ハンバーガーだけで20種類以上、サンドイッチ等も含めれば30種類以上のフードメニューが並ぶ「HUNGRY HEAVEN」。古き良きアメリカンテイストが漂う店内には、年齢を問わずファンが詰めかけます。地元住民に愛されている人気店です。
東京都板橋区上板橋で“地域の味”として長年親しまれている焼き肉店「ギュービック」。2008年の改装を機に、ギュービックを同じ建物の2階に移動させ、空いた1階のスペースを使って始めたのがハンバーガーショップ「HUNGRY HEAVEN」です。オープニングスタッフの一人で、現在、店長を務める花岡篤史さんが当時を振り返ります。
「元々、オーナーがハンバーガーを好きだったことと、当時はまだまだ高価格帯のハンバーガーが少なかったこともあり、自分たちのノウハウを詰め込んだ店を出せば支持されるのでは? という理由からハンバーガー店を始めることにした、と聞いています」
パティで使用する肉には、焼き肉店を経営しているからこそのこだわりと仕入れ方法が採用されています。
焼き肉屋が始めたハンバーガー店としてお肉にこだわりがあるのは当たり前。「HUNGRY HEAVEN」のハンバーガーには、ほかにも様々な工夫とオリジナリティが隠されています。
「当店で一番特徴的なのは黒いバンズだと思います。表面にカラメルを塗って焼いてもらい、店では注文が入ってからさらにトースターで焼くことで、カラメルのパリッとした食感と香ばしさを楽しんでもらえるようにしています」
バンズの仕入れ先は、地元では有名な鈴木ベーカリーさん。開店以来、「HUNGRY HEAVEN」のハンバーガーに合うようにつくってもらっている特注品です。
「おかげ様で『バンズが美味しい』と言ってくださるお客様は多いですね。その感想も嬉しいし、パティを褒めていただくのも嬉しいのですが、私たちとしてはソースや野菜も含めて、トータルで美味しいと言っていただけるようにバランスを重視して、日々、調理をしています。たとえば、7種類以上あるソースは全て手づくりで無添加。小さいお子様からお年寄りの方まで安心して食べられる美味しいハンバーガーを、ということで開店当初からこだわっている部分です」
お子様からお年寄りまで、という狙い通り、「HUNGRY HEAVEN」には下は3歳から上は90歳まで、幅広い年齢層のお客様が訪れ、賑わいを見せています。
「実は、今のスタッフの一人は、元々おじいちゃんが当店のファンだったそうです。そんな風に、これからも世代を超えて愛される店づくりを目指していきたいと思います」
「肉のスペシャリスト」を自負する精肉卸業・ヤザワミートが展開するハンバーガーレストランが東京・恵比寿に店を構える「ブラッカウズ」です。夜はお酒や肉料理を楽しんだあとの「〆バーガー」が好評を博すなど、昼夜を問わずお客様が絶えません。
「当店のこだわりはやはりパティ。黒毛和牛100%のパティを扱うお店は、ほかではなかなかないはずです。店名の『ブラッカウズ』も、黒毛(ブラック)+牛(カウ)にこだわるからこそ生まれた造語であり、私たちの決意表明です」
精肉卸として有名なヤザワミートが、「肉のスペシャリストがつくるハンバーガーを味わって欲しい」として2009年9月に開店したのが、東京・恵比寿にあるブラッカウズです。調理スタッフの末森祥平さんは、そのほとばしる肉への愛情と、パティに対するこだわりを熱く語ってくれました。
「赤身の強いウデ・スネ・ネックは黒毛和牛の中でも特に肉々しい旨味を感じていただける部位です。粗めに挽くことでさらに肉々しさがUPします。そこに、ステーキの王様サーロインや、ヒレ肉の中でも最上級のシャトーブリアンなどの切り落とし肉も一緒にミンチして使えることが強みです。粗めに挽くことで、よりジューシーな肉々しさを堪能していただけると思います」
元々は、五反田にある人気のステーキ・ハンバーグ専門店「ミート矢澤」で提供していたハンバーグをパンに挟んだらきっと美味しいはず、と賄いで作っていたのが出発点。実際にとても美味しかったことからハンバーガー専門店の出店計画がスタートします。ところが、オープンに至るまでには1年以上の開発・研究期間が必要だったと末森さんは振り返ります。
「黒毛和牛100%のパティは溢れるほどの肉汁が生じます。この肉汁をしっかり受け止めてくれるバンズがなかなか見つかりませんでした。そこで、メゾンカイザーさんにご協力頂いて、我々のパティにあう専用バンズを開発してもらうことになりました」
