ハイブリットスイーツとして最初に話題となったのが、ニューヨーク生まれのクロワッサンドーナツです。ソーホーのドミニクアンセルベーカリーには、クロワッサンでドーナツの「クロナッツ」を求めて連日行列ができる、と話題になりました。その「クロナッツ」にヒントを得て、わずか4ヶ月で日本独自の「クロワッサンドーナツ」を創り出したのが、アンジェリークN.Y.です。1972年創業のベーカリー「バンデロール」が運営していますが、2013年7月に発売以来、たちまち人気となりました。
ドミニクアンセルとは違う手法で、これまでになかったものを創りだす苦労は計り知れません。アンジェリーク東京社長で技術責任者でもある青木勝幸氏に開発の経緯を伺いました。
「クロワッサン生地を油で揚げると吸油しすぎて油っぽくなってしまう。そこで焼いてから揚げることを考えました。その方がバターの風味もよく、軽い食感になります。但しボリュームが出ないので、2枚重ねて真ん中にフィリングを挟むという独自のクロワッサンドーナツが誕生しました。」と青木社長。
当初は直径8cmの通常のドーナツサイズでしたが、いろんな種類を食べたいので小さくして欲しいとの要望から、直径6cmの小振りのタイプに変更。またカロリーが心配と言うお客様の声から、揚げないノンフライタイプも開発されました。今後は和の素材を使ったノンフライを考えているとのこと、お店に並ぶ日が楽しみです。
このクロワッサンドーナツ専門店が2014年11月に東京駅一番街に登場。これまでは品川駅アトレや、百貨店の催事に出店していましたが、この一番街は常設店ですから、いつでも購入することができます。
総面積7坪という小さなお店には、見た目も可愛いクロワッサンドーナツがズラリ。開店初日には大変な賑わいで2800個も売り上げた、と店長の佐田美香さん。
一番人気は「塩キャラメル」や「クリスピーチョコ」(いずれも280円)。東京駅一番街店限定としてはピンクが目を惹く「ミルキーストロベリー」(320円)も人気とのこと。
揚げたタイプと比較してふんわりした食感が人気というノンフライタイプは「クレームキャラメル」「ベリーチョコ」、季節限定の「柚はちみつ」(いずも280円)など5種類が揃います。実際クレームキャラメルを食べてみると、確かに中はふんわりで、一味違ったクロワッサンドーナツが楽しめます。
店には噂を聴きつけた若い女性が次々と訪れ、中には娘に頼まれたと来店する父親もおられるとか。いずれにしても東京駅の最高の立地に常設店として出店、ますます話題になりそうなのです。
実はこのアンジェリークN.Y.には28歳の女性を主役にしたストーリーがあり、この東京駅一番街店は、彼女のアトリエをイメージしたとのこと。黒板にドーナツのイラストを描いたディスプレイも頷けます。今後、アンジェリークさんがどんな商品を発想するのか、楽しみです。
「プレッツェルとクロワッサンが合体ってどんな味?」と話題になったのが、2013年4月、ニューヨークで人気のベーカリー「ザ シティ ベーカリー」が、大阪に上陸したときのこと。看板商品「プレッツェル クロワッサン」を求めて長い行列ができ、その年、11月には東京・品川に、そして12月には広尾がオープン、今でも看板商品となっています。
早速、ザ シティ ベーカリー 品川に伺いました。店内にはプレッツェルクロワッサン(334円)は勿論、ニューヨークそのままのマフィン、ビスケット、クッキー、ブラウニーなどが並び、まさに『ニューヨーク』を彷彿とさせる店となっています。
「プレッツェル クロワッサン」は、プレッツェルとクロワッサンを融合させたもので、独特の形とクロワッサンのような食感とプレッツェルの塩味が特長。生地量130gというだけあって、ズッシリと重く、食べ応えがあり一個で十分満足させてくれます。ひと口食べると、しっかりした塩味とパリッとした香ばしさ、もっちりしていて生地に旨みがあり、クセになる味わいです。プレッツェル クロワッサンは今でも一日800個は売れる看板商品となっています。
