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- 平岩理緒さんが迫るトップパティシエの仕事
- Vol.16 レタンプリュス 熊谷治久シェフ
菓子業界の今後について思うこと
- 平岩
- 今後、お菓子業界に対して、伝えていきたいことはありますか?
- 熊谷
- 先ほども話しましたが、業界全体で、サービスに対する対価を見直していかなくてはいけない。労働環境を改善していかなくてはならないと思います。
今、独立を目指している若い子も少なくなっています。ならば、定年まで勤めてもらえるような、体力あるお店を目指していきたいと考えています。
- 平岩
- 若いスタッフの方とのコミュニケーションがうまくいかず悩むオーナーも増えていますが、解決策はあるでしょうか?
- 熊谷
- “言葉で伝えてもわかってもらえない”というならば、「伝わるまで伝える」こと、「できるまで待つ」ことが必要だと思います。なかなかわからない子でも、負い目を感じずにできるような環境を作ってあげなくてはいけません。
たとえば、クリームのナッペの様子を動画で撮って見せて、シェフとスタッフとの違いを理解させるなど、単なる「作業」にならない教え方を心がけています。


- 平岩
- それは、今の若い方達が理解しやすいよう、寄り添ったやり方ですね。

- 熊谷
- 今の子達は、周囲に溢れる情報に溺れてしまう傾向があります。
お店の在庫や予約時間を意識しながら、その瞬間の優先事項を把握し、判断できるようになってほしい。自分は「オーボンヴュータン」の河田シェフのもとで、それを教わりました。
- 平岩
- 仰るとおり、今の若い方々は、昔に比べて、豊富な情報を手軽に得られる環境に慣れ、長けてもいますが、その情報を処理しきれず、自分で判断できない傾向があるかもしれませんね。
熊谷シェフは、妥協のないお仕事をなさる職人気質の方というイメージを持っていましたが、今回お話を伺って、今の時代に沿った、柔軟な物の見方をされていることを理解できました。今日はどうもありがとうございました。


熊谷治久シェフ プロフィール
1979年、千葉生まれ。武蔵野調理師専門学校卒業後、柏市内の洋菓子店を経て、「パティスリー・ドゥ・シェフ・フジウ」で4年半、「オーボンヴュータン」で3年半と、東京を代表するフランス菓子店で修業。その後1年間渡仏し、ロレーヌ地方「フランク・ケストナー」とパリの「パトリック・ロジェ」で経験を積み、帰国後、再び「オーボンヴュータン」で河田勝彦氏の右腕を2年半勤める。2012年「パティスリー レ タン プリュス」オープン。2015年10月、柏高島屋内に2号店をオープン。

※店舗情報及び商品価格は取材時点(2020年1月)のものです。最新の店舗情報は、別途店舗のHP等でご確認ください。