供される極太麺が人気の「つけめんあびすけ」。このあびすけブランドが新たに立ち上げたのが、台湾まぜそばと油そばに特化したお店です。ジャンクな味わいを求めたファンが通い詰める人気店です。
濃厚つけ麺専門店として、神奈川県を中心に複数店舗を構える人気店「つけめんあびすけ」。そのあびすけブランドが「油そば専門店」として立ち上げた「あびすけ 東京都新宿区西新宿7丁目店」が、「台湾まぜそば・油そば専門店」にリニューアルオープンしたのは2014年5月のこと。リニューアルのキッカケはTwitterだった、と店長の小野修一郎さんは語ります。
「代表の高橋知紀がTwitterをやっていたところ、フォロワーの方から『台湾まぜそばが流行ってるみたいですよ』と教えていただいたみたいなんです。その頃はまだ東京で食べられるお店は限られていたんですが、実際に食べてみたところ、これは美味しい、と。ちょうどお店を改装するタイミングでもあったので、思い切って『台湾まぜそば・油そば専門』にリニューアルすることになりました。もちろん、メニューとして提供するにあたってはいくつかのお店を食べ比べたり、当店のこだわりでもある麺にふさわしい台湾まぜそばになるよう、研究を重ねました」。
「油そば専門店」という元々のバックボーンも活かし、油そばではおなじみのマヨネーズや山椒のトッピングを、台湾まぜそばでも好きなだけかけることができるのが、他店とは異なる特徴です。
「一般的な油そばのお店だと数十円プラスでかけ放題だと思うんですが、当店では昔から無料でかけ放題です。ご好評いただいていたので、リニューアル後も同じスタイルを続けています。実際、台湾まぜそばにかけているお客様も多いですよ」。
メニューには「台湾チーズまぜそば」など、濃厚な味付けが好きな方には嬉しいメニューやサービスが充実しています。
麺は「つけめんあびすけ」でも使用している超極太麺と同タイプ。ただ、原材料や加工は一緒でも、具材との絡まりやすさを考えて少し長めにするなどの工夫が施されています。また、一般的なすり鉢状の丼とは異なり、底が平らな丼であることも、麺と具材を混ぜやすくする秘訣です。さらにもう一つ、麺と混ぜやすくするこだわりが具材の中に込められています。
「他のお店よりも魚粉の量が多いのが当店の特徴だと思います。あと、すりゴマも入れているんですが、この魚粉とすりゴマがタレを吸うことで、より麺にまとわりつく効果を発揮していると思います」。
同様に、台湾ミンチにも混ぜやすくするこだわりがあります。
「台湾ミンチって、粗挽きミンチをつかって炒めているお店がほとんどだと思うんです。でも、当店ではむしろ肉味噌に近い形で煮込んで汁気を多めにして、その肉汁と麺を絡めることで美味しさを感じてもらう狙いがあります。肉の挽き方もかなり細かい方だと思います」。
「油そば専門店」としての経験を存分に発揮した「混ぜやすさにこだわった台湾まぜそば」は、具材のアクセントに塩昆布が加えられています。細やかな工夫もファンを飽きさせないポイントです。
※店舗情報及び商品価格は取材時点(2015年2月)のものです