品川の工房は狭いため、ほとんどはカフェも併設の広尾の工房で作っていると、ベーカリー統括責任者の森田良太氏。森田氏自身数回ニューヨークの本店で修業を重ね、原材料は現地に近いものを厳選し、プレッツェル クロワッサンやマフィンやビスケットなどは本場の味そのままを再現しているとのことです。
このシティ ベーカリーを運営しているのは、軽井沢にあるそばの名店「川上庵」や「ベーカリー&レストラン 沢村」など多様な外食産業を展開しているフォンスという会社です。N.Y.のシティ ベーカリーのオーナー、モーリー・ルービン氏が国外初出店を日本に決定、提携企業を探しているときに、フォンスの社長と出会い、意気投合したというのです。
品川はベーカリーカフェとレストランも併設、大人の雰囲気の店舗はオシャレで、朝から夜まで賑わっています。日本オリジナルメニューの食パンタイプのCBブレッド スクエア(1本972円)なども投入、日本独自のメニューも並びます。
ニューヨークにない食事パンの開発は自由なので、今後いろいろ提案していきたいと語る森田シェフ。どんなオリジナリティ溢れるパンが登場するか楽しみです。
そしてこの4月には福岡市天神にも4号店が出来るとのこと。九州でもプレッツェル クロワッサン旋風がおこりそうな予感がします。
サクっとした食感が魅力のクロワッサンと、もっちり食感が魅力のベーグルとが合わさったらどんな味? これを専門店として実現したのが、「BAGEL & BAGEL」を展開する株式会社ドリームコーポレーションです。日本にベーグル専門店「BAGEL & BAGEL」を出店したのは19年前。今でこそすっかりお馴染みとなりましたが、日本人に合う食感のベーグルを提案、普及の草分けとなったのがこの会社です。そんなベーグル専門店が、研究に研究を重ねて創りだしたクロワッサンベーグルをご紹介しましょう。
ドリームコーポレーションがクロワッサンベーグルを発売したのは2014年9月。その半年以上前から、ニューヨークで人気のクロワッサンベーグルの存在を知り、現物を入手、研究をスタート。当初、社内では賛否両論もあったそう。「ベーグルの良さを失わずに、いかに双方の魅力を引き出すかに苦労しました」(広報)。特にベーグル生地とクロワッサン生地のバランスを工夫した結果、現行のベーグル生地にクロワッサン生地を合わせた、渾身の『クロワッサンベーグル』が誕生。
人気のクロワッサンベーグルブルーベリー(220円)を食べてみると、外側のクロワッサン生地がサックリ、中がしっとりもっちりしていて、その食感がたまりません。軽くトーストするとブルーベリーの甘酸っぱい香りと共に、よりサックリ感と中のふっくらモチモチ感が増し、その対比がおもしろい。「クロワッサン生地を合せることで、よりしっとり感や柔らかさが増し食べやすくなりました。結果、お客様の層が広がりました」(広報)。ベーグルとクロワッサン、双方の魅力を存分に引き出した、ベーグル専門店ならではのクロワッサンベーグルは一度食べたら止められません。
さてそのクロワッサンベーグルを求めて千代田区の神保町店に伺いました。靖国通りに面した店内には、お馴染みのベーグル約20種とマフィンがズラリ。そしてありました!中央の目立つところにクロワッサンベーグルが3種類。種類はプレーン(210円)と、ブルーベリー(220円)とダブルチョコ(220円)の3種。「ブルーベリーが一番人気です」と答えてくれたのは、入社9年というベテランの村山正貴店長。その優しい笑顔に常連客も多いようです。ここは厨房を完備、ベーグルは勿論、クロワッサンベーグルも毎日焼成。「日々ブレのない商品をきっちり焼いてお客様に喜んでいただくのが私の仕事」と村山店長。
ここはカフェも併設、好みのベーグルでサンドイッチをオーダーできます。人気のヴォルケーノでスモークサーモン&クリームチーズをオーダー。トーストしたモチモチのベーグルとスモークサーモン・クリームチーズ、オニオンがマッチ、ベーグルサンドの魅力を堪能できます。コーヒーは小川珈琲の豆を使用するなど、素材と美味しさにこだわっているからこそでしょう。近隣のOLや学生に愛される繁盛店となっています。
※店舗情報及び商品価格は取材時点(2015年4月)のものです