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〔店内売場構成図〕 |
東京世田谷区・三軒茶屋、地下鉄から徒歩3分という住宅地に、ダイエーの新業態「foodiam三軒茶屋」がオープンした。どこが新業態かというと、スーパーの品揃えとコンビニエンスの利便性を融合させたことにある。約三百坪の店内はデリカゾーン、食品スーパーゾーン、コンビニゾーン、リカーゾーン分かれ、短時間でも買いやすい売り場構成となっている。
明るく広々とした店内は高級感に溢れ、一見「クイーンズ伊勢丹」などの高級食品スーパーを思わせる。中でも生鮮野菜コーナーは鮮度にこだわった野菜・果物が並び、品揃えの充実とともにこだわりが見て取れる。
レシピから調理方法まで辻クッキングスクールの協力を得たというデリカコーナーには、天ぷらやコロッケなどの揚げ物や中華惣菜などがズラリと並ぶ。テストキッチンで手作りされる出来たて惣菜は、60~70アイテムを提案している。ここでは惣菜だけでなく、温かいコシヒカリご飯(100g100円)や炊き込み御飯、豚汁、ミネストローネなども揃い、"間に合わせではないきちんとしたごはん"がここで全て揃うよう提案している。

ではフーデスィアムでのベーカリーコーナーはどうか。まずデリカゾーンには焼きたてパンコーナーがあり、焼きたてパンを提案しているが、夕方だったためか惣菜パンが中心でアイテムは少なく、さほど魅力は感じられなかった。昔スーパーにあった紙のトレイにそのまま入れレジに持っていく方式だが、他の出来たて惣菜や弁当、生鮮野菜やスイーツコーナーと比較すると、この焼きたてベーカリーコーナーにはそれほどのこだわりは感じられなかった。
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〔デリカゾーンにあるベーカリー〕 |
〔紙のトレイを使い集中レジに〕 |
ホールセールのパンはコンビニコーナーにあるが、エンドには『TrendBakery』コーナーが陣取り、フランスパンやデニッシュレーズンブレッドなど、食事パンが充実しているのが目につく。ここではホールセールながら、フランスパンなどハード系やバラエティ食パンも揃っている。この日は「パリジャン」が128円で売られていた。
また食パンコーナーではダイエーのPBであるセービング一斤105円の食パンが大量陳列されていたが、それよりも目を引くのは、3枚入りのバラエティ食パンである。特にライ麦入り、穀物入りなどのヘルシー志向のパンが目につき、ここでも小人数家族向けの品揃えの充実がみられる。
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〔Trend Bakeryコーナー〕 |
〔Trend Bakeryパリジャンが 128円〕 |
〔有機小麦粉使用の 食パンが並ぶ〕 |
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〔バラ売りの榮太郎の菓子〕 |
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〔おせんべいも一枚から〕 |
コンビニコーナーで特徴的なのは一個売りの菓子である。日本橋の榮太郎、亀屋万年堂など老舗の菓子がバラ
売り対応でズラリと並んでいるのは壮観。好きなものを一個から買えるのは便利である。
またSMゾーンにあるせんべいコーナーでもバラ売りしており、ここでも好きな味を一枚ずつ買うことができる。
チーズも通常サイズの1/2や1/4カットのと個包装パックが充実、またカップ入りチーズが数種類並び、そのままおつまみとして食べられるよう工夫している。
新生ダイエーの実験店として登場した「フーディアム」だが、随所に新しい試みが感じられる。特に目立つのは量り売りやバラ売りなど単身者用の個食対応食品の充実である。スーパーの品揃えと鮮度の良さ、そしてコンビニの利便性を見事に融合させたこの「フーディアム」は生活者にはありがたい業態といえる。今後首都圏を中心に3年で20店舗程度を展開するというが、郊外の住宅地でもこうした新業態の展開が待たれる。適度な広さで買いやすく、地域の顧客のニーズに応えたこの「フーデイアム」のフォーマットは大歓迎だ。
生鮮品と惣菜の充実、しかも24時間営業で食生活を充実させてくれる業態は今後ますます求められる。昨今、ザ・ガーデン、紀伊国屋スーパー、クイーンズ伊勢丹、東急フレッセなど駅ナカや駅隣接ビルに出店する高級食品スーパーが人気だが、そのニーズの高さを窺い知ることができる。ダイエーがこの「フーデイアム」を武器にどう再生するか興味深い。
★foodium(フーディアム)
東京都世田谷区太子堂 1-14-16 電話03-3418-2231