これからの菓子業界、若いパティシエ達に伝えたいこと
- 平岩
- 朝田シェフが、スタッフの方を新たに採用する時には、どんなところを見ていらっしゃるのですか?
- 朝田
- 健康でやる気があること!それから、親御さんとも話をするようにしています。お菓子屋の職場について包み隠さず話して、お互い納得のうえで来てほしいですから。それでも、今、9年目にして、これまでで一番人がいないという状況になっていますね。でも、これがリスタートだと思って、ポジティブに捉えています。
- 平岩
- 今、お菓子業界全体や、若いパティシエの方、パティシエを目指す学生さん達に、今後に向けて伝えたいことは何ですか?
- 朝田
- 仕事に対するプロとしてのプライドを持ってほしいと思います。様々な仕事が出来るようになるまでは大変ですが、そこを乗り越えてこそ、というのがパティシエの仕事です。でも、今は乗り越えられない子達が多い。乗り切り方を見つけられたらいいですよね・・。自分の中に溜め込んでしまう子が多いんです。
でも、ストレスが無い仕事なんて無いのですから、ストレスを溜め込まない方法を身に着けてほしい。
人とのコミュニケーションが下手ですよね。「声を出せー」といつも言っています。話す訓練、自分をアピールすることも必要ですし、人の意見を聞くということも必要です。そのバランス感覚が大切。いつかシェフになりたい、という人は、それが出来ないといけません。


- 平岩
- 朝田シェフが、外の仕事を受けられて、スタッフの方に仕事を任されているのも、そういう思いがあってこそですよね。
- 朝田
- メーカーの方や、問屋さんとの会話も勉強です。自分だけのことを言うのでは成り立ちませんよね。今の若い人は、自分を否定されることに慣れていない。
パティシエも、沢山ある仕事の中の1つです。パティシエである前に、きちんとした社会人であり、きちんとした人でなくてはいけないと思います。

- 平岩
- 朝田シェフは「楽しく仕事をする」ということをよく仰っていて、朝田シェフのもとで学ばれた方々からは、その教えがしっかりと伝わっていることが感じられます。
- 朝田
- 自分の中で、パティシエって、「こんな素晴らしい仕事はない」と思っていますからね。そういう話を、製菓学校でもしているんですが・・昨年は12校に教えにいきました。
- 平岩
- 12校も!それも全国ですよね。学生さん達も、朝田シェフの言葉を胸に刻んで、製菓の世界で頑張ってほしいですね。
「浦和ロイヤルパインズホテル」でご一緒だった皆さんも、とても仲が良くていらして、よく集まっていらっしゃいますよね。
- 朝田
- 浦和ロイヤルパインズのOB会は、前回から、2人ずつお菓子を持ち寄るということにして、レシピ勉強会を兼ねて開催することになったんです。
- 平岩
- それはいいですね!楽しそうですし、そのような発表の場があるというのも、お互いの刺激になりますね。私も、OBの皆様のお店に、結構お伺いしていると思います。皆さんが、どこでどんなふうにご自身の道を歩んでいかれるか、見届けていきたいですね。
2020年は、新型コロナの影響で思わぬ事態になり、製菓業界も色々な影響を受けていますが、常に前向きな朝田シェフのお言葉に、ひたむきに真面目にやっていくしかないのだな、と改めて思いました。今日は、どうもありがとうございました。

朝田晋平シェフ プロフィール
1963年、大阪府生まれ。「新高輪プリンスホテル」、「パークハイアット東京」を経て、1998年「浦和ロイヤルパインズホテル」シェフパティシエに就任し、2005年よりエグゼクティブ・ペストリーシェフを務める。2011年9月、「パティスリー・アプラノス」をオープン。2001年にフランスで開催の「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」、2004年にアメリカで開催の「ワールド・ペストリー・チーム・チャンピオンシップ」に出場の他、国内外にて受賞暦多数。

※店舗情報及び商品価格は取材時点(2020年7月)のものです。最新の店舗情報は、別途店舗のHP等でご確認ください。