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【ホームに出店したドミニック・ジュラン外観】
集客力抜群の立地を生かして駅ナカビジネスが進化している。わざわざ集客しなくてもお客様が行き交う駅。これをもっと居心地よくお客様に楽しんでいただける空間にということで、駅ナカで商業施設が続々誕生している。特に2005年JR東日本の駅ナカショッピングエリア「エキュート大宮」の出現はこれまでの駅ナカの概念を変えた。その後、品川、立川にも出現。いずれも駅が通過する場所から楽しむ空間へと変身させた素晴らしい事例といえる。また2007年秋には東京駅にグランスタが完成、連日に大賑わいとなっている。その駅ナカでもホームへの出店という、究極の駅ナカに出店したドミニック・ジュラン京急横浜駅店をご紹介したい。

 2008年2月、京浜急行横浜駅のホームの中ほどにベーカリーカフェ「ドミニック・ジュラン」がオープンした。このドミニック・ジュランは創業103年を誇る日本のベーカリーの草分け(株)ドンクが展開するブランドである。店舗の外にドミニック・ジュラン氏の顔写真を掲げているが、同氏はフランスのM・O・Fを取得したパン職人で現在はアメリカのポートランドでカフェ・ベーカリーを経営している。
ホームにある店舗と聞いていたので、キオスク程度と思っていたが、見事に裏切られた。ピンクとこげ茶を基調にした落ち着いた色調の外観、中に入ると焼きたてのパンがズラリと並ぶ。その落ち着いた空間と品揃え、そして行き届いたサービスに驚かされる。パンの種類は80アイテム。オープンは朝7時~22時。乗降客にとっては便利なことこの上ない。

ドミニック・ジュラン氏の顔写真を掲示
京浜急行のホームに出店

焼き込み調理パンがズラリと並ぶ
店長の桐山さん   
この店の特長は客層が広いことだ。駅ナカということもありサラリーマン、OL、学生、主婦と、これまでのデパ地下中心に出店してきたドンクの客層とは異なる。「ここはカフェのお客様もいますから、客層は男女半々ぐらい、一番の売れ筋は焼き込み調理パンで、これまでのドンクとは全く違います。」と店長の桐山太司氏。伺ったのが昼近くとあって焼きたての焼き込み調理パンが並べるそばから売れていた。売れ筋ベスト5は、1位ウィンナーロール、2位メロンパン、3位スコーン、4位ハムオニオン、5位タルタルエビカツという。
高級イメージのドンクに対してここドミニック・ジュランはカジュアルで気さくなイメージ。マフィン、スコーン、ドーナツ、ベーグルなどアメリカを意識した品揃えも充実。いずれもカフェで気さくに食べられるよう小さめにしたり、形も細長く、楕円形にするなど食べやすく工夫している。また横浜を意識した「赤レンガ」や中華街をイメージした惣菜ドーナツ「リトルチャイナ」シリーズも充実させている。
細長く食べやすくした
ミルクティースティック
カニツメをイメージした
リトルチャイナ
人気のハムオニオン

ゆったりとくつろげる2Fのカフェ
 1階にはカウンター席が5席あり、ホームに入ってくる電車を見ながらパンとドリンクを味わうことができる。「2階にもっと広いカフェがございます」の案内に、飲み物とパンを買って2階に上る。そこにはゆったりとしたカフェスペースが44席あり、駅のホームであることを忘れるほどで、まさに別世界。
リクルートスーツ姿の女子大生や、子供連れのヤングミセス、サラリーマン風とまさに客層はさまざまだ。丁度昼どきとあって調理パンをもりもり食べる若い男性や、ドーナツやメロンパンでランチを楽しむ若い母と子が印象的だった。

客層が広いだけでなくここは時間の流れが速い。電車を待つ間での買い物ということでは滞留時間が極端に短い。最初はとまどったというが、毎日が勉強との思いで未経験な分野を楽しんでいると微笑む桐山店長。「ここは時間を読むことが大切。モットーはおいしくひといきを楽しんでいただくこと」という。モーニングセットやランチタイムを充実させるなどもっとカフェメニューを増やしたいと意気込む。
駅のホームにこのようなカフェベーカリーがあれば、毎日でも立ち寄ってしまいそうだ。この駅を利用する客の憩いの場所として今後愛されるスペースとなりそうだ。
ドーナツコーナーも充実
タルタルエビカツで軽くランチ
小ぶりのデニッシュ類も人気
PASMOでもOK
こうした駅のホームへの出店ということではすかいらーくグループのフロジャポンが展開するスイーツ店がある。JR秋葉原の総武線下りホームにあるフロプレステージュ秋葉原キオスク店がそうだ。タルトなどの焼き菓子が中心だが、若い女性スタッフが手づくりしている姿を見れば思わず買いたくなる。ここは売店のみだがホームで電車を待つ退屈な時間、30秒で立ち寄れる最後の土産店としては最高だ。その本音をついたこのホームへの出店は見事といえる。
通過する駅から楽しめる駅へ、次の電車を待つちょっとした時間に、手軽に買い物や軽食がとれる駅ホームへの出店はまさに究極の駅ナカビジネスといえ、今後ますます増えてくると予測される。


★ドミニック・ジュラン 京急横浜店
神奈川県横浜市西区高島2丁目16番1号 京急横浜駅ビル内 電話045-453-2861
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