ハワイでおなじみのロコフードがいただけるダイニングカフェ。ホノルルで大人気のカメハメハベーカリーのキッチンとショップを併設しています。店名の「カカアコ」は、元は倉庫街だった場所に新進気鋭のアーティストやクリエイターが集まる、ハワイで最先端のエリアに由来しています。東京・神宮前に1号店があります。
店頭にはティキ像とトロピカルなグリーン、そしてマラサダなどスイーツが並ぶショーケースが置かれ、アロハ姿のスタッフがお出迎え。ホール内は、カカアコのアートイベントで活躍するアーティストの手による壁画が随所に描かれ、奥の窓辺には様々な植物が光を浴びています。
「MARINE&WALKの施設全体のコンセプトが<アメリカ西海岸的な雰囲気>なのですが、ハワイは西海岸の延長にあり、より自由で開放感に満ちた場所です。店内は、緑に囲まれた森のイメージに、アートや音楽といった文化の要素もプラスした質の高いくつろぎ空間を演出しています」(マネージャーの植之原紘道さん)。
ハワイ最先端のカカアコの街をイメージさせる店内でいただけるメニューは、ランチタイムにはハワイでポピュラーな料理とライスを1皿にしたランチプレート。ロコモコ、ガーリックシュリンプ、アヒポキ(マグロとアボカド)などをラインアップ。ディナータイムには、お酒に合う前菜からステーキ、シーフードのグリルなども揃っています。
ハンバーガーやパンケーキ、サンドイッチは終日オーダーが可能で、ローストビーフをたっぷりとはさんだサンドイッチも同店人気の1品です。
「カカアコのサンドイッチ用に特注した、ポイ(タロイモ)を生地に練り込んだ紫色の食パンを使っています。もちっとした食感で、ほのかに甘みもあるパンの上にやわらかなローストビーフ、紫キャベツのサラダをこんもり盛ってサンドに。インパクトのある切り口を見せて、食べやすいようにペーパーで包んでお出ししています」(シェフの早稲田康人さん)。
ホノルルで1978年創業のカメハメハベーカリーは、ハワイの定番ドーナッツ「マラサダ」などで地元の人々に親しまれ、観光客にもおなじみの老舗ベーカリーです。カカアコ横浜店に併設されたベーカリーのキッチンでは、本店で研修を受けた田邊シェフを中心としたスタッフが、6種類のアイテムをつくっています。
「ドーナツ生地は本国と同じ配合で、前日に仕込んで低温発酵させています。生地には卵を使わず、ココナッツファインを混ぜてあり、このココナッツの食感がおいしさの秘訣。タロイモを混ぜた紫色の「ポイ・グレーズド」は1日400個くらい出ます。テレビなどで取り上げられると、おかげさまで店の前に長蛇の列。昼ごろに売り切れてしまい、当日追加で生地を仕込むこともあります」(田邊さん)。
赤い色が鮮やかな「ストロベリー・ドーナッツ」は横浜限定。冷凍の丸ごとイチゴをミキシングの際に生地に混ぜ込んでいます。ポイの紫色とストロベリーのレッド、ハッと目の覚めるような色合いですが、素材本来の自然な色です。
握りこぶしほどもあるサイズのドーナッツにグレーズがたっぷりかかって、さぞやヘビーな食べごたえ?と思いきや、イーストでふんわりとふくらんだ生地の食感とほどよい甘さで、予想外にすんなりとおなかにおさまります。「ボリューム感があるのに、意外とあっさり軽い食べごたえ、というのがまさにカメハメハのスイーツの特長であり、人気の秘訣。このテイストがどうしたら生まれるかは企業秘密なんです(笑)」(田邊さん)。
マラサダのほか、バナナを練り込んだバナナブレッド、パン生地でつくるエンサイマーダ(本店オーナーの故郷フィリピンでは定番のスペイン風おやつパン)など6種類があり、13時ごろに全種類が店頭に並びます。
ニューヨークにある本店は、小龍包が大人気となったチャイナタウンの有名店。横浜初となる同店は海に面した2階にあり、テラス席はもちろん店内からも港の風景を眺めることができる絶好のロケーション。小龍包は本店と同じ味を再現し、それ以外のメニューは日本人の繊細な味覚に合わせたモダンチャイニーズを提供しています。
「NYセレブ達が足しげく通う店、と聞くとおしゃれに洗練された高級店をイメージされるかもしれないですが、本店はごく庶民的な街の食堂という雰囲気。濃厚なスープをたっぷり包んだ小龍包の味で食にこだわる人々を魅了し、世界中にファンがいます。海外での初出店が日本で、横浜店は国内6店舗目となっています」と語ってくれたのは副支配人の田中結さん。
JOE‘S特製小龍包のレシピは、総料理長の湯浅博司シェフが本店のボスであるジョーさんから直伝されたもの。門外不出ということで、仕込みも早朝に限られたスタッフだけで行っているのだそう。「なんといっても大きさと濃厚さが魅力。1個あたりに肉餡を約50g入れたアメリカンサイズです。餡に使う豚肉は赤身と脂身を分けて、それぞれをいつも同じ、最適のバランスで合わせています。蒸しあげたときに、たっぷりの濃厚なスープと、肉餡のプリッとした食感を楽しんでいただけるようにつくっています」(湯浅さん)。
皮ももちろん自家製で、こねてから1晩寝かせることでコシの強さが落ち着き、伸ばしやすくなるそう。棒状に伸ばして1個分ずつ手でちぎり、平たく伸ばしたものに肉餡を1つ1つ手包みしていきます。
JOE‘S特製小龍包は、豚肉餡だけを包んだものと、ズワイガニの肉とカニみそを混ぜた蟹肉入りの2種類。来店するお客様のほぼ全員が小龍包をオーダーするので、ランチのメニューはすべてに豚と蟹の小龍包が1個ずつセットになっています。
