平岩理緒さんが迫るトップパティシエの仕事 平岩理緒さんが迫るトップパティシエの仕事

Vol.24エクラデジュール 中山 洋平シェフ 商業施設への出店を決めた理由。
街に根差した菓子店として成長していくには?

この先、目指していきたい方向性とは

平岩
豊洲店では昨年が初のクリスマスでしたが、2021年のクリスマスは、どのような態勢で臨まれるのですか?
中山
豊洲店での1年目は、予約限定のクリスマスケーキと、当日販売もある生クリームデコレーションのショートケーキに絞って、プティガトーは出しませんでした。本店ではクリスマスにもプティガトーを販売するのですが。コロナ禍ということもあって、ご理解いただけたように思います。
平岩
クリスマスにプティガトーを販売するかどうかは、皆さん悩まれますよね。最近は種類を限定して、あらかじめ箱に4種入りくらいでセッティングされたプティガトーセットを販売するお店も増えてきています。ショーケースに並んだプティガトーを選んでいただき、そこから詰めていたのでは、お客様の滞在時間が長くなり混雑の原因となるので、それを防ぐ対策の1つですね。
中山
そうされているお店もありますよね。でも自分は、箱詰めも大変そうですし場所も取るので、どこで作業するの?と考えて難しいと感じました。
平岩
クリスマスが終わったら、バレンタイン、ホワイトデーまで、お菓子屋さんはお忙しい時期ですね。
中山
うちの店はもともと、あまりイベント事をやらない方なんです。でも、2022年のバレンタイン、ホワイトデーについては、豊洲店ではやってもいいかと考えています。
平岩
本店と豊洲店で客層が異なるので、違った試みが出来る、というのも、支店のあるメリットかもしれませんね。
中山シェフは、この先の5年後、10年後、或いはもっと先に向けて、どのような目標を目指していかれたいですか?
中山
最終的には、妻と2人でゆっくりやっていくようなお店をやりたい、という思いがあります。そうなるためにも、今いるスタッフ達の5年、10年後を考えなくてはならないと思います。お菓子屋さんの可能性というものを見せたいですね。
もちろん、このスタイルでやるのは2店舗が限界だと思います。今はまだですが、ECサイトなども自社システムでやっていきたいと思っています。「エクラデジュール・プリュス」みたいな感じで、スーシェフの鈴木にそれを任せる、という形でもいいですね。それで、月に300台しか売らないお菓子があったり、会員のお客様向け限定の品や、本店では買えないネット販売限定品や、コラボレーション品などがあったりしてもいいのではと思っています。ありがたいことに、コラボのお話も色々といただいているんですよ。
平岩
コラボレーション品とは、たとえばどういうものですか?
中山
たとえば、豊洲市場に中華食材専門店がありますが、自分は、そこのメニュー開発を担当したりしています。豊洲はフルーツ屋さんの目利きの方も職人技なんですよね。そういうところとのコラボとか、出来たらいいなと思っているんですが。
平岩
それは意外な!そういった“異業種間コラボ”も興味深いですね。
中山シェフが、ご自身の職人としての生き方を貫徹しながら、2つのお店で、それぞれどのような試みをしていかれるのか、これからも楽しみにしています。今日はどうもありがとうございました!

中山洋平シェフ プロフィール

1979年、東京都生まれ。江東区のパン屋「ナカヤ」の次男として生まれ、ホテル日航東京などを経て渡仏。オート・サヴォワ地方のパティスリー「パトリック・シュヴァロ」、パリのブーランジュリー「アルノー・デルモンテ」で修業。帰国後、「銀座菓楽」、「ル・エール・サンク」のシェフパティシエを務め、2014年9月、自店「エクラデジュール」を東陽町にオープン。2020年6月、2号店となる豊洲ベイサイドクロス店をオープン。「ジャパンケーキショー」の大型工芸部門で連合会会長賞など、受賞歴多数。

※店舗情報及び商品価格は取材時点(2021年09月)のものです。最新の店舗情報は、別途店舗のHP等でご確認ください。