研究を重ねた結果、メゾンカイザーと日清製粉が共同開発したパン用粉「メゾンカイザートラディショナル」を100%使用したバンズが完成し、ようやくオープンにこぎつけたのです。
「当店の一番人気はベーコンチーズアボカドバーガーです。チーズに関しては濃厚なゴルビーチーズと、マイルドな味わいのモントレージャックチーズをかけあわせた『ゴルビージャックチーズ』というものを使っています。ゴルビーだけだとちょっと濃すぎる。モントレージャックだけだと少し弱い。黒毛和牛100%のパティとマッチするように、チーズひとつとっても絶妙なバランスが大事になります」
メニューづくり、味づくりにおいて特に重要視しているのがこの「バランスのさじ加減」だと末森さんは語ります。
「美味しいハンバーガーを作るために、個々の素材の質をこだわっていくのは大前提です。『パティが特徴的、バンズはオリジナル、チーズも……』とお話させていただきましたが、ハンバーガーはただ食材を積み重ればいいというものではありません。重要なのは、バンズやパティが他の具材・ソースとあわさって口の中でどういう味わいになるのか。私たちはこれを『味の黄金比』と呼んで常に意識しています」
口の中で完成する料理、それがハンバーガーである、というのがブラッカウズにおける味のこだわりなのです。
「ときたま、具材がどんどん積み重なって高さというか厚みがすごい、というハンバーガーがあります。野菜なんかもこだわるとどんどん厚みが増していきますが、それではひと噛みで全ての具材が一体化できません。その一方で、野菜の旨味もハンバーガーの味わいには必要不可欠。そこで、口の中で料理が完成するように、ソースの中にたくさんの野菜の旨味を凝縮しています」。
黒毛和牛100%のパティとこだわり素材が積み重なって生まれる「味の黄金比」を求め、今日もブラッカウズは多くのファンで賑わいを見せます。
兄弟で店を始めたから「ブラザーズ(brothers)」。本来のスペルと違うのは、「最後までやり通す」という誓いを込めてアルファベット最後の文字「Z」を組み込んだから。その誓いが生み出すこだわりの味を求め、リピーターが絶えない人気店です。
2000年7月、まだグルメバーガー専門店がほとんどなかった時代に、江戸情緒溢れる日本橋人形町に誕生したのが「BROZERS’」です。
創業したのはオーナーの北浦明雄さん。22歳のとき、オーストラリアで出会ったハンバーガー店「アーチーズ」の味に感銘を受け、日本でグルメバーガー専門店を立ち上げる決意を固めます。幼少期をベルギーで過ごし、元々ハンバーガーを食べる食習慣に馴染みがあったことも背中を後押ししました。
「創業地にハンバーガーを連想しにくい人形町を選んだ理由は、帰国子女だったオーナーだからこそ日本的な職人気質や探究心、礼儀や礼節に憧れがあったのだと思います。また、わざわざこの場所まで来てもらえるよう、常に価値ある商品を提供し続けたい、という想いもあったと聞いています」
取材に答えてくれた現店長の金子慎太郎さんが語る通り、BROZERS’が提供する商品には「日本の職人魂と探究心」が込められています。
「BROZERS’のハンバーガーの特徴のひとつがレタスです。ハンバーガーに挟み込まれるレタスは1枚ずつ重ねていくのが一般的。でも、バンズやパティの横幅よりもはみ出してしまって美しくないことがよくあります。その点、BROZERS’ではレタスを折り畳んでバンズやパティと同じサイズ感になるように工夫しています」
厨房で最後に教わる仕込み内容がこのレタスの折り畳み方。技術的にも難しく、限られたスタッフしかできない熟練の技だと金子店長は語ります。
お店の一番人気はたくさんの具材がキレイに重ねられた「ロットバーガー」。固めに焼き上げられた特製バンズにマヨネーズを塗り、こだわりの折り畳みレタス、トマト、オニオン、牛100%のパティ、チーズ、ベーコン、エッグ、パイナップルをトッピングした贅沢バーガーです。
「パイナップルは、食べる前は『え?』と驚かれるお客様も多いのですが、食べていただければその相性の良さを実感していただけると思います」
このほか、ランチタイムには日替わりバーガーがラインナップに加わり、サンドイッチやホッドドッグも含めると30以上の商品数を誇ります。
「メニュー数の多さもブラザーズの特徴のひとつかもしれません。お客様に選ぶ楽しさを感じていただきたいのと、毎日来ていただいても新しい味に出会えるような店として認知していただけると嬉しいですね」