広東や上海、四川といった中国料理のジャンルにこだわらず、おいしければOK、いいところどりをするのがNYスタイル。加えて日本の店では、アメリカにはない繊細さを売りにしています。
「青椒肉絲なら、向こうは肉と野菜を一緒にジャッと炒めて味をからめるだけですが、うちでは肉は厚めに切ってステーキを焼くように表面に焼き目をつけ、中はミディアムレアでうまみを閉じ込める。ピーマンは、赤と黄色のパプリカも使い3色に。熱いスープにサッとくぐらせることで、余分な水分が抜けて素材の中に味が入ります。下ごしらえに手間をかけることで仕上がりの味がまるで違ってきます」(湯浅さん)。
生で食べるのがおいしい食材は生で、素材自体は淡白なフカヒレならこってり濃厚な白湯で姿煮にするなど、素材の味を活かす最適な調理法で提供しています。
そして最近ブームになっているのがNYワイン。「ハンプトンなどNY郊外の高級別荘地では、自家農園でつくるワインが一種のステータスになっていますし、ブルックリンには醸造だけを行うワイナリーもあります。酸味のバランスがよく、エレガントな味と相まって、「都会でつくる地ワイン」というブランディングに成功し、売り切れ続出の人気になっています」(田中さん)。
同店では赤・白3種類ずつを揃え、気軽にグラスで楽しめます。
海沿いのテラスで明るいうちからNYワインとセレブ御用達の小龍包をいただく……なんていう楽しみ方もこれからの季節にはぴったりですね。
南イタリアの料理をベースにした、カリフォルニアで人気のレストランが横浜初出店。国内では丸の内店に次ぐ2店目で、横浜店にはサンフランシスコ本店と同じデザインの薪窯を備えています。ごくシンプルな調理法で食材のおいしさを引き出す料理や窯焼きのピッツァが評判で、地元食材を使った横浜店限定メニューも。
薪窯で焼くピッツァは同店で圧倒的な人気です。生地はイタリアの軟質小麦粉とイースト、水、塩だけでつくるナポリタイプ。本店と同じミキサーを使い、こねあげてから1晩寝かせているそう。
料理長の山﨑雄介さんはオープンを前に本店で修業。また、現地からもシェフがまめに来日して指導に当たっています。「薪窯の火の使いこなしや生地づくりなど、目からウロコな発見がたくさんありますが、ピザ生地の扱いもそのひとつ。仕込む際に小麦粉の分量は量らないんです。定量の水とイーストを入れてミキサーをまわしながら粉を加えていくのですが、気温や湿度などその日によってコンディションは違います。生地がいつも同じ、ベストな状態になるように粉の量を見極めていく、まさに職人の技です」(山﨑さん)。
厨房には薪窯とガス窯を備え、料理に合わせて火力を使い分けています。ピッツァは400℃以上の薪窯で約1分半。高温短時間で表面はパリッと焼け、生地の中に水分を閉じ込めて、もっちりとした弾力のある焼き上がりになります。
テニスラケットのような形をした「ピッツァラケット」は横浜店限定で、地元産の季節の野菜を使ったベジタリアンにもおすすめの一品。トマトソースとモッツァレラ、グリーンオリーブ、バジルに、ラケットの柄に当たる部分には、旬の野菜を自家製のリコッタチーズと一緒に包み込んであります(撮影時はブロッコリー)。カリッと焼けたみみの部分、具材がのった真ん中の部分、もっちりした柄の部分と、生地の食感の違いも楽しめます。
また、同店オリジナルの揚げピザが新しくメニューに加わりました。ナポリにも具材を包んで揚げるタイプがありますが、こちらは素揚げした生地に具材をのせて窯で焼き上げるもの。平らに成形した生地にピケ(生地が膨らまないようにピケローラーでたくさんの小さな穴を開ける)をしてオイルで揚げ、燻製風味のトマトソース、モッツアレラとバジルをトッピングして薪窯で焼き上げます。
ピッツァは、ピザカッターでカットして出されるのではなく、ハサミが添えられて、お客様がお好きなように切り分けるというのも、本店と同じスタイルを踏襲しています。
「地産地消はイタリアでは当たり前のことですし、加工品に頼らずつくれるものは自分たちでつくる、というのはカリフォルニアらしい食のスタイルです。横浜店でも地元ブランド豚のはまかぜポークを使った料理や、野菜や魚介も地場産を積極的に取り入れています。また、ポークのミートボールは、豚肉の腿と肩肉を1本丸ごと仕入れ、ここからミンチにしてミートボールをつくっています。素材そのものの状態から料理をつくっていく、ということを大切にしています」(山﨑さん)。
デザートの「クロスタータ」は季節のフルーツのジャムをのせて焼いた温かいタルトに、ジェラートをのせたもの。まわりにあしらった有機オートミールとドライフルーツのグラノーラ、ジャムやジェラートも自家製です。甘酸っぱいジャムとサクサクのタルト、サラッと口溶ける、優しい甘さのジェラートの取り合わせで、食事の後でも重すぎないスイーツになっています。
店の内装はサンフランシスコ本店の雰囲気そのまま。大きな窓からは港の景色、そしてオープンキッチンを囲むように客席が配置され、薪窯でピッツァを焼く様子もうかがえます。「フレンドリーな接客というのも本店で学んだカリフォルニア・スタイルです。生まじめな日本人にとっては難しいのですが、厨房もホールスタッフも、楽しみながら仕事をすることで自然に笑顔が出るようにと、心がけています」 (山﨑さん)。
※店舗情報及び商品価格は取材時点(2016年5月)のものです