そしてもうひとつ、BROZERS’で徹底して取り組んでいるのが「清掃」だと金子店長は語ります。
「とにかく清掃には時間も手間もかけています。他の飲食店で働いた経験もあるのですが、ここまで徹底しているのは初めてです。それは、お客様のためにキレイに、というのはもちろんですが、作業導線を常にスマートにするため、という狙いもあります」
このほか、月に一度早朝に集合して、人形町の街を掃除する活動も継続しています。そこにあるのは、日本人らしい奉仕やおもてなしの精神です。
「BROZERS’のスタッフが学ぶのはハンバーガーづくりだけではありません。礼儀作法や地域とともに歩む意識も重要視されています。2010年頃からテイクアウト店や新店舗を始めたりと業務を拡大していますが、そのときに重要なのがスタッフの人間力です。今いるスタッフの人間力がもっともっと高まっていけば、さらにお店の地盤が強固になって、より店舗を拡大することにもつながっていくと思います」
「おいしくて身体にいいものを、丁寧に手づくりする」をモットーに、東京都足立区北千住を中心に展開するハンバーガーレストラン「SUNNY DINER」。デリバリーを拡充したり、各種イベントにも出展したりと、幅広い支持を集めています。
「当店のお客様は女性客の方が多いですね。本店は6対4で女性。駅前のルミネ店は8割以上が女性客です。また、デリバリー店も主婦層からの支持を多くいただいています。やっぱりお子さんが小さいとなかなか外食は難しい。でも本格的なハンバーガーを食べたい、という方が多いのではないでしょうか」
東京都足立区北千住を拠点に店舗を拡大しているハンバーガー店「SUNNY DINER」。取材に答えてくれたのはオーナーである関根勝さんです。
「開業したのは2005年です。それ以前はいくつもの飲食店で働きながら、いつか自分の店を持ちたい、と考えていました。そんなある日、改めて気づいたのが、自分にはパン屋や肉屋などの知り合いがたくさんいる、ということ。自分と関わりがある人の協力を仰いでできることはなんだろう?と考えた時、パン、肉、野菜……ハンバーガーだ!と閃きました」
生まれも育ちも足立区北千住の関根さんが、地元のネットワークを活かした店として「SUNNY DINER」を創業。「DINER」は「食堂」という意味で、アメリカの大衆食堂のようにお客様に気軽に利用していただけるお店にしたい、という狙いからこの店名を採用したと振り返ります。
「すべて独学で、勢いで始めた部分も大きかったので、当初は不安で仕方がありませんでした。でも、そんな店でも10年続けることができ、今では地元に根ざした店として認知されてきたのでは? という実感もあります」
「SUNNY DINER」のハンバーガーの特徴は軽い食感のバンズです。食べごたえのあるパティとのコントラストが絶妙なコンビネーションを生み出します。
「バンズはとにかく軽く、女性でもペロっと食べられて『また食べたいな』と思ってもらえるものにしたいと考えていました。そのために、極限まで発酵時間をかけたふわふわしたパンを特注でつくってもらっています。パティは逆に食感を大事にしたかったので、かなり粗めに挽いています。スーパーで売っている挽き肉と比べると3倍以上の粗さだと思います」
一番人気はベーコンエッグチーズバーガー。女性からの支持が高いアボカドチーズバーガーも定番メニューとして人気を誇ります。その他、お客様からの要望でメニュー化した照り焼きバーガーなど、メニュー構成においても柔軟にお客様の声を反映できるのがこの店の強みです。
「飲食店で働いた経験はありますが、ハンバーガーに関しては完全に素人。専門店で学んだ経験もありません。だからこそ、基本に忠実に、当たり前のことをしっかりやろう、と心がけています」
“当たり前のこと”とは、ひとつひとつ手づくりにこだわること。そして、添加物や保存料にまみれていない安心できる食材を集めてお客様に提供すること、というシンプルなモットーです。
「小さなお店だからこそ、そこはこだわらなきゃいけないし、大きなチェーン店とは差別化できる部分だと思っています。本物っぽいものを手頃な値段で、ではなく、ちゃんと美味しいねと言ってもらえるものを提供していく。そのために多少価格は高くなってしまいますが、それでも支持されるハンバーガーをこれからもつくっていきたいと思います」
※店舗情報及び商品価格は取材時点(2015年8月)